太平山周回

【年月日】

2022年7月27日
【同行者】 単独
【タイム】

7/27 旭又登山口(11:56)−赤倉分岐(13:58)−馬場目岳(14:50)
7/28 馬場目岳(4:42)−赤倉岳(6:32)−笹森(7:35)
   −旭岳(8:57)−太平山(9:14-9:21)−下降点(9:30)
   −御手洗(10:12-10:37)−御滝神社(11:39)−旭又登山口(12:07)

【地形図】 天上倉山 太平山 ルート地図(マウスホイールまたは左下のズームで拡大・縮小)

一日目(旭又〜馬場目岳避難小屋)

馬場目岳の登り(大きな写真)
タカネトウウチソウ(大きな写真)

 旭又駐車場から川を渡り、赤倉沢に沿う道を行く。
 刈り払いされていて、歩きやすい。

 杉の植林地だが、さほど手入れされているわけではない。
 まもなく、尾根に取り付く。
 地形図通りの急登。

避難小屋(大きな写真)
日没(大きな写真)

 考えていたコースは、翌日の昼ころまで水場がない。
 赤倉分岐の西側に水場になりそうな地形があり、古い本には水が取れると書いてあったリするのだが、どうもヤブに埋もれてしまったらしい。
 そこで飲み水および行動用水として6リットル強を背負ってきた。
 これがかなり苦しい。

 平凡な杉林だが、ところどころに残された切り株は巨大なもので、このあたりがかつて、杉の原生林だったことがわかる。

 いつもなら、ノンストップで行くところだが、ひどく蒸し暑く、30分登るとザックを下ろさずにいられない。
 頭に巻いたタオルはすぐにずぶ濡れになった。

 スギ林が終わるとブナの森になる。
 巨木というほどのブナではなく、若ブナの群生もある。
 中ほどより上の方は、おおむねネマガリタケとブナの登りになった。

 傾斜が多少緩むところもあるのだが、ほぼ一本調子の登りで赤倉岳の分岐。
 ここでようやく、急登から解放される。

 前山の登りは標高差100メートルほどだが、途中休憩を入れながら登る。
 ここまで来れば馬場目岳は一投足で、灌木帯となり、シャクナゲの木も見られた。

 山頂直下は小さな傾斜湿原で、オオバギボウシやタカネトウウチソウが咲き始めていた。
 馬場目岳避難小屋はとても綺麗だった。

 山頂は灌木帯の切り開きで、絶景と思われたが、着いたときには雲が多かった。
 食事をすませて身体を休めたのち、山頂に行ってみると、日本海側に沈みゆく夕日や、遠い彼方の太平山が望まれた。

二日目(馬場目岳避難小屋〜太平山〜旭又)

 夜明けの前はよく晴れていて、小屋の窓からご来光を見ることができた。
 やや軽くなったザックを背負って出発。
 ひと晩休んでようやく乾いた衣服が、朝露のため、あっという間に再びずぶ濡れになった。

 分岐から先は刈られておらず、ここを朝のうちに歩くのはかなり苦しい。
 道形はしっかりしているものの、草に隠れてどこが道だかわからない状態だった。
 おおむね若ブナの森だが、草花の花もなし。

馬場目岳の黎明(大きな写真)
赤倉岳への道(大きな写真)

 ガラ沢岳先の下降点からはいくらか刈られていて、歩きやすくなった。
 ヤブは濃いが、傾斜が激しくないのが救いで、緩やかな登り下りを繰り返しつつ、南下する。

 旭岳は太平山の北の肩というべきピークで、好展望。
 ここまで来れば、太平山が近く見える。
 森林限界をやや越えて、クルマユリやオオバギボウシの花が見られ、ハクサンシャジンやアキノキリンソウも咲きそうだった。

クルマユリ(大きな写真)
山頂直下(大きな写真)

 山頂には、三吉神社と参籠所があり、ハイカーが休んでいた。
 絶景なのだが、この時間も雲が多かった。
 歩いてきた尾根が一望できて、達成感。
 秋田市内は見えたが、男鹿半島までは判別できなかった。

 神社の境内らしきところでガスを使うのは憚られたので、大休止なしで下山にかかる。
 ずっとヤブの中を歩いてきたのだが、メインコースと思しき御手洗コースは完璧に手入れされた、いい道だった。
 久々の重荷とロングコースで膝が痛くなっていたので、ゆるゆると慎重に下った。

赤倉岳・ガラ沢山・笹森(大きな写真)
天然杉1(大きな写真)

 一気の急降下でお手洗の広場。
 ここで大休止なのだが、ヤブ蚊がたくさん飛んでいたので、湧水ではなく、家から持ってきた水を使った。

 傾斜はやや緩むが、長い下りが続く。
 下り道はおおむね、ブナや各種の広葉樹と杉の混生で、スギは大木が多かった。

 今まで見た天然杉は、太い横枝が張り出したり、数本の株立ちになったりしているものが多かったが、ここの杉の殆どは枝もなく直立した大杉だった。
 これは若木のときに手入れがされて、枝が切られているからだろう。
 三吉神社の参道でもあるから、植えられたのかとも思ったが、道でない斜面にもたくさん生えているから、天然杉であることは確かだろう。

 樹齢は200年前後と思われるから、江戸時代の人が自生した杉を手入れして来たとしか思えない。
 これが秋田杉というものなんだろう。

天然杉2(大きな写真)
エゾアジサイ(大きな写真)

 道沿いのエゾアジサイはちょうど盛りで、ブルーが美しい。
 エゾアジサイの色合いは株ごとに異なっているのだが、これはその株のDNAというより、土壌や湿度によるバラエティであろう。

 ようやく下りきったところに、御滝神社。
 近くに滝があるのだろうが、見に行こうという元気はない。

 その少し先で沢を渡ると森林軌道あとで、登り下りから解放される。
 しかし駐車場まで、長く感じた。

めおと杉(大きな写真)
三吉神社里宮(大きな写真)

 下山後、仁別国民の森の森林博物館を訪ねたが、閉館中だった。
 そこで、散策コースのめおと杉を見に行く。
 この巨杉は、手の入らない自然の姿をしていた。

 秋田市内に戻り、三吉神社里宮にお参りして登山の無事を感謝した。