酉谷山団体山行

【年月日】

2005年5月14〜16日
【同行者】 7名
【タイム】

5/14 大日向(15:00)−クイナ沢橋(15:30)
5/15 クイナ沢橋(5:00)−熊倉山分岐(6:45)−小黒(7:40-8:40)
  −酉谷山(9:07)−坊主山鞍部(9:35-10:30)−矢岳(12:30)
  −営林署官舎(15:05)
5/15 営林署官舎(8:00)−武州日野駅(9:05)

【地形図】 武蔵日原、雲取山、秩父、三峰 ルート地図

矢岳尾根のアズマシャクナゲ
ハウチワカエデの芽吹き

一日目

 かなり組織的な集団登山の初日。
 ほんとはこの組織的登山の目的みたいなものを十分理解していないとダメなんだろうが、よくわからないまま参加。

 初日はまず、駅の前で訓辞を聞く。
 諸君は学校を代表して山に登るのだという言葉が耳に残る。
 山は自分のために登るものだと思っていたのだが。

 初日は貸し切りバスで15分ほど走った林道入口まで移動して、林道を30分歩行。
 この日はこれだけ。

 天候は曇り。
 沢沿いにフサザクラ、サワグルミなどが明るい緑の葉を広げ、ヤマツツジが咲く。

 到着後また訓辞。
 沢の水で食器を洗ってはいけないというのが、耳に残った。
 それかホントなら、釣り人や沢屋がやってることは万死に値する。

 マズメ時の東谷に、ジュウイチ、ツツドリ、エゾムシクイなどのさえずりが響いていた。
 Xカディスでちょっと叩いたが、全く反応なし。

二日目

 起床時刻が指定されていたので、その時刻に起床。
 ちなみに出発時刻に比して、えらく早い。

 出発準備をしていたら、ヨタカがキュウリを刻み、明るくなるころからミソサザイがさえずりだした。
 出発準備は整ったが、指定された出発時刻にならないので、とりあえずぼんやりと待機。

 この登山は、数パーティの連合体が一つのパーティをなして登山するという形態。
 個別のパーティの責任がどこまでなのかは今ひとつ説明がないので、不明。

 「先行パーティを抜いてはいけない」というお触れが出たようだが、ちょっと理解できないまま出発。

 クイナ沢橋からの急登で各パーティによる小さな落石が、頻々。
 上の方で、「絶対に石を落とすな」という声が聞こえたが、不可能なことを命じるより、「落石の際には大声で注意を喚起して事故の起きないようにせよ」と教えた方がいいのではないかと愚考。

 初夏の夜明けとあって、野鳥のさえずりがたいへんにぎやか。
 ここで聞いたのは、シジュウカラ、ツツドリ、コルリなど。
 なかなか立派なミズナラを見たが、写真は撮れず。

 ヤマツツジやトウゴクミツバツツジが咲いて、目に鮮やかだ。
 登山道崩壊箇所のすぐ上の広場で小休止。

 尾根の上に上がると、下界にはガスが澱んでいると見えて、中腹よりしたが真っ白。
 それを見て若い同行者が喜んでくれたので、うれしい。

 尾根道になると植生が一変して、ウダイカンバ、ダケカンバ、ブナなど。
 下生えは、アセビだ。
 ウグイスのさえずりが多くなってくると、熊倉山の分岐。

 ここから小黒までが、この日一番の急登だ。
 周囲の立木に、シカの食害がひどい。

 ずっと以前と比べて、一帯のスズタケがほぼ全面的に枯死している。
 シカの食糧難は想像に難くない。
 それにしても、この調子で食害が進むと樹木を枯らした上、シカが餓死するという状況になるのは時間の問題だろう。

 深山の雰囲気が出てくると、小黒への最後の急登。
 クロジ、アカハラ、コマドリ、ミソサザイ、シジュウカラも聞こえてきた。

ミツバオウレン
スズタケの枯れとシカの食害

 小黒に着くと、ガスがまいてき、霧雨も降ってきたが、後ろのパーティが到着するまで動くなといわれ、やむなく停滞。
 ここはかなり寒かった。

 じっとしていると身体が冷え切ってしまうので、ピーク周辺の樹木を眺めて回った。
 ここはヒノキ、コメツガが中心。
 ヒノキが天然かどうかは不明だが、あまり大きなのは見あたらないから、植えたのかも知れない。

 ヤマグルマとダケカンバ、コミネカエデが混じっている。
 ダケカンバが生えているということは、人の手が入っている可能性を示唆している。

 低い木としては、アセビとアズマシャクナゲ。
 アセビはよく咲いているが、シャクナゲのつぼみはまだ堅い。

 1時間ほどで行動再開が許されたので、酉谷山へ向かう。
 足下にミヤマカタバミが咲き始めていたので、写真を撮りたかったが、見るだけ。
 前回片づけ残したと思われるゴミが目に入ったが、それを拾う余裕もなし。

 酉谷山はガスのため展望なし。
 今回山行の主峰だからもう少しゆっくりしてもよかったのだが、ここは記念写真だけ撮って先を急ぐ。

 水源林道は、いつ来ても気分がよい。
 東京都はいい山を持っているものだ。
 右側はカラマツの植林地、左はダケカンバの多い自然林。

 カラマツやバイケイソウの芽吹きの緑が目に鮮やかだ。
 カラマツの落ち葉の上に、マイヅルソウの芽生えもずいぶん多い。
 メボソムシクイのさえずりが、深山気分を盛り上げる。

 矢岳分岐で大休止。
 ここでも1時間の停滞とのことだったので、坊主山に登ってみる。

 ハウチワカエデの若葉が開き始め、オオカメノキの花が咲き始めている。
 足下には、ミツバオウレンが点々と咲く。
 坊主山からは、疎林越しに、大平山など浦山奥の山が望まれた。

 スズタケが枯れているので、牛首へのヤブはほとんどなし。
 急降下して矢岳への尾根に乗る。
 ここからは、一転して岩稜の尾根。

 天祖山から来たとき以上にアカヤシオが多く、頭の上に咲く花と足下の落花とピンクのトンネルを歩いているような感じ。
 この尾根まで来ると、アズマシャクナゲも咲いていた。

 エボシ谷への分岐にザックをデポして矢岳をピストン。
 12時半に矢岳だから、この日のうちに十分下山可能なタイムだ。
 初心者の高校生は、とてもよく頑張ったと思う。

 エボシ谷源頭は、ハシリドコロがまだ咲いており、早春の風情。
 小さなニリンソウやワチガイソウも咲いている。
 シオジの新緑もじつに美しい。

 林道終点に降り立つと蒸し暑いが、夕立雲が接近中。
 早くテン場へ行こうとせかして下るが、林道歩きの途中で雨になる。
 雨もなにも経験だから、初心者にはちょうど良い雨で、まもなくあがってくれた。

 3時に官舎着。

ワチガイソウ
安谷川とカツラの新緑

 この日は、安谷川の畔、シオジの樹下の台地上に幕営。
 設営後、渓におりて数ポイント叩いてみたが、毛鈎を見に来るヤマメはいたものの、そこまでだった。

三日目

 8時より早く出発してはいけないという話だったので、8時ちょうどに出発。

 チドリノキ、アカシデはもう、若い実をつけている。
 咲いているのは、フジやヤマツツジなど。
 オオバアサガラ、コアジサイはつぼみの状態だ。

 武州日野駅には、9時過ぎに着いた。