緑滴る初夏の里山
−長合沢から毘沙門山−
【年月日】 |
2012年5月27日 |
【同行者】 |
単独 |
【タイム】 |
林道終点(8:53)−小尾根取付き(9:43)−毘沙門山(10:28-10:38)−小尾根取付(11:13)
−林道終点(12:01)
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【地形図】 |
長又 ルート地図
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無名滝
| 白花オドリコソウ
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毘沙門山は、自宅からもっとも近い三角点峰であり、大展望の岩峰だが、頂稜岩壁をなす一部の石灰岩が採掘されたために登山道が寸断され、現状はちょっとした難峰になっている。
6年前に、旧登山道のある大指(おおざす)から登ろうとした。
このときには、頂稜の一角まで到達することはできたものの、三角点とのあいだの尾根が削られてあったため、それ以上進むことはできなかった。
南側は基本的に絶壁なので、尾根通し進めない以上、登るのはむずかしい。
そこで今回は、北側からとりつくこととし、倉尾地区から要トンネル手前の沢(長合沢)をつめ、山頂に至る小尾根をずり登れば、行けるのではないかと考えた。
長合沢に沿う林道はそれほど荒れておらず、軽トラックなら特に問題なく走行できる状態だった。
地形図にある終点よりやや手前が実際の終点で、回転スペースがあったので、ここに駐車した。
今回は殆ど記録のない沢と急傾斜の尾根を登ることになるので、進退窮まった時の用心に、久しぶりにシットハーネスを身につけ、20メートルの細引とエイト環をぶら下げて歩き始めた。
崩れ落ちそうな土橋を渡り、左岸沿いにある、しっかりした仕事道をしばらく行く。
すぐに154号鉄塔への分岐がでてくるが、近年の地形図からは送電線が消されていて、これを登るとどこに行くのか、さっぱりわからない。
その先にも分岐があって、851メートルピーク西の鞍部へ向かっているが、どこまで続いているかは不明。
伏流帯を過ぎると谷がやや深くなるが、巻き道が残っているので、それを利用すれば沢の中をあまり歩かずに行ける。
小さな沢なのだが、随所に岩場を構えており、なかなかの景観だった上、モミジガサ・イワタバコ・ウワバミソウなども生えていた。
花は多くないが、クワガタソウはいたるところに咲いており、テンナンショウ類・ミツバツチグリ・オドリコソウ・フタリシズカもいくらか咲いていた。
フタリシズカ
| ミツバツチグリ
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想定していた尾根のとりつきに着く。
そこまでの尾根の末端は岩場が多く、いかにも難儀そうだったが、この尾根はとても緩やかで、ヤブもなく、歩きやすそうに見えた。
ここから約300メートルの急登だが、危険なところがなければ、我慢して登っていけばいずれ尾根上に立てると思われた。
コナラが多いが、多様な樹種の二次林である。
伐っても搬出できないから、放置されたままだが、放置された自然林は気持ちがよい。
そよ風がときどき吹いてくるが、基本的には蒸し暑く、汗が吹き出した。
緑滴る初夏の山だが、汗を滴らせながらヨロヨロと登った。
樹種の多様な雑木林
| ヤマツツジが満開
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尾根上を忠実に登るだけなので、ルートを間違えようがないのだが、5〜10メートルおきに、蛍光黄緑のペンキで樹の幹にマーキングがしてある。
これはいただけない。
用がすんでも消せないのだから、こんな目印はつけるべきでなく、目印がなくては登れないのであれば、読図力をつけるまで、登るのを諦めるべきだ。
主稜線に近づくと、仕事道かと思うほど立派なシカ道が錯綜する。
稜線直下にラショウモンカズラが一株だけ、咲き残っていた。
獣道を適宜利用しながら直上し、尾根に立つと、穏やかな雑木林でほっとする。
山頂らしき岩峰はすぐ先だが、左(北)から回りこむはっきりした踏みあとがある。
三点支持は必要だが、危険なところはない。
ヒメハギやナツトウダイが目立たない花をつける中、気持ちよく登って行くと、三角点の前に出た。
遮るものは何もなく、東側には、6年前に到達した岩峰に佇むハイカーの姿が見えた。
足元には、小鹿野町三山地区が見下ろせたが、低山の山襞にへばりつくように営まれている集落のうち、視認できるのは大指と皆本だけだった。
快晴ならどこまでも見えただろうが、空気中の水分が多く、午後から雷雨になりそうな雲行きで、遠望はきかなかった。
東への踏みあとも続いていたが、登ってきた以外の尾根は末端が急な岩場になっていたので、来た尾根を戻ることにした。
登りはきつかったが、小尾根の下りはあっという間だった。
沢に降りてからは、釣りに行けてない分、雰囲気を味わいながら下った。
花の盛りのクワガタソウの写真を撮りながら行ったが、いい写真は撮れなかった。
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