2年前とほぼ同じルートを歩いた。
今回最も気がかりだったのは、天候だった。
梅雨時には、予報に反して意外な好天に恵まれることもあるのだが、今回に関して言えば、その可能性は少なそうだった。
それでも、一日目が曇り予報に転じたので、一抹の希望がないわけではなかった。
登山口の大弛峠まで、問題なく順調だった。
大弛峠でジャンタクを降りると、まずまずいい天気で涼しく、気持ちよかった。
この日一杯は、天候に問題はなさそうなので、まずは安心した。
最初はシラビソの樹林帯である。
ルリビタキがあちこちで鳴き、足元にはミヤマカタバミやバイカオウレンが咲いていて、針葉樹林帯特有の匂いと相まって、初夏の山らしい雰囲気を醸し出していた。
比較的黙々と登っていくと、メボソムシクイ・キクイタダキなどの歌も加わって、森の中は賑やかになった。
みんな次第に慣れてきたのか、こちらのパーティも賑やかになった。
朝日岳手前のガレ場で小休止。
おおぜいの登山者もここで休んでいた。
ハイマツ帯に来るのは久しぶりだった。
晴れてはいたが、雲は多めで、南側があまり見えないのは残念だったが、背後には甲武信三山がどっしりとそびえていた。
朝日岳を越えると再び樹林帯に入る。
バイケイソウの芽生えがみずみずしい。
鉄山を巻くと最後の登りで、森林限界を一気に越える。
登山者密度が一気に増えたような感じがした。
山頂近くにはコメバツガザクラ・ミネズオウ・キバナシャクナゲなどがちょうどよい具合に咲いていた。
五丈岩前にはだいたい、予定通りに着くことができた。
ここで大休止。
今回はここが最高点だが、じつはここからの下りがとても長い。
砂払ノ頭までは、気分のよいハイマツ帯が続く。
足元にはイワカガミの花がとても多くて、美しかった。
途中の岩場でとてもかっこよい女性が立っていたので、思わず写真を撮ってしまった。
砂払ノ頭からは再び樹林帯に入る。
こちらはシラビソよりコメツガが多い。
大日岩から大日小屋にかけては、アズマシャクナゲが大開花してして、幻想的な雰囲気だった。
富士見平小屋まで来ると、時間も時間だったためか、とても賑やかだった。
設営・炊事もてきぱきと行えたが、着いた時間が遅かったため、最後はちょっと遅くなってしまった。
暗くなる頃に雨が降り出したが、それも一時的で、夜はだいたい曇り案配で推移した。
二日目は、瑞牆山に向かった。
富士見平から天鳥川まではヘッドランプでの下りだが、足元の石が滑りやすくて、けっこう危なかった。
山頂が近くなると、大岩の間を縫う急登になる。
何も見えないとつまらない山頂なのだが、青空も見えていて、非常に幸福な気分で登っていけた。
このあたりのアズマシャクナゲも、とてもよく咲いていた。
瑞牆山からは、雲の切れ間から北岳・間ノ岳・富士山などが見え、八ヶ岳も一部がのぞいていた。
金峰山の山頂部が見えなかったのは残念だった。
足元にはツマトリソウの群落がほころんでいた。
ここまで天気がよかったことに、感謝の気持ちでいっぱいだった。
始発のバスに十分間に合う時間に富士見平に着いたのだが、少し前にテント場を出ていったグループがおおぜい、バス停でたむろしていた。
始発に乗れずに時間をロスしたが、それも1時間ほどですんだ。
電車に乗ってみると空は雲に覆われ、八王子あたりではもう、本降りになっていた。
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