ミズナラ巨木に出会う
−白井差峠から芋掘ドッケン−

【年月日】

2017年6月17日
【同行者】 全部で2人
【タイム】

中双里(4:22)−小休止(5:02-5:07)−小休止(6:00-6:12)−白井差峠(6:26-6:29)
−1441ピーク(6:54-7:03)−芋掘ドッケン(7:53-8:33)−倉明山(9:25-9:46)
−稲荷神社あと(10:41)−滝沢ダム駐車場(11:16)

【地形図】 両神山 中津峡 三峰 ルート地図(マウスホイールで拡大可)

 今年2度目のJICKYさんとの山歩きだった。

 白井差峠から東への尾根は、御岳山まで伸びている。
 明瞭な登山道は存在しないが、歩く人がいるので、踏みあとはあると思われた。
 しかし、御岳山までは、かなりのロングコースである。
 行って行けないことはないと思われるが、あまりにハードだ。
 相談の上、ほぼ中間点の倉明山まで行き、滝ノ沢集落あとへの尾根を下ることにした。

畑あと(大きな写真)

こぶミズナラ(大きな写真)

 中双里の駐車スペースから中津川を渡り、道標に従って集落を抜ける。
 ここは、道標がないと人家の庭に入ってしまいそうなところだ。
 たくさんの家が斜面に立っており、自分の集落よりずっと賑やかだ。

 畑は集落裏の急斜面だけだから、ここで食糧の自給はまず不可能だ。
 これだけの人々が暮らしていけるだけの仕事とはなんだったのだろう。

 とてつもない急斜面にみごとな石垣が築かれて、畑になっているのだが、作物は植えられていない。

 それにしても、ひどい急登だ。
 地形図を見ると、ほとんど緩むことなく、白井差峠まで一本調子の急な登りが続いている。
 ほぼ植林地なので、見るものにも乏しい。
 そんな中で、大きな瘤のあるミズナラの大木が、印象的だった。

枯れたミズナラ(大きな写真)

大ミズナラ(大きな写真)

 井戸山直下でトラバースになり、急登から解放される。
 登りついたところが白井差峠で、梵天・両神山方面への道が続いている。

 ここから東への尾根を行く。
 傾斜は緩やかで、尾根の北側は二次林で南側はカラマツ林と二次林だ。

 ときに岩峰もあるが、困難なところはなく、淡々と進む。
 1424メートルピークの肩あたりはブナやミズナラの大木があり、意外でもあり、楽しくもある。
 なかでも、写真のミズナラは、これまで秩父で見た中では最も大きいと思われ、みごとだった。

 展望のない芋掘ドッケンで大休止。
 じっとしているといささか寒い。

ドウダンツツジ

ミツバツツジ(大きな写真)

 その先、尾根が広がってややわかりにくい。
 1331ピーク前後で、後ろを歩いていたJICKYさんが「熊だ」というので、そちらを見ると、樹木の向こうに熊の大きなお尻が見えた。
 カメラの準備をしているうちに熊は去ってしまい、写真を撮ることはできなかった。
 この日は熊生息地を歩くので、鈴を下げていたのだが、このときは鈴がウェストベルトに引っかかって、音が出ない状態だった。

巨ミズナラ(大きな写真)

同じ木(大きな写真)

 さらに二次林をしばらくで、倉明山。
 御岳山への尾根はわかりにくく、尾根を行くと自然にこのピークにたどり着く。
 倉明山からは南へ下るかなり明瞭な踏みあとがあった。

 ここが白井差峠から御岳山のほぼ中間地点だ。
 時間はまだ十分残っていたが、そこそこ疲れたので、ここから下ると決めたのは正解だったと思う。

 踏みあとがあるとはいえ、間違えそうな尾根の分岐がいくつかあって、注意を要した。
 標高1230メートル圏・900メートル圏あたりはGPSに頼りつつ、進んだ。

神社跡とご神木(大きな写真)

稲荷神社あと(大きな写真)

 東西の尾根に乗れば、御神体のない三社あと。
 ご神木と覆屋は朽ちていなかったが、どこか虚しい。

 その先の稲荷神社と神楽殿は完全に倒壊し、原型をとどめていなかった。
 集落あとへ降りる道も消え消えだったが、もとの滝ノ沢耕地上部に降り立つ。
 しっかり積まれた石垣は健在だったが、畑も屋敷も消えて、やはり虚しい空間を作り出していた。
 かつての稲荷神社の祭礼の様子を記した説明看板を見ると、子どもを含むじつにおおぜいの人々が、祭りを楽しんでいる。
 ここに写っている方の多くはご存命だろうが、新天地で祭礼は続けられているのだろうか。

 滝沢ダムの駐車場までは、すぐだった。