出羽三山

【年月日】

2019年9月14日-15日
【同行者】 単独
【タイム】

9/14 弥陀ヶ原(11:19)−仏生池(12:54)−月山(13:51)−仏生池小屋(14:55)
9/15 仏生池小屋(5:04)−小休止(5:37-5:48)−弥陀ヶ原(6:46)
    羽黒山神社はタイムとらず
    湯殿山駐車場(12:10)−湯殿山神社(12:45)−湯殿山駐車場(13:00)

【地形図】 立谷沢 湯殿山 月山 大網 ルート地図(マウスホイールで拡大・縮小)

 ロングドライブで鶴岡市街へ。
 休みながら走ったので、疲れはさほどでないが、腰が痛い。
 さて、月山はいずこ?

 山形・秋田の山に来たとき、雨模様だったことが多かったので、他の山から月山を眺めた記憶もない。
 カーナビの指示で市街地を抜けると、とても伸びやかな山が見えた。
 あれに違いない。

池塘1(大きな写真)
池塘2(大きな写真)

 田んぼの穂波は黄金色に輝き、稲刈り最中と言ったところだ。
 今年から田んぼをやめた自分にとって、やや心痛むところもあるが、やむを得ない。

 山に取りつくとどんどん登ってブナ帯を過ぎ、森林限界直下の灌木帯まで走ったところに、広い駐車場があった。
 こんなに登ってくるとは思わなかった。
 眼下には黄色く染まった庄内平野と、その彼方の日本海がが望まれた。

 駐車場から自動車があふれており、手前の路側にどうにか、とめることができた。

 登山口の手前にウメバチソウやタカネトウウチソウが咲いており、10メートルも歩けば、そこは早くも湿原の一画なのだった。
 弥陀ヶ原の周遊路は、右回りコースを行った。

 草原はいくらか色づき始めており、オヤマリンドウとタカネトウウチソウがちょうど盛りと咲いていた。
 ダイモンジソウも見たが、あまり多くなかった。

 先日の八甲田山に引き続き、草原と池塘を眺めることができ、じつに甘露だった。

池塘3(大きな写真)
ミヤマリンドウ(大きな写真)

 湿原横断ののち、ネマガリタケの中を緩やかに登っていく。
 石がゴロゴロしているが、石畳状に整地してあるので、歩きやすい。

 雲が多いながらまずまず晴れていて、ほぼずっと展望がよい。
 山体の東側にも広い湿原があるのが見えていた。

 仏生池小屋は、下から見ると鋭角的に見えるピークを巻き登った鞍部にあった。
 この日は仏生池小屋までとも考えていたが、小屋に着いたのが13時前と、山頂へ十分行ってくることができる時間だったので、そのまま登り続けた。

黎明(大きな写真)
仏生池小屋(大きな写真)

 あと二つのピークも巻いて登れば、尾根に出る。
 そろそろ山頂かなと思うのだが、頂稜は意外に細長く、そうかんたんにピークに立てるわけではない。
 それでも、木道の敷かれた平坦地を過ぎると、ミヤマリンドウやウサギギクが多くなってき、月山神社の下に立った。
 ここにもいい感じの池塘があった。

 月山神社に立ち寄ろうとしたら、拝観料が必要だと書いてあったので、まぁいいかと思って由緒書の看板の写真を撮ろうとしたら、「看板の写真も撮らないでください」と注意された。
 いくらか疲れたので、山頂の一画でラーメンでも食べようかと思ったが、ここでラーメンなど食べないでくださいと言われそうな気もしたので、休むのは諦めて、早々に下山にかかった。

 結局、歩きはじめから全く休まずに山頂を往復して仏生池に戻った。

オヤマリンドウ(大きな写真)
弥陀ヶ原(大きな写真)

