ガスときどき晴れ
−谷川岳から平標山−

【年月日】

2014年7月25日〜26日
【同行者】 単独
【タイム】

7/25 土合駅(7:28)−谷川岳ロープウェー土合口駅(7:48)−(ロープウェー)−天神平(8:21)
   −熊穴沢避難小屋(8:57-9:03)−トマの耳(10:05)−肩の小屋(10:09-10:13)
   −オジカ沢避難小屋(11:08-11:12)−大障子避難小屋(11:54) (泊)
7/26 大障子避難小屋(4:44)−万太郎山の肩(5:46-5:56)−エビス大黒ノ頭(7:55)
   −エビス大黒避難小屋(8:26-8:49)−仙ノ倉山(9:24)−平標山(10:10-10:13)
   松手山(11:01-11:03)−元橋バス停(11:58)

【地形図】 土樽 ルート地図

 花の少ない山が続いたので、静かで花の多い山に出かけようと思い、谷川連峰横断コースを歩いてみた。

 土合駅の前に自動車をとめて、ロープウェーの駅へ急ぐ。
 平日なので、始発は午前8時だが、切符売り場には早くも列ができていた。

 このところ、乗り物を利用して登る山ばかりだったが、今回は、極めつけの乗り物登山だ。
 とはいえ、1000円ちょっとで標高差600メートルをバイパスできてしまうのだから、ありがたいことだ。

クガイソウとコヒョウモン(大きな写真)
ヨツバシオガマ(大きな写真)

 天神平で身支度を整え、登山道に入る。
 貧相な樹林帯が続くので、花も特になし。

 熊穴沢避難小屋まで登って、腹ごしらえ。
 おなじような樹林帯から抜け出て、花の咲く傾斜草原に入ると、ヤマブキショウマ・オオバキボウシ・ハクサンシャジン・ニッコウキスゲ・ヨツバシオガマなどが目に入る。
 いいところではあるが、傾斜はきつくなって、足が上がらない。

 午後の天気がやや不安だったので、谷川岳をパスしようかとも考えたが、たいした距離でもないので、トマの耳に直行したが、人が多かったので回れ右をして、肩の小屋で休んだ。

ハクサンフウロ1(大きな写真)
タカネアオヤギソウ(大きな写真)

 肩の小屋では、登山道の刈り払いをする人が休んでいたが、縦走路に入ると、ちょうど刈ったばかりのようで、ありがたかった。

ダイモンジソウ(大きな写真)
ニッコウキスゲ1(大きな写真)

 ここからの尾根道はそれなりに花も多く、展望は今ひとつながら、谷川連峰らしい草原が続く。
 草原帯にはキオン・タカネアオヤギソウ・ハクサンフウロ・シモツケソウ・ニッコウキスゲ・オオバギボウシ・クルマユリなどが多く、ややガレたところには、タテヤマウツボグサ・ダイモンジソウ・コキンレイカ・ミネウスユキソウなどが咲く。

ミネウスユキソウ(大きな写真)
オオバギボウシ(大きな写真)

 オジカ沢の頭付近はやせ尾根だが、通行に問題はなし。
 コルゲート管の避難小屋前で、小休止。
 ガスは消えないが、天候はもちそうだ。

やせ尾根を行く(大きな写真)
クルマユリ1(大きな写真)

 小障子の頭を越えると、赤谷川源流の雪渓が見えてくる。
 お昼前には、この日の泊まり場と考えていた大障子避難小屋に着いた。

クルマユリ3(大きな写真)
振り返る小障子ノ頭(大きな写真)

 なにはともあれ、まずは水汲みに行く。
 群馬県側に10分ほど下って行くと、ササの中に水が湧く水場があった。

メスティンとG-ストーブ STG-10(大きな写真)
マイサギソウ(大きな写真)

 稜線から遠くはないが、近くもない。
 4リットルほど汲んだが、登り返しがきつかった。

モウセンゴケ(大きな写真)
ハコネギク(大きな写真)

 時間的には越路の小屋まで行けないことはないが、そこそこ疲れたので、今日はここまでとする。
 金属製の小屋なので、内部はひどく暑い。
 コメ2合を研いだあと、小屋前のコンクリートのタタキで、寝転んでいた。

俎グラ山稜 川棚ノ頭(大きな写真)
大障子避難小屋(大きな写真)

 この日の火器は、G-ストーブとメスティン(小)だった。
 G-ストーブは多少重いのが難点だが、コンパクトに仕舞えるのと燃費の安いCB缶が使えるのがよい。

 1合分のコメを食べて寝転んでいたら、二人連れのハイカーがやってき、さらに夕方、小屋の中でうとうとしていたら、もう一人のハイカーがきた。
 これで、この日の宿泊者は合計4人となった。

