山伏峠に自動車をデポし、不動明王社前までサイクリング。
風はほとんどないが、空気は冷たい。
しばし車道を行くと、石割神社入口の駐車場。
ハイカーだか参詣者だかよくわからないが、とにかくおおぜいの人々が準備体操なんかやっていた。
ここからは、えんえん長い石段を登る。
見るべき花も少なくなったが、ホタルブクロが一輪、名残の花を咲かせていた。
階段登りは単調だが高度の上がるのは早い。
登りついた平坦地には、石割神社の能書きが書かれた看板とあずまやがあり、疎林ごしに富士山の大展望が広がった。
その先はオフロードバイクの轍もある、緩やかな登り。
尾根道なので、富士山がずっと見え隠れしていた。
途中、ヘキサチューブをかぶせた新しい植林地を通る。
ヘキサチューブとは、シカによる食害防止のため、苗一本一本にかぶせる防護筒だが、夏の間に苗が蒸れて弱る問題点がある。
またここのチューブは1.2メートル程度の高さだが、シカ害を完全に防止するには1.7メートルは必要だという。
チューブの中をのぞいてみると、苗はずいぶん枯れていた。
石割神社の奥の院は、割れた巨石の前に置かれた祠。
神社の前の小広場には、カツラの大木が2本。
カツラは沢筋に多い樹木なので、ちょっと珍しい。
ご神体の巨石の割れ目は順路の表示に従って、右回りに回ってみたが、大きなザックを背負ったままでは通れないだろう。
神社からひと登りで、石割山。
ここの展望はすばらしく、真正面に富士山の大展望が広がった。
6〜7合目あたりから上は完全に冠雪しており、真っ青な空を背景に、雪化粧した富士山の立派さ・美しさは、とてもことばでは言い表せない。
ハイカーが次々に登ってき、にぎやかになったので、われわれは山伏峠方面に出発。
こちらの縦走路を歩くハイカーはほとんどいなかったが、朽ちた指導標が随所に立っていて、かつてはずいぶんにぎわったハイキングコースなのだろうと想像された。
自動車を使ったアプローチが一般的になる一方で、列車やバスなど、山歩きに利用できる公共交通は衰退の一途をたどっている。
それがコースの盛衰にも、ずいぶん影響していると思う。
とにかくこのコースは、明るく好展望の、よいコースだった。
尾根の上には、至るところにマユミがどっさり実っていて、まるで赤い花が咲いているようだった。
ツルウメモドキの赤と黄色の実も、ずいぶんあちこちにあった。
時間はまだ早いが、登山道から少し離れたピークで大休止。
ラーメンを食べワインを飲むと、思わず眠ってしまったが、身体がちっとも冷えないほど、暖かな日だった。
大きなツガの生えているところが、山伏峠への分岐。
山伏峠へ下るのは2年ぶりだった。