ブナ沢から菰釣山

【年月日】

2001年12月23日
【同行者】 Tさん・Oさんと3人
【タイム】

道志の森キャンプ場先(8:55)−登山道入口(9:25)
−尾根上(10:05)−菰釣山(11:50)−山伏峠(14:15)

【地形図】 御正体山

菰釣山から富士山を望む
一日目

 この山域を歩くのは、久しぶりだ。
 この前来たのは、10年前の晩秋だった。

 とにかく、水場がないので、のどが渇いてかなわなかった記憶がある。
 今回は、道志側から、森林を見ながら歩く山行きとなった。

 道志の谷は、南斜面はあたたかな日だまりだが、陽の当たらない北側はおそろしく寒い。
 道志の森キャンプ場への狭い道には、うっすらと雪が積もっていた。
 西沢林道に入ってすぐの所に車をとめ、沢に沿う林道を歩き出した。

 Tさんによると、この一帯は、横浜市の水源林となっているそうで、なかなかよく手の入ったスギ・ヒノキ林や、ケヤキ・ブナなど広葉樹の植林地などがあった。
 広葉樹の苗は、植栽後、まだ何年も経っていないと思える若苗だったが、動物の食害にも遭っておらず、順調に生育しているように思えた。

 足の速いOさんとTさんは、どんどん先に行ってしまったが、ブナ沢の出合で追いつき、植栽された樹木のことなどしばし雑談。
 ブナ沢の林道に入ってしばらくで、山道の入口だった。

 はじめは植林地だが、すぐに自然林となり、気持ちがよい。
 雪の上に無数に落ちている、オタマジャクシのような形の種子は、フサザクラの種子だそうだ。
 早春の渓流を、薄紅色に染める、地味な花だ。

 植生はなかなか多様で、大木はサワグルミ、シオジ、ブナなど。
 しかし、さほど大きな木はない。
 イタヤカエデ、ホオ、アオダモなども見られた。
 伐採あとは見えないが、はるか以前から、炭焼きなどの用途に、小規模な伐採が続けられてきたのかもしれない。

 傾斜が強まると、フサザクラの実が見えなくなり、ほどなく、尾根の上。
 中ノ丸と菰釣山との鞍部だ。
 南側斜面には雪がなく、暖かい。

 Oさんから、シナの木とヤマグルマを教わった。
 枯れ木に、チャカイガラタケが出ていた。

 あいかわらずきれいに使われている菰釣小屋を見て、ひと登りで、菰釣山。
 目の前の富士山が巨大すぎて、開いた口がふさがらない。
 富士山は、すごい山だ。

 Tさんから縷々、世附川源流域についての解説をうかがったが、実際に遡行していないので、今ひとつ、イメージに欠けた。
 源流域の樹相は、あまり大きくはない落葉樹林の中に、ウラジロモミが散在するといった感じで、木の密度は、全体にまばらな印象を受けた。
 山は比較的おだやかで、手も足も出ないという感じはしなかった。

 山頂で、若干のアルコールをまじえて大休止したのち、山伏峠に向かった。
 縦走路は、さしたる登降もなく、のんびりとした漫歩コースだった。
 ひとつひとつのピークに「○○ノ頭」と名前入りの道標があるあたりは、さすがメジャーな山はちがうと感心した。

 山伏峠近くは、雪もまばらで、暖かい日だまりになっていた。