紅葉の酉谷界隈
−三ツドッケ〜酉谷山〜熊倉山−

【年月日】

2015年10月31〜11月1日
【同行者】 全部で8人
【タイム】

10/31 浦山大日堂(7:28)−57号鉄塔(8:33-8:43)−大楢(9:35-9:45)
  −仙元峠(10:29-10:39)−一杯水避難小屋(11:31)
11/1 一杯水避難小屋(5:20)−三ツドッケ(5:50-6:05)−
  矢岳分岐(7:32-7:40)−酉谷小屋(8:01)−酉谷山(8:15-8:25)
  −熊倉展望台(10:12-10:35)−熊倉山(11:22)−笹平(11:47)
  −官舎(12:22-12:30)−登山道入口(13:06)−武州日野駅(13:53)

【地形図】 雲取山、三峰 武蔵日原 秩父 ルート地図

いつもの大ブナ(大きな写真)
朝の大岳山(大きな写真)

 ジャンボタクシーを使うことができたので、交通費もさほどかからずに、浦山大日堂に着くことができた。
 運転手さんは、昨年冬にも大日堂まで乗っけていってくれた人だった。

 弱い冬型気圧配置のはずだったが、黒っぽい雲が垂れ込めて、あまりいい天気ではなかったが、降り出しそうでもなかった。
 最初は急だが、尾根にあがってしまえば、紅黄葉した広葉樹林の中を快適に登っていける。
 紅葉はすでにピークを過ぎていたが、まだ十分に美しかった。

雲取山と芋木のドッケ(大きな写真)
日光連山(大きな写真)

 57号鉄塔で最初の小休止。
 三ツドッケは見えるが、雲のために、展望としてはさほどでもない。

 次のピッチは、スギ林の長いトラバースで道型がやや不鮮明なところもあるので、幾分苦労しながらも、順調に大楢まで行った。
 いつものようにここで休むのだが、樹林帯の中にもかかわらず、西からの風が非常に冷たく、上着を着てもあっという間に身体が冷えきった。

 風の冷たさはこの季節のものでなく、真冬のように感じていると、次のピッチでは、風花が舞っているという人もいた。

 急登をひと頑張りで、仙元峠。
 ここまで来れば、あとは快適でほぼ平坦なワンピッチを残すだけだ。
 寒風もやわらぎ、ブナの大木を鑑賞しながら、気分よく水源林道を行く。

 たいへん順調に歩いて、一杯水に着いたのは11時半。
 小屋の中にはもちろん、誰もいなかった。

 問題は水で、昨年冬に引き続き、今回も一杯水は枯れていた。
 これはまことに憂鬱な事態である。
 ガレ場を下ればよい話なのだが、踏みあとを下るよりはるかに面倒で、登りも苦しい。

 ひと休みしたあと、覚悟を決めて水汲みに降りた。
 冬に来たときには、厚着で水汲みをしたため大量の汗をかいてしまい、その後身体を冷やして風邪を引いた。
 今回は、頑張り過ぎぬよう注意したため、ひどく汗をかくことはなかった。

ご来光(大きな写真)
酉谷山からの富士山(大きな写真)

 水汲みが終わった段階で、宿泊する登山者がほとんどいなかったので、今回も小屋でお世話になることにした。
 それでも、薄暗くなってから到着する登山者がいる。
 これらの人々は、小屋をアテにして登ってくるのだが、もし泊まれなかった時にどうするかは、考えていないらしい。

 朝早く登り始めて早い時間に小屋に入ればいい話であり、もしものときにはツェルトをザックに入れておけば済む話なのだが、彼らは悠々と登ってき、さらに、ツェルトなど持っていない。
 これらの人々がどうして、何も考えずにデインジャラスな行動に走るのか、とても理解できない。

 夕方までに何人かの登山者が到着し、小屋はまずまず満員となった。
 いつものようにスムーズに食事をすませ、夕方のミーティングを終えると、疲れが出てきて、早い時間ではあるがシュラフに入ればすぐに眠りに落ちた。

