ブナの王国
- 和賀岳 -

【年月日】

2020年10月2日
【同行者】 単独
【タイム】

駐車スペース(6:51)−高下登山口(7:10)−赤沢分岐(7:43)
−高下分岐(8:14)−渡渉点(13:09-13:09)−コケ平(10:30)
−和賀岳(10:58-11:32)−渡渉点(13:24)−高下登山口(14:50)
−駐車スペース(15:23)

【地形図】 大神成 北川舟 ルート地図(マウスホイールまたは左下のズームで拡大・縮小)

 高下川に沿う林道には通行止めの表示が出ていたが、通行に支障はなく、走行できた。
 とはいえ、さほどよい路面状態ではなかったので、ロープの張られたところよりやや手前の広いところに自動車をとめた。

 天気はさほどよくなくて、パラパラと降ってもきたが、高気圧に覆われて降水確率はゼロパーセントだと言っていたので、気にならなかった。
 登山口でカードに記入して出発。まずまず、いい時間だった。

 最初はスギの植林地。
 傾斜が出てきたあたりから、ブナ林となった。
 紅葉にはまだ早く、風情は夏山同然だったが、ブナの倒木にツキヨタケの赤ちゃんが出始めていて、秋を感じさせた。
 数日前に刈払されたのか、とても歩きやすい状態だった。

ブナ(大きな写真)
ブナ(大きな写真)

 ひと登りで赤沢分岐。
 分岐とはいえ、赤沢登山道は存在しなそうなので、単に尾根の上の地点である。
 ここからブナ原生林の緩やかな登り。

 ここは道幅広く、傾斜もほとんどない尾根なので、ブナ林散策という感じだ。
 秋の山独特の、甘い香りが立ちこめていた。
 道わきの倒木を見ながら行ったが、ヌメリツバタケモドキとツキヨタケしか出ていなかった。

 高下分岐は高下岳との分岐。
 ここを右折して、普通の登山道になる。
 ブナ原生林は続く。

 約250メートルの下降はもったいないが、やむなし。
 ブナハリタケも見られ始めた。
 沢音が聞こえてき、ネズコの大木が多くなってくる。

ブナ(大きな写真)
チシオタケ(大きな写真)

 和賀川は平水と見えたが、飛び石で渡れるところはなさそうだった。
 それでもなんとかなりそうなところを選んで渡ろうとしたら、いきなり滑って靴を濡らした。
 覆水盆に返らずだが、渡渉用に持ってきたサンダルに履き替えて、渡った。
 水はすこぶる冷たく、ちょっと耐え難いほどだった。
 禁漁期に入ったので、のんびり泳いでいたイワナが走った。

ブナハリタケ(大きな写真)
ツキヨタケ(大きな写真)

 ここから約600メートルの急登なので、心づもりをして登る。
 やはりブナ林で、巨ブナも点在する。
 ブナハリタケの出た立ち枯れは、帰りに摘むことにした。

 オヤマリンドウはほとんど花がらだったが、新鮮な花もいくらか見られた。
 標高を上げていくと、灌木が色づいているからか、なんとなく秋っぽい。

ニガクリタケ(大きな写真)
オヤマリンドウ(大きな写真)

 苦しい登りを続けていくと、ブナ林から灌木帯になり、傾斜が緩むと森林限界を越えて、ネマガリタケの中に出る。
 ミネカエデの紅葉はちょうど見ごろで、いい感じだった。

和賀岳(大きな写真)
コケ平(大きな写真)

 こけ平に登りつくと、和賀岳のピークが目の前にそびえていて、かなり感動する。
 ここで標高1300メートルをちょっと越えたくらいなのだが、見た目は3000メートルの稜線と遜色ない。
 ササ原に紅葉のコントラストが美しい。

 花はほとんど枯れ尽くしていたが、ハクサンシャジン・アキノキリンソウ・ニッコウキスゲ・セリ科の花などの花殻がたくさんあって、開花期に来ればすごいだろうと思われた。
 西側には、雪崩に磨かれた薬師岳の急斜面に食い込む、和賀川支流の源流部が凄まじい。

薬師岳(大きな写真)
ダイモンジソウ(大きな写真)

 傾斜なく、涼しく、展望よい稜線をゆっくり登り、少しヤブっぽい小ピークをトラバースして、最後の短い急登をこなせば、和賀岳の山頂だった。
 展望絶景だが、いくらか雲があって、遠望はきかなかったため、岩手山や鳥海山は見えなかった。

 北には田沢湖が見え、西側・薬師岳の向こうはずっと以前に釣りまくった斉内川が流れているはずだった。
 近景はあまり馴染みのない和賀山塊だが、ブナに覆われた山々を望むことができた。

オニシオガマ(大きな写真)
ミズの玉(大きな写真)

 ゆっくり休んでいると、秋田県側から3人づれのハイカーが登ってきた。
 秋田県側はヤブがきついという話だった。

 帰りは来た道をきのこを摘みながら戻った。
 下山口近くでは、ダイモンジソウやオニシオガマが咲き、ウワバミソウのむかごができ始まっていた。
 きのことミズ玉で、ザックがいくらか重くなった。