春浅い雲取山

【年月日】

2009年3月26日〜27日
【同行者】 全部で6名
【タイム】

3/26 鴨沢(8:41)−登山道入口(10:45)−堂所(1:55-12:40)−七ツ石小屋(12:55-13:05)
   −ブナ坂(13:45)−奥多摩小屋・水場往復(14:18-14:40)−雲取山避難小屋(15:38)
3/27 雲取山避難小屋(5:35)−雲取山(5:38-5:50)−雲取山荘(6:17-6:5)
   長沢山分岐(7:09)−芋の木ドッケ分岐(7:43)−白岩山(7:51)−白岩小屋(8:07-8:25)
   −前白岩山(8:47)−お清平(9:30-9:50)−炭焼平(10:33-10:45)
   −三峰神社(11:30)

【地形図】 丹波、雲取山、三峰 ルート地図

一日目(鴨沢〜雲取山)

大岳山と御前山
飛龍山

 奥多摩駅をおりたときには、一点の雲もない快晴で、鴨沢から登り始めたときにも、よく晴れていた。
 この二日間は、移動性高気圧が列島を緩やかに覆い、山に行くには最高の天気になるはずだった。

 このコースは、ちょうど20年前、同じ季節に来たことがある。
 その時も、登り始めは同じようによく晴れていた。

 鴨沢の風景はもう、見忘れていた。
 見たところ、ずいぶんさびれた印象がある。

 道ばたにミヤマキケマンやタチツボスミレが咲いてはいたが、ヒメオドリコソウがはびこっていた。
 お茶畑も草に埋もれていた。

 使われていない学校跡地の上を通って、スギ林に入る。
 いったん車道に出たところの広場には「売地」の看板が立っていた。

 雲取山への道は驚くほど歩きやすい。
 無駄な下りと不要と言わんばかりに、山腹を坦々と、高度を上げていく。

 1時間ほどで小袖集落の上部を通る。
 このあたりはほぼ廃村状態で、柵を回した畑も荒れたままになっていた。

 ずっとスギ林なのだが、堂所あたりからようやく、自然林も混じる。
 それでも比較的新しいヒノキ林が、かなり上部まで、尾根東側に植えられている。

 堂所から七ツ石小屋までは傾斜がやや急になるので、頑張りどころ。
 富士山方面が見え隠れするが、雲が広がってきて、よく見えない。

 周囲が開けてきて、七ツ石小屋。

 南東方向に、大岳山や御前山、三頭山など、以前登った山が望まれる。
 三頭山の彼方には、丹沢主稜から西丹沢。
 御正体山が意外に大きい。

 大菩薩連嶺・黒岳のわき、湯ノ沢峠の真上あたりに、富士山が見えてはいるのだが、雲が多くてあまり冴えない。
 その左のピークは、雁ヶ腹摺山か。

 背後にはかろうじて、鷹ノ巣山らしきピークが見える。

三頭山(手前)と奥に丹沢
小屋前から石尾根

 浅い雪を踏みながら、七つ石山を巻いてブナ坂。
 展望が一段と開けるが、雲が晴れる気配はない。
 風が強く、まともに吹かれると上着を着ていても寒かった。

 防火帯を少し登って、奥多摩小屋。
 ここで水を補給。

 奥多摩小屋の裏山に登ると、飛龍山や雲取山が見えてくる。
 めざす山頂小屋も、さほど遠くない。
 小雲取直下の登りを頑張ってしまえば、山頂まではすぐだった。

 山頂小屋には誰もいなかった。
 ウィークデーなので貸し切りかと思ったが、その後続々とハイカーが到着し、けっこう賑やかになった。

 雲は次第に厚みを増しており、風も強いので、好天は期待できそうになかった。
 富士山も相変わらず、半分隠れた状態だった。

 食事の後、外を見たときには雲が少し薄くなったような気がしたが、すぐにまた黒い雲が湧いてきた。

二日目(雲取山〜三峰神社)

雲取山のご来光(大きな写真)
赤く染まる山頂(大きな写真)

 明け方3時半に外に出てみると、星は全く見えず、強い風が吹いて、粉雪が舞っていた。
 この日も好天予想だったのだが、はずれた。

雲のかかる飛龍山
小ササに雪がついて

 それでも、東の空が白み始める5時過ぎになると、富士山などは全く見えないものの、東側が晴れてきた。
 ずいぶん軽くなった荷物を背負い、山頂に行ってみると、蕎麦粒山の上からご来光が始まった。

 同行者をせかし、ご来光をバックに記念撮影。

 東側はまずまずよく晴れて、先日登った三ツドッケもよく見えていた。
 西側は、飛龍山にかかった雲が切れそうで切れなかった。

 展望は名残惜しいが、北側に下る。
 ここは深雪を予想していたのだが、完全に凍った氷の上に数日来降った新雪が乗った、滑りやすい斜面になっており、たいへん歩きにくかった。
 軽アイゼンをつけてもよく滑るので、ここは歩きにくかった。

 ずいぶん難儀して雲取山荘。
 すっかり明るいのに、人影は見えなかった。

 大ダワへの下りも凍っていたが、雪面が多少柔らかいように感じた。
 芋の木ドッケへの登りには雪もほとんどなし。
 ただ、懸念していた巻き道は、左が切れ落ちている上、氷の上に雪の乗った危険な状態で、全員が無事に通過できたときにはほっとした。

大洞谷の全貌(白岩小屋から)
地蔵峠の地蔵さま

 白岩山を通過し、白岩小屋で小休止。
 小雪が降り始めたが、ときおり晴れ間も出て、甲武信岳方面も望まれるようになった。
 ここで甲武信は見えなかったが、大洞の谷はよく見渡せた。

 北面の下りが凍結していることがわかったので、前白岩の下りも懸念されたが、案じたほどでもなく、お清平に下り着く。
 この先は、霧藻ヶ峰を越えるだけなので、雨具を脱いで軽アイゼンをはずし、荷を少し重くして霧藻への最後の登り。

 霧藻ヶ峰に立つと、足元に三峰神社の駐車場が見え、両神山や御荷鉾連山などが見渡せるが、風が冷たいので、ここは通過。
 霧藻から三峰神社までは、ゆるい下りなのだが、距離は長い。

 周辺はすでに、三峰神社の境内同然の風情で、整然としたスギの植林地だが、イヌブナやミズナラ、シャラなどの木も生えている。
 シャラと先週見たヒメシャラとは、樹皮がめくれた模様がずいぶん異なるのに気づいた。

 炭焼平で休憩したのち、駐車場に着いたときには、バスが出るまで2時間ほどもあった。
 バス待ちの間に、三峰神社に参拝して養蚕祈願のお札を受け、興雲閣(宿坊というかホテル)の日帰り温泉で汗を流した。