 疲れすぎてぶっ倒れそうだったので、部屋に入ってから、小屋の外でコーヒーとアルコール飲料を飲みながら、ラーメンを食べた。

 仏生池小屋は半ば宿坊のような小屋で、山伏の格好をした人が泊まってたり、精進料理が出たりした。
 有人小屋泊は、ほんとにらくで助かる。

 客室の電灯は8時ごろ消えたが、1階の食堂では遅くまで宗教談義の声が聞こえていた。
 しかし疲れもあって、まもなく眠ってしまった。

 翌朝の食事は4時半でお願いしてあった。
 朝からラクをさせてもらった上、5時ごろに小屋を出ることができた。

 ちょうど東の空が赤く染まり始める時刻で、下り始めてすぐにご来光だった。
 西の空は完全に曇っていたが、東側がわりあい晴れていたのは幸運だった。

 ゆっくり下っていくと、早い人たちがポツポツ登ってきた。
 弥陀ヶ原の駐車場に着いたのはまだ7時前だった。

 自動車に乗り、どんどん下って、羽黒山へ。
 早朝は涼しかったが、8時前なのに早くも暑くなった。

 駐車場からほぼ空身で、まずは五重塔へ。
 めったに見ることができない内部の拝観が許可されているとあって、見ないわけにはいかない。

 五重塔の手前に爺杉。
 このあと無数の杉の巨木をみるのだが、それらと比べてもはるかに大きな巨木だった。

 受付は8時半からということで、30分ほど待って中に入れてもらった。
 もとは聖観音、軍荼利明王、妙見菩薩がおられたらしいが、今は大国主命の人形がおかれている。
 これはちょっと釈然としないし、もといた諸仏はどこに行かれたのだろうか。

 次に2階から内部をのぞかせてもらった。
 荒いながらも精巧な木組みがみごとだった。
 塔の外に出て、東横のお守り売り場でVRという機械を使って内部を見せてもらうと、木組みの凄さがありありとわかった。

 その後、出羽三山神社(羽黒山神社)へ。

 神社のある小ピークへは長い石段で登る。
 両側はずっと杉並木なのだが、その殆どが巨木ばかりで、圧倒される。

 なかなか着かないので、空身で登ってきたことを後悔する。
 参道の途中にもたくさんの神社があって、列島の著名な神様はほとんど祀られているのだが、山頂一帯にも同型・同サイズの神社がたくさん並んでいた。
 自動車でここまで来ることができるので、境内はとても賑わっていた。

五重塔(大きな写真)
杉並木(大きな写真)

 境内の中央には茅葺きの鐘楼があり、メインの出羽三山神社にお参りすると、中からはどう聞いても読経と思える声が聞こえていた。
 御朱印をお願いしておいて、境内の各社を参って歩く。
 かなり混雑していたため、数人の巫女さんが御朱印書きしてくれたが、たぶん1時間近く待ったと思う。

 駐車場に戻ると朝来たときには数台しかとまっていなかったのに、満車状態になっており、駐車場に入ろうとする車で渋滞までできていた。

 まだお昼まで間があったので、今度は湯殿山へ。

 駐車場の土産物屋さんで腹ごしらえして、とりあえず今度はザックを背負って車道を行く。
 シャトルバスも出ているのだが、歩いても30分くらいなので、ここは歩いた。

鐘楼(大きな写真)
薬師神社(大きな写真)

 車道の終点からわずか歩いて神社の受付。
 履物を脱ぎ、お祓いを受けてから拝観料を払う。
 ここからは裸足で歩く。

 木戸をくぐってまずはお祓い所へ。
 ここでやや長い祝詞をあげてもらって再びお祓いを受けた後、梵天が林立しお湯の流れる岩場を少し登ったところがご神体だった。
 湯殿山とは、その名のピークのことかと思いきや、噴出する温泉のことだった。

 とりあえず、出羽三山の巡拝ができた。

 出羽三山とは、庄内平野を囲繞する山々を舞台とした修験道の行場だった。
 他の修験寺院同様、神仏分離によるダメージを受けたはずだが、三峯神社あたりだと仏教的要素は境内に殆ど残っていないのだが、ここはそうでない。
 修験寺院としての原像を色濃く残しており、修験とはどのようなものなのか、具体的に見ることができた。