秩父前衛でラッセル
−三ツドッケ〜蕎麦粒山−

【年月日】

2013年12月21〜22日
【同行者】 全部で9人
【タイム】

12/21 大日堂(7:48)−57号鉄塔(9:15-9:26)−大楢(10:43-10:58)
  −仙元峠(13:00-13:16)−休憩地点(15:09-15:18)−一杯水避難小屋(15:38)
12/22 一杯水避難小屋(6:08)−三ツドッケ(7:05-7:20)−
  一杯水避難小屋(7:48-8:07)−巻道分岐(9:14-9:25)−蕎麦粒山(10:19-10:29)
  −仙元峠(10:56)−大楢(11:30-11:45)−58号鉄塔(12:31-12:39)−大日堂(13:22)

【地形図】 雲取山、三峰 武蔵日原 秩父 ルート地図

 2年前と同じコースで一杯水から有間山をめざしたのだが、積雪のため、予定通りに歩くことはできなかった。
 それでも、天気はよかったので、初冬の雪山を堪能することができた。

57号鉄塔から三ツドッケを望む(大きな写真)
雪に埋もれる仙元峠(大きな写真)

 動きの遅い南岸低気圧が通った直後の山行きだった。
 市街地では、前日の午後まで、冷たいみぞれが降っていた。
 雨があがったあと、窓から、行き先の山を眺めると、たっぷり冠雪しているのが見てとれた。

 無雪状態であれば特に問題ないルートだが、これだけ積もるとかなり苦戦しそうに思ったので、出発予定を大幅に前倒しして、朝7時にタクシーで出ることにした。
 道路に雪はほとんど残っていなかったが、山の斜面は白かった。

 大日堂からの急斜面を登って60号鉄塔あたりまで来ると、足元にいくらか、雪が出てきた。
 この雪が登山靴の土踏まずに団子状にくっつくので、ストックで叩き落としながら行く。

 積雪はさほどでなく、57号鉄塔まで順調に登ることができた。
 現状では、仙元尾根上の4本の送電鉄塔のうち、ここが最も好展望だ。

 ここから先は、尾根西側のスギ林内のトラバースだ。
 広葉樹林は葉を落としているから積雪が多いのに対し、植林地の積雪は少ない。
 しかし、葉に積もった雪が爆弾のように落下してくるので、直撃弾を食らうと、冷たい思いをする。

 大楢で尾根にあがると、雪質や積雪量が一変したので、先頭の若者には、ここからワカンをはいてもらった。

 有間山の見える崩壊地を過ぎ、仙元峠への急登にかかるところで、踏みあとがわかりにくくなった。
 トップが適切にルートどりできず、もがくばかりでちっとも進まないので、やむなく自分がトップに出てラッセルした。

 ほどなく夏道を見つけることができたが、膝近くまでの雪だったため、ここの急登で体力を非常に消耗した。
 他のメンバーもそれなりに大変だったと思う。

 仙元峠にあがれば、ルートは概ね東京側の南斜面なのでずいぶん楽になるのではないかと期待していたが、積雪はいくらか少なくはあったものの、秩父側とほとんど変わりなかった。

大ブナ立つ(大きな写真)
雪庇の赤ちゃん(大きな写真)

 ここからは、ワカンを譲ってもらい、引き続きトップでラッセルした。
 トラバース部分の多いルートのため、夏道が雪で消えているところも多かったが、何度も来た道なので、だいたい問題なく夏道をたどれた。
 しかし、湿った雪がワカンに粘着し、靴におもりをつけた状態になって、ここもまた苦しかった。

 スタスタ歩くことはもちろんできないので、予想よりはるかに時間もかかった。
 小屋着が日没過ぎとまではいかなくても、さほど余裕がないのは明らかだった。
 疲れてはいたが、できれば休まずに行きたかった。

 水場の手前まで来て、人間の足あとを見つけた。
 1名か2名。
 小屋には、空きスペースがあると思った。

 一杯水は、積雪に埋もれ、使える状態ではなかった。
 小屋まで来ると、ハイカーがひとり、休んでいたので、声をかけて同宿させてもらうことにした。

 夕食の支度をしている時に、4人のパーティが入ってきたが、その人たちは小屋前で幕営すると言ってくれた。

 夕食の段取りはいつもながらよくできたと思う。
 とてもボリュームのある鍋だったので、体がよく温まった。

 夜はそれなりに冷えたが、小屋とテントでは別世界で、たいへん快適だった。
 ただ、怪獣の吠え声か工事現場みたいな音が聞こえていて、ときどき目が覚めた。

雪面燃える(大きな写真)
ご来光間に合わず(大きな写真)

 三ツドッケでのご来光は、ここに来る大きな楽しみの一つである。
 山頂までの積雪のことを考えて、朝6時過ぎに出発と決めたが、ペースは案の定はかどらず、ピークを前にしたあたりで太陽が昇った。
 とはいえ、雪の積もった雑木の斜面がオレンジ色に染まっていくさまは、とても美しかった。

 この日も快晴で、山頂からは、奥多摩の山々、丹沢、富士山、筑波山や東京都内が一望できた。
 有間山へ向かうのは無理だろうと判断し、この日は蕎麦粒山まで行って、仙元尾根を下ることにした。

三ツドッケから望む富士山(大きな写真)
ラッセル続く(大きな写真)

 ここからは別の若者がワカンをはき、トップで行った。
 仙元峠方面に戻る道からは、樹間から金色に輝く海が見えていたが、位置的に見て、そこは東京湾ではなく、相模湾あたりかと思われた。
 仙元峠に登る分岐までは昨日のトレースがあったが、そこからは、トレースのないトラバース道だが、トップはルートを外さず、力強くラッセルしていた。

 昨日あとから来た人々が、蕎麦粒山へのトレースがあったと言っていたが、行ってみると、人の通った形跡は全くなかった。
 蕎麦粒山も雪に覆われていたが、日向沢ノ峰方面からの踏みあとがついていた。

 仙元峠まで登れば、きついラッセルからは解放される。
 大楢までの急降下は、深い雪を蹴散らしながら駆け下れるので、一気にテンションが上がる。
 みんな意味もなくヘラヘラ笑いながらどんどん下ると、昨日2時間かけて登ったところを、30分で下ってしまった。

 ここで、行動時間に多大な余裕ができた。
 大楢からは、雪があるとはいえ、夏道と変わりない。
 14時のバスに十分間に合うことが、はっきりした。

ツルウメモドキ(大きな写真)
大日堂(大きな写真)

 気分的にも余裕が出て、あとはのんびり下れた。
 帰りには、58号鉄塔で休んだが、雑木に絡んだツルウメモドキの実がとてもみごとだった。

 大日堂まで戻り、今回の無事に感謝して手を合わせた。