 雲が少しずつ増えてきてはいたが、天候はまずまずだった。
 小屋周辺の植物や周囲の景観の写真を撮ったりしたのち、暗くなる前に眠ってしまった。

谷川岳から日が昇る(大きな写真)
万太郎山の稜線(大きな写真)

 夜の間、かなり強い風の音が聞こえていた。
 また、いくらか雨も降ったようだった。

 翌朝は、単独の人が早くおきて動き出した。
 外を見ると、濃いガスに包まれていたので、あまり頑張って早くおきなくてもよさそうだった。
 それでも、薄明となった4時過ぎには食事の支度を始めた。

 ずいぶん早く起きた人は、いつまでもがさごそしていたが、動く気配がなく、小屋を出たのは、自分が一番早かった。

 大障子の頭へ登って行くと、背後の谷川岳から朝日が昇った。
 ご来光のあと直ちにガスに包まれたので、ほんの一瞬だったが、良い光景を見ることができてよかった。

 ここの下りから刈り払いがされてなかったため、はいていた合羽ズボンの裾がずぶ濡れになった。
 万太郎山の登りにかかると雲ひとつない快晴となり、この日の山歩きに期待が持てた。

押し寄せる雲(大きな写真)
エビス大黒と仙ノ倉山(大きな写真)

 万太郎山の方で小休止。
 群馬県側からガスが昇ってきて、大障子小屋付近や毛渡乗越など、稜線鞍部にあふれていた。
 なかなかみごとな光景だった。

シモツケソウ(大きな写真)
百花繚乱だが草ヤブが深い(大きな写真)

 万太郎山から東俣ノ頭の肩をかすめて毛渡乗越までは、刈払されていないため、歩きづらいが、花はもっともよく咲いていた。  ハクサンフウロ・タテヤマウツボグサ・クルマユリ・ニッコウキスゲ・キンコウカ・ウサギギク・シモツケソウなどを、いたるところで見ることができた。

峻険な山腹(大きな写真)
ハクサンフウロ2(大きな写真)

タテヤマウツボグサ1(大きな写真)
タテヤマウツボグサ2(大きな写真)

クルマユリ3(大きな写真)
クルマユリ4(大きな写真)

ニッコウキスゲ2(大きな写真)
キンコウカ(大きな写真)

 毛渡乗越から先は、数日以上前に刈られたようだった。
 ここからは、足元が見えて歩きやすくなった。

 ハクサンシャクナゲやコメツツジの咲く灌木帯にクジャクチョウが一頭、止まっていた。
 クジャクチョウを見ると、幸福だったころを思い出してしまう。

ウサギギク(大きな写真)
クジャクチョウ(大きな写真)

 エビス大黒ノ頭へは、ゆるいが長い登りになる。
 毛渡乗越で休まなかったので、そこそこきつかったが、ゆっくり行った。

 万太郎山から見た時にはよく晴れていたのに、この時間には、エビス大黒ノ頭もすっかり、ガスに包まれていた。
 群馬県側からは冷たい風が吹いていたが、暑くなくてちょうどよかった。

 エビス大黒避難小屋の位置は、地形図よりかなり仙ノ倉山に寄っている。
 ここで大休止。

 仙ノ倉山へはこの日最大の登りだが、それでも標高差250メートルほどにすぎない。
 ここの登りも花のきれいなところだった。

チングルマ果穂(大きな写真)
コゴメグサ(大きな写真)

 地形図で見るほどの急登でなく、難なく仙ノ倉山に着く。
 ここまで来ると、軽装のハイカーがたくさん休んでいた。
 ここに来るのは、27年ぶりだが、展望もないのでパス。

 平標山へは、木の階段でていねいに整備された道を行く。
 雰囲気的にはもう下山したような気分だが、先はまだ長い。

ハクサンシャジン(大きな写真)
ミドリヒョウモン(大きな写真)

 今しばらく、涼しいところを歩きたいので、平標山からは、松手山コースを下る。
 松手山への尾根は、いかにもオーバーユースと思われ、やや荒れているが、花は多い。
 日帰りハイカーがひっきりなしに登ってきていた。

 松手山で小休止すると、樹林帯の急降下になる。
 苗場スキー場で行われているロックイベントの音が、響いてきた。

 メロディまでは聞こえないが、「ドワドワ」というベースの音と歌い手の絶叫が愉快でない。
 ここしばらく、山行中は、夏川りみの歌が頭のなかで鳴っているのだが、それもかき消されてしまった。

 ともかく、12時前には元橋のバス停に着いた。
 ここで約40分の待ち時間、越後湯沢では2時間の待ち時間だったため、土合に着いたのはずいぶん遅かった。