グリーンシャワーの奥多摩
−初夏の御前山−

【年月日】

2010年5月18日
【同行者】 単独
【タイム】

堺橋(8:48)−トチノキ広場(9:38)−湧水広場(10:44)
−御前山(11:14:11:27)−クロノ尾山(11:58)−鞘口山(12:12)
−大ダワ(12:32)−鋸山(12:50-12:59)−天聖神社(13:54)
−愛宕神社(14:30)−奥多摩駅(14:45)

【地形図】 奥多摩湖 ルート地図

セリバヒエンソウ
クワガタソウ

 さすがに平日とあって、奥多摩の駅にハイカーの姿は少なかった。
 堺橋でバスを降り、栃寄沢沿いの林道を行く。
 道ばたには、カキドオシに混じって、セリバヒエンソウが咲いていた。

 林道が右に急カーブするところから登山道が始まるのだが、入口には柵がしてあり、伐採作業につき、平成21年12月まで通行止めだという表示がつけられていた。
 柵を迂回する踏み跡ができていたので、そちらから山道に入る。
 作業が終わったのなら、柵をはずしておいてもらいたいものだ。

 かなり藪っぽい道をいくと、足元にはラショウモンカズラやヒメレンゲ、クワガタソウなどが咲いていた。
 道沿いには、立派な山葵田も、いくつか見られた。

ヤマウツボ
栃寄大滝(大きな写真)

 沢がずいぶんやせたあたりで、栃寄大滝を見る。
 大滝というにはスケールが小さいが、滝の前に扉のような岩が二つあって、滝全体を見ることができないようになっているのは秀逸だった。

 大滝の上には瘤のある大トチがあった。
 株元は太いが、幹はさほどでなく、ある程度太くなったところで一度伐られて、再び成長してこのような姿になったのかと想像された。
 シオジも多いが、巨木というほどの木は見なかった。

 沢音がさらに小さくなって、ゴハンギョウの滝。
 ここに滝があるとは思えないようなおとなしい瀑音だったので、一度通り過ぎてから、この滝の存在に気づいた。
 こちらは細いながらも優雅に流れ落ちる、二段の美瀑だった。

ゴハンギョウの滝(大きな写真)
トチノキ広場の大トチ(大きな写真)

 右上にガードレールが見えてきて、地形図にのってない車道に出る。
 ここにも厳重な柵がしてあって、平成22年4月まで通行止めという表示がしてあった。

 その先は、体験の森という公園になっており、箱モノはないものの、ベンチなどが整備されてあった。
 トチノキ広場というところには、大きなトチがあって、ヤマシャクヤクが咲いていた。

 体験の森は、原生林に歩道をつけて整備した感じのところで、随所に巨木もあって、見どころがあった。
 目を引いたのは、直立したイタヤカエデの巨木、二又に分かれた同じくイタヤカエデ、そして道の真中に生えたカツラだった。
 ここで見た2本のイタヤカエデほど大きなイタヤは、今まで見たことがない。

こぶトチ(大きな写真)
イタヤカエデ1(大きな写真)

 カツラの木のところからしばらくトラバースして、尾根に乗る。
 このあたりはほぼ、地形図の破線路どおりだ。

 湧水広場という展望台からは奥多摩北部が見渡せるうえ、すぐそばに水場がある。
 よく整備されてはいるが、あまりよい水ではないように感じた。

 尾根をはずれて再びトラバース道になると、ミツバツチグリやニリンソウ、白いスミレが多くなる。
 下部では花がらになっていたニリンソウは、このあたりではちょうどよく、大きな群落も見ることができた。

イタヤカエデ2(大きな写真)
カツラ(大きな写真)

 御前山避難小屋は、20年前に来たときから建て替えられて、ずっときれいになっていた。
 以前、ネットでここの水は飲めないという記述を見たが、現時点でそのような表示はされておらず、水量もまずまずだった。

 小屋からは、カタクリの花がらが残る中をしばらく登ってピークへ向かう。
 ハルリンドウやミツバツチグリがちらほら咲く山頂には、数人のハイカーが休んでいた。
 靄がかかってはいたが、すぐ前の石尾根あたりまではよく見えていた。

 少し休んで、大ダワへ向かう。
 尾根を登降していくとクロノ尾山という展望皆無の小ピーク。
 鳥も多いので、レンズを変えて狙いながら行くが、なかなかいい写真は撮れなかった。

 鞘口山・大ダワをへて鋸山まで、けっこうな早足で1時間かかった。
 大ダワの避難小屋は撤去されて基礎だけになっており、駐車スペース前には、小屋かと思うほど立派なトイレが設置されていた。

なごりのイワカガミ(大きな写真)
天聖神社の天狗石像(大きな写真)

 展望のない鋸山から愛宕神社へは、長い下りとなる。
 周囲も、殆どが植林か、若い雑木林で、特に目を惹くものもないので、少々飽きるところだ。

 中ほどにある岩場を下りきったあたりの露岩上に、天聖神社と記された小祠があり、阿吽の天狗レリーフが建ててあった。
 新しいものだが、なかなかリアルな天狗だった。

 登計集落や奥多摩の街並みが樹間から見えるようになると、道路に出て、下山したも同然の風情となるが、最後に愛宕神社への急登があった。
 愛宕神社は、新しい社殿だが、砦状のピークに建つ、立派な神社だった。

 神社の先から長くて急な石段を下りきると、奥多摩駅はすぐ先で、ジャストタイミングで電車に乗ることができた。