赤沢林道は全面舗装のよい道だが、まわりの林には見るべきものはない。
昨年はカラマツ林と雑木の二次林のところではきのこはまったく出ていなかったのだった。
しばらく行くと工事用道路との分岐。
林道を行っても何もなさそうだったので、ここは山道に通じる工事用道路に入る。
工事用道路をしばらく行くと新しい鉄塔があり、その先で登山道と交差していた。
ここから登山道に入る。このあたりはブナ、ミズナラの若木が生えた二次林だが、下地はなかなかいいところだ。
しばらく行くと道の山側にときどきクリタケが見られだす。
谷側にはサルナシやヤマブドウがからみついており、水平な道とはいえなかなか気が抜けない。ヤマブドウは昨年より大量に実っていたので帰りの楽しみとした。
やはり山側でナラタケ、マスタケなどもいくらかとりながら行くとササのなかのブナ・ミズナラ原生林。
ここはとりあえずザックをおろし、ヤブに飛び込んでミズナラの大木の根ぎわを物色するが、マイタケは形もなかった。
水場の小沢を渡り、いよいよ峠の登り。
皇海山、武尊山、日光白根山、至仏山などがつぎつぎにあらわれる。去年冠雪していた白根山は今年は雪はまだのようだ。
ムキタケ、ブナシメジ、シイタケなどがちらほら見られだす。
ムキタケは典型的なムキタケ色でなく黄色が強いのが今年の特徴のようだった。
赤沢峠には10時半着。
あずまやの近くのブナの立ち枯れにブナハリタケが出ていたがもうすでにホウけていた。
下の方でもブナハリタケを見たがきのこ虫が大発生していたので、何となくきのこは望みが薄そうな予感がしてきた。
稜線には昨年同様ブナの立ち枯れがたくさんあったが、ブナハリタケはいずれもホウけており、ムキタケにも虫がたくさんついていた。
稜線一帯にブナハリタケの甘い匂いがうるおっているので、倒木にきのこが出ているらしいことがわかるのだが、ササが繁茂していてどこに倒木があるのかわからない。
ナラタケも出ていたがやや古かった。結局、ここの稜線では少々のムキタケとヌメリツバタケモドキがとれただけだった。
正午前に稲包山着。
去年もよかったが、今年は快晴のうえ無風でじっとしていても暑いくらいだ。展望はもちろん360度で絶景。
40分ほど頂上でのんびりし、下山にかかる。
赤沢峠手前のピークから鉄塔巡視の道に入ってみると、鉄塔までは立派な道だったのだにその先は道なし。
戻るのは面倒なのでここからは背丈を没するササヤブをこぎ下る。
すぐに登山道に出るかと思ったが、やがてタラッペのヤブとなり、傷だらけになりながら下りていくとちょうど水場のところに下りついた。
友人は途中まで一緒だったが、私がタラッペ地獄であえいでいるときクリタケの大株を見つけたとうれしそうな声をあげていた。
かれは私が水場に出てからしばらくして、「このヤブこぎはケガの功名だった」と言いつつ、クリタケでいっぱいのかごをかかえて下りてきた。
水場で小休止したのち、来た道を戻る。
ヤマブドウのなっているところが3か所ほどあったが、そこでブドウを摘みながら帰った。
ここのブドウをビニール袋につめてザックに入れると、ほとんどカラだったザックがずっしりしてきた。
友人はヤマブドウを黒いゴミ袋に入れていたが、それを山道で持って歩くのはたいへんそうだった。
秋の山はカラでも中型のザックを持っていったほうがよい。