苗場の山塊を背負った小赤沢の集落には水の流れが多く、家のすぐ下に水流を引いてヤマメを飼っている家が多い。
やや傾斜が楽になり、樹林帯が開けて荒地ようになった好ましい場所(おそらくここが三合目だと思われる)に近づくと、不審なエンジン音。
ほんの少ししか登らないが初めて展望が開ける場所にきたので、またもやザックを下ろして休憩。
一本調子のかなり疲れる登りがつづいた。
六合目付近で最後の水場。
西側が開けているがガスのため展望はない。
頂上台地は、尾瀬が原を山上に持っていったようなところで、晴れていれば展望も最高によいだろうが、この日はガスが流れるあいにくの天候。
しばらく行くと、樹林帯を抜けて、また広い湿原。
テントを張っておそい食事にする。
ガスがしだいに濃くなり、雨が降りだしたので、テントにもぐりこむといつしかうとうとしてしまう。
夕食をとるべき時間になったが、私は腹がすいていなかったので、小屋でビールを買って友人の煮たキノコをつまみに飲む。
そうしているうちに再び雨になったので、早々にテントへ。
翌朝は、テントをたたく雨の音のため、なかなか起きだす気にならなかったが、霧雨になったとき、思い切って外へ出た。
神楽峰手前の鞍部のあたりは、一面お花畑となっており、ウメバチソウ、アキノキリンソウ、コゴメグサ、オヤマリンドウなど秋の花。
カミナリ清清水は苗場山の水場のなかでは最もおいしい水であった。
神楽峰からしばらくゆるく登下降して小松原への分岐。
霧ノ塔は二千メートル近い高度を持つ双耳峰で、山頂は背のあまり高くないササとシャクナゲと潅木におおわれており、展望のよいところである。
そろそろ登るのがいやになってきたが、がまんして登っていくと、釜ノ峰。
北から西にかけての空が晴れてきた。
ロボット雨量計・避難小屋は柱がひしゃげており、屋根が沈んでいて、雨宿りのために使うこともまず不可能であろうと思われるほど荒廃していた。
右側の枯れ木にブナハリタケが無数に群生していた。
しばしの下りで、今夜の泊まり場である三角屋根の小松原小屋。
中に入ってみるととても綺麗に使われていた。
小屋に戻ると、同宿者となる三人パーティが到着。
翌朝は早起きをした。
しばらく下って、小さな沢にぶつかり、さらにかなり水量のある沢を渡る。
金城山からは、やせ尾根伝いの急降下である。 |