
(おれ) 久しぶりだな。景色が変わっちまって、あんたのお墓を探してウロウロした。
(周三郎) ご老人はどちらかな。
(おれ) 通りすがりのものさ。今日は車山に登って、氏邦のことを考えていた。降りてきたら、ちょうどここだったんで、寄ってみた。
(周三郎) 暇な人だな。近ごろの民の暮らしむきはどうだい ?
(おれ) ひどいもんだ。とはいえ、政治家の陰口を垂れるやつは多いが、あんたみたいに「圧政を変じて良政に改め、人民を安楽にするべし」と言って武器をとる人はいない。
(周三郎) 寝ぼけたことを言うな。立憲政治といい、自由な世界といい、おれたちの命と引き換えにやっと実現したもんじゃねえか。
(おれ) おれに言われたって困るんだが。
(周三郎) 肝の小せえ人だな。田代さんなんかとはえらい違いだ。政治っつうのは、理に叶い、法に叶い、情に叶わなきゃいけねえんだ。
(おれ) そう言や、昭和の時代にもそんなこと言ってた人がいたな・・・。
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