ブナの新緑
| ハウチワカエデの芽吹き
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今回もおおぜいの若い人々との山行。
一日目は、テント場で設営しただけ。
二日目がメインで、計画では雲取山のピストン。
ロングコースなので、夜明けすぐに出発。
明け方には昨年同様、ヨタカの鳴く声も聞こえた。
大日向から、太陽寺への参道を登る。
このコースは以前酉谷山〜芋ノ木ドッケを周回したときに下山してきた道だ。
前日から夜半にかけて、しとしと雨がテントをたたいたが、どんよりと曇ってはいたものの、山行きには支障のない状態の空模様だった。
今の参拝客はほとんど自動車で太陽寺にお参りするが、大きなお寺の参道だけあって、かつてはおおぜいが行き来した道らしく、スギの大木が林立したなか、とても歩きやすい。
センダイムシクイやヤブサメのさえずりを聞きながら歩く。
太陽寺境内のアズマシャクナゲは、咲いてはいたものの、盛りを過ぎた状態だった。
ここからしばし、二次林ながら新緑の鮮やかな自然林の中を歩くので、気持ちがよい。
足元には、タチツボスミレ、ムラサキケマン、ミヤマキケマン、ホソバテンナンショウ、コガネネコノメソウなどが咲いていた。
水場を過ぎると舗装された林道。
この道路は、延伸されて尾根を越え三峰集落まで続いているらしい。
大血川集落の対岸に流入する向ノ沢は、小沢ながら秀逸な渓だったが、この林道と沢沿いに建設された林道工事のために壊滅した。
美しかった沢が土砂に埋まり、たくさんいたイワナの影も消えた。
下流部にはいくつもの大堰堤が築かれ、イワナを求めて夢中で遡行した過ぎし日を思うと、目の前の無残な光景に言葉もない。
二度目の林道で小休止。
正面に見える熊倉山は、このメンバーが昨年登ったはずなのだが、ほとんど意識していないらしいのは残念。
三度目に林道を渡ってからは、ずっと山道になる。
ツツドリ、シジュウカラの鳴く声が響く。
少し登って、霧藻ヶ峰との分岐。
ここは直登せずにお清平方面への巻き道に入る。
比較的新しいヒノキの植林地もあるが、おおむね自然林。
ニリンソウ、ハシリドコロ、クワガタソウ、ワチガイソウなどが咲いていた。
トチの新緑
| サワグルミの新緑
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ウグイスやオオルリ、コマドリ、クロジのさえずりも聞こえて、久しぶりに深山を歩く気分を味わうことができる。
樹間から見える前白岩あたりの山肌はようやく芽吹いたばかりらしく、ヤマザクラがようやく咲き始めたばかりのようだった。
お清平は山中のT字路。
ハウチワカエデ、ブナなどの新緑が鮮やかだ。
残念ながらメンバーのうち1人が体調不良のため、彼に付き添って下山するもう1人とともにここで退却。
残りのメンバーで登高を続けた。
前白岩まではこのコース一番の急登。
ここにはブナの芽生えが多かった。
エゾムシクイやルリビタキ、メボソムシクイまでが鳴くので、初夏の風情さえ感じられる。
オオカメノキは咲き始めだったので花の色が真っ白でなく、黄緑がかった状態だった。
白岩山あたりからコメツガやモミの原生林。
ぬかるみの甘いにおいが懐かしい。
今年もまた奥秩父の原生林に来ることができて、とてもうれしい。
前白岩や白岩小屋付近は、大洞谷が一望できる展望台なのだが、ガスのため何も見えず。
芋ノ木ドッケ巻き道入口(「芋ノ木ドッケ」という誤った看板が立っている)から大ダワへは長い下り。
帰りには登り返さなければならないので、悔しいところだ。
大ダワまで来てしまえば、さほどの登りはなく旧雲取ヒュッテの廃屋を過ぎて、新しい雲取山荘。
古い小屋時代に泊まったのは雪の日だったので、そのおもかげはほとんど記憶にない。
とはいえ、しゃれたログハウス、きれいなトイレやベンチ、小屋前の広場の明るい雰囲気などはやはり隔世の感があった。
ミツバオウレン
| 梢でさえずるヒガラ
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もっとも年少の少年が足の不調を訴えたので、彼を山荘で停滞させ、残りのメンバーで山頂へ向かう。
コケの間から頭をもたげたミツバオウレンがたくさん咲いていて、たいへん可憐だ。
イワウチワもいくつか咲き残っていた。
ここまでずっとガスっていたのだが、山頂手前で部分的に青空ものぞいた。
月曜日とあって、山頂には誰もいなかった。
展望はほとんどなく、避難小屋あたりから石尾根の防火帯が望まれた程度だった。
雑木の梢で、ヒガラが一生懸命にさえずっていた。
帰りも長いので、あまりゆっくりできないため、早々に下山にかかる。
初心者が多いので、意識的にゆっくり歩くように指示して歩き始めた。
お清平まではまずまず順調に下れたが、その先では疲れや足の痛みを訴える人がでてきた。
初心者にこのロングコースは、ややきつすぎたかもしれない。
膝を痛くした人がでたので、太陽寺手前でパーティと分かれてその人と一緒に車道歩き。
ことによると日が暮れるかと思ったが、親切な観光客の自動車に拾ってもらい、早々に大日向に戻ることができた。
残りの一行が心配だったので、再び参道を登り始めたら、まもなく残りのメンバーと再会。
かくて無事に全員がそろった。
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