豊穣の稲包山

【年月日】

1992年10月22日
【同行者】 単独
【タイム】

赤沢登山口(6:45)−赤沢峠(8:55)−稲包山(10:10)
−赤沢峠(11:40)−赤沢登山口(1:15)

【地形図】 四万

赤沢峠のブナ
 赤沢スキー場の緩斜面をすこし登ると四万温泉への道標がある。
 登山道はそこから。

 この道は「上信越自然歩道」になっており、広くて歩きやすい。
 ふるい朽ちかけたベンチを見ながらやや急な階段を登ると、やがて尾根のすぐ下をトラバースするようになる。

 あたりはカラマツと雑木の混合林だがキノコはまったくなし。
 やがてクリやカエデなどの雑木林となる。

 しばらくで、地形図には出ていない林道。
 林道を渡ると道がせまくなる。

 しかしヤマブドウやウルシやブナなどの紅黄葉が美しく、雲ひとつない快晴だったこともあって、久しぶりに命の洗濯だ。

 左下に舗装された林道が見えるあたりからミズナラの木が多くなる。
 もう少し時期が早ければササヤブをこいでもマイタケを捜したくなるところだ。

 ずっとトラバース道だが、赤沢峠直下の送電線が近づいたあたりですこし下り、小沢を渡り、ジグザグに登っていく。
 そのあたりから登ってきた尾根が見え、登山道の周囲だけを残してあとはほとんど伐採されているのがよくわかる。

 小尾根の上の鉄塔のすぐ下にかぼそい水流があり、鎖場。
 ここが最後の水場。
 赤沢峠はそこからすぐだった。

 峠にはあずまやが建っており、四万への道は11月いっぱいまで通行止めと書かれた立て札でふさがれていた。
 峠のすぐ下でブナの立ち枯れにムキタケが少し出ているのを見つけた。

 峠からはゆるい登り。
 ブナとダケカンバが目立つ林だ。

 ブナハリタケの出た立ち枯れを見つけたので、ササをこいでそばまで行ってみると、まずまずのブナハリタケと、かなり大量のムキタケが出ていた。

 ピークを越えると前方に三角錐の稲包山が見えてくるがずいぶん遠く感じる。

 稜線につけられた歩きやすい送電線巡視道をずっと行き、稲包山直下からササのなかのかぼそい道。
 ここからの登りは多少きつい。

 傾斜がゆるむと雨量計のある稲包山の肩だ。
 ここから10分ほどの急登で待望の稲包山に着く。

 ここまではほとんど風もなかったが、頂上だけは冷たい風が吹いていてかなり寒かった。
 しかし相変わらず雲ひとつない快晴で、三六○度の大展望がすばらしかった。

 山頂に吹く強い風をさえぎるものがまったくないのでじっとしていると寒い。
 名残惜しいが下山にかかる。

 この季節になるとブナハリタケはかさが開ききっており、悪くなりかけているのも多かったが、ムキタケはちょうどよかった。

 この日は法師温泉にいきたいと思っていたのだが、そうなると1時半ごろには下山しなければならず、思ったより忙しくなってしまったので、山中での食事はやめにした。

 こんなことなら食事用具など持ってこなければよかったのだが、それは結果論。

 水気の多いブナハリタケとムキタケ、そしてヤマブドウでずっしり重くなったザックを背負い、先を急ぐ。

 法師温泉にはゆうに間に合った。入浴料はタオルつきで八百円とやや高かったが、足元から湧く源泉とランプが最高だった。