 深夜にトイレに起きてみると、雲はいくらか残っていたが、月が出ており、翌日の好天が期待された。
 起床は出発予定1時間前の4時半としておいたが、その時間には他の登山者も動き出したので、あまり気を使うことなく出発準備ができた。

 予定よりやや早く小屋を出て、三ツドッケにはご来光数分前と、いいタイミングで到着できた。
 個人山行を含め、三ツドッケでのご来光は、これで9度目だ。
 地上にたまった雲海のために、富士山が見えなかったのはすこぶる残念だったが、この日、日光方面が意外に近く見えていた。

 日の出を見たのち、今回は尾根を西へ向かう。
 水源林道は相変わらず歩きやすい。
 ブナ林が途切れ、おおむねカラマツ林が続くのだが、天気は快晴で、たいへん気分がよい。

 酉谷避難小屋の上で一旦停止し、酉谷小屋を偵察に行った。
 驚いたことに、10数年前に新築された酉谷小屋は新たに改築され、7〜8人程度なら泊まれそうな小屋になっていた。
 水も小屋の真ん前に細々ながら出ていて、日原谷や南側の展望もよく、すばらしいロケーションであるのだった。
 この小屋をアテにしてくる登山者も多いらしく、酉谷山への尾根に登ったところに幕営している人も数名いた。

 ダケカンバやカラマツのあいだをゆるやかに登って酉谷山。
 早朝には見えなかった富士山が、ここでは頭だけ出ていた。

 ここから再び、埼玉県に戻る。
 小黒への下りからいきなり、踏みあと不鮮明になる

霜と落ち葉(大きな写真)
酉谷山直下(大きな写真)

 熊倉山への尾根に乗ればあとはずっと尾根道である。
 密生していたスズタケが枯れ尽くしたので、踏みあと通りに歩かなくても、どんどん進んでいける。
 ここも若いブナ林で、なかなか風情がよい。

 1451メートル峰の苦しい登りを過ぎると尾根が痩せてき、若干の登り下りで熊倉展望台。
 歩いてきた尾根を始め、両神山や浅間山が望まれた。

オオイタヤメイゲツ(大きな写真)
展望台から和名倉山(大きな写真)

 その先しばらく行ったところで、痛恨のルートミス。
 急斜面をしばらく下ったところで、ミスに気がついた。
 ここを登り返したために、10分以上のタイムロスがあったと思う。

 熊倉山にはハイカーがいて、思い思いに憩っていた。
 ここはスルーして林道コースを下る予定だったが、林道コースが通行止めになっていたので、寺沢コースを下ることにした。

 最初は暗いヒノキ林をジグザグに下って、カラマツ林の笹平へ。
 周辺には、雑木林の平坦地などもあって、なかなか美しい。
 笹平の水場で水がよく出ているのを、初めて見た。

展望台から望む両神山(大きな写真)
ドウダンツツジ燃える(大きな写真)

 官舎までさほど大した下りではないという印象だったが、けっこうな下りで、いつの間にか完全に撤去された官舎あとまで下って、小休止した。
 このピッチは、少々長くなってしまった。

 三つ又あたりの風景は以前と変わらなかったが、沢沿いをいくらか下ると、左手に林道が見えてき、見たことのない登山口に出てしまった。
 もとの登山道は、沢沿いをさらに下っていたはずだが、車道ができたために、地形がわからなくくなってしまった。

 それでも、林道をどんどん下って行くと、かすかに見覚えのある旧寺沢登山口を見た。
 そこからの道型ほぼ消滅しており、寺沢コースの下部は廃道になったものとわかった。

 あとは、想定していた電車に間に合うかどうかが問題だった。
 急げば何とかなりそうだったので、いくらかスピードを出したが、あともうひと息のところで、間に合わなかった。