台風が近づき、秋雨前線が活発化している上、秩父ではずっと、しとしと雨が降っていた。
しかし前日昼の時点で、宮城県内陸は晴れときどき曇りの予報だった。
そんなことがあり得るだろうか。
とはいえ、土砂降りの雨はないだろう。
とすればこの時期やはり、紅葉を見たい。
宮城県に入ると雨はやんだが、ガスガス。
白石の先が通行止めで、蔵王PAは満杯。
国見でやっと1台分のスペースを見つけてもぐり込み、夜明けとともに走り始めたが、村田の先でもガスガス。
降らなければよしと考えて、笹谷峠まで来たが、ガスガスで何も見えない。
滝を見るには、晴れてないほうがいいと無理にプラスに考えて、仙人沢登山口に向かった。
しばらく車道を行き、送電鉄塔巡視路に入ってショートカット。
再び車道でほどなく、仙人沢登山口だった。
ブナ林のトラバースで沢へ下っていく。
先日の和賀岳よりいくぶん、秋が進んだ感じがする。
数日前に刈払いしてもらったようで、歩きやすい道を行くと、沢べりに降り立って、すぐ下に5メートルほどの斜滝。
高い滝でないが、緑色の釜がとてもすごい。
まだイワナがいそうだが、水があまりに澄んでいて、こんなところでは勝負にならない。
そのすぐ上は、樋状のナメ。
ここで一旦左岸へ渡り、再び右岸へ。
二俣手前で、10メートルほどの大滝。
これは直瀑で、力強く流下していた。
滝下へは多分降りられるが、先も長いので、登山道から眺めるにとどめた。
左俣を渡り、右俣沿いのブナ林を少し行き、小滝の先に分岐があるのを確認して、仙人大滝へ向かう。
しばらくは道があるが、すぐに水量が激減し、沢の中を行く。
仙人大滝はかなり手前から見えていて、美瀑というか、奇瀑である。
滝の上半分と下半分は別の岩からできており、落ち口から全体で20メートルほどの落差がある。
水量はごく少なく、雨降るような滝だ。
瀑流の一部が下半分の岩に落ちて反射するから、まるで下の岩の中から水が吹き出しているかのように見える。
滝鑑賞後、登山道に戻り、尾根にとりつく。
小さな尾根を乗っ越してしばしトラバース。
次の尾根に移ったところから、本格的な登りが始まる。
1022メートル小ピークまで、ちょっとした岩場を含む急登で、苦しいが、登りきってしまえば楽になる。
増川岳のヒバを見てしまったから、ちょっと貧相に見えてしまうが、ヒバの群落があって、これは十分貴重だと思う。
圧巻だったのは、ネズコだ。
何本かの巨木を見たが、一番大きかったのは、2本の大ネズコが合体したような樹だった。
圧倒されるような思いで、樹の周りを見ると、幹の真ん中からタカノツメが生えていた。
もとは別々だった3本の樹が合体したのかと思うが、すごい樹だった。
右山のトラバースになり、水流の音が聞こえてくると下りになって、仙人沢の源頭を渡る。
そこそこの流れなので、ここは夏でも枯れなそうだ。
もう一つ先のクボが尾根への登路になる。
ここにも水流があったが、こっちはか細い。
灌木帯になるとまもなく、尾根道に出た。
ここも数日前に刈られたばかりで、歩きやすくなっていた。
少し登って下り、仙台神室への最後の急登。
笹の中のヒナウチワカエデが真っ赤に紅葉している。
展望を遮るものはないのだが、ガスガスのため、すぐ近くしか見えないのは、とても残念だった。
風のあたらないところでは、オヤマリンドウがまだよく咲いていた。
短いがけっこうきつい登りを頑張って、仙台神室。
灌木に囲まれた小天地で、ガスのため、展望がいいかどうかはわからない。
強い風が吹いていたのだが、山頂は穏やかだった。
ここで大休止。
途中で摘んできたナラタケとハナイグチはここで消費した。
帰りは来た道を戻り、分岐を直進して山形神室へ。
急なところを登りきると、清水峠の分岐。
そのすぐ先が山形神室。
仙台神室は仙台じゃないと思っていたが、仙台市太白区(旧秋保町)に入っていて、山形神室は山形市と仙台市の境界なのだった。
やや急降下して、やや登り返せば1241メートルのピーク。
このあたり、鞍部は風が集まるところらしく、けっこうな強風が吹いていた。
ササの丈が低いので、好展望なんだと思うが、何も見えない。
ぐっと下って小さな岩場を越えると小ピークで、トンガリ山というどうでも良さげな山名板がある。
そこからしばらく西側の巻きになるので、風が遮られる。
ピークからやや下ったところに三角点。
晴れていれば眼下に駐車場が見えているだろうと思われる斜面をトラバースで下る。
ガマズミがたくさん実っていたので、少しずつ摘んだ。
駐車場近くには、アキグミもできていたので、なかなか進まなかったが、まずまずいい時間に下山できた。
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