飛龍山周遊2

【年月日】

2012年3月25日〜26日
【同行者】 単独
【タイム】

一日目 鴨沢西(9:34)−高畑(10:32-10:44)−丹波分岐(12:15-12:23)
    −竿裏峠(13:25-13:33)−御岳沢支流(14:51-14:59)−三条の湯(16:16 幕営)
二日目 三条の湯(5:40)−休憩(6:48-6:58)−北天のタル(8:07-8:21)−飛龍山三角点(9:04-9:11)
    禿岩(9:35-10:05)−休憩(11:17-11:25)−熊倉山(11:44-11:50)
    −竿裏峠(12:17)−山王沢(12:59)−丹波バス停(13:32)

【地形図】 丹波、雲取山 ルート地図

 ちょうど一ヶ月前に同じコースを歩いたのだが、今回は同行者が多いので、にぎやかな山行きとなった。

お祭から見上げる天平尾根
ウロのある大ミズナラ

 朝早い時刻の西東京バスは、鴨沢西までしか行ってくれない。
 せめてお祭まで行ってくれればありがたいのだが、いたしかたない。
 3月ながら快晴の日曜日とあって、臨時に出るもう1台とともに、ぎっしり満員だったが、雲取山に行くお客さんが鴨沢で降りると、鴨沢西まで乗ったのはわれわれだけだった。
 ここは雲取山でなく、飛竜山を選択して正解だったと思った。

 バス停から親川の登山口までは、国道を歩く。
 前方に丹波天平の尾根が見えてくるが、正面から見ると、尾根上までは急傾斜だということがわかる。
 冬型の気圧配置なので季節風が吹いているはずだが、高畑の廃村に着くころには、暑くて仕方がないほどだった。

 高畑で小休止。
 前回はここから雪道だったが、一ヶ月の間にずいぶん春が進んでいた。

雪の残る丹波天平1
雪の残る丹波天平2

 重荷を背負っての後山からの急登はきつかったが、ほどなく平坦な天平の尾根。
 雪がないので、踏みあとは比較的はっきりしていた。

 丹波天平の三角点近くになると、消え残った雪がちらほら出てきた。
 このあたりで寒気が入ったのか、南からひどく冷たい風が吹いてきた。
 丹波への分岐で大休止をとったが、ここで改めて、服を着込んだ。

 竿裏峠から三条の湯へのトラバース道は、風情のよいところだ。
 ミズナラやブナ・トチなどの大木がそこここにあって、目の保養になる。

 ここは尾根の北面にあたるので、道の凍結が危惧されたが、案の定、融解と凍結を繰り返して氷化した雪が道に残っており、危なかったので、軽アイゼンを装着。
 雪のないところもあったが、道が左にカーブして北側になる部分は、必ず凍結していた。

 三条の湯までの間でフルにアイゼンを使ったので、結果的には、翌日、凍結した急下降をしっかり下る、いい練習ができた。

天平尾根を行く(大きな写真)
ミズナラ大木

 三条の湯に着いたのは16時過ぎと、ずいぶん遅かったので、ただちに炊事を開始した。
 冬型が強すぎたためか、小雪が舞い始めたが、いつものように、炊事の手際はよかった。
 それでも、夕飯を食べている間に、日が暮れて真っ暗になった。

 寒気が入っていたので、寒さは覚悟していたのだが、眠りにつくころは暖かいくらいで、明け方になっても、予想していたほど寒くなかったのは幸運だった。

 翌朝、出発したのは5時40分。
 もう少し早く、歩き始めたかった。

 三条の湯上部の南側斜面に雪はなく、順調に登っていけた。
 軽アイゼンをつけたのは、カンバ谷源頭を渡るところだった。

 ここからは桟道を交えたトラバースが続くのだが、気を抜くことができるところはほとんどなかった。
 背後には純白の富士山が見え、前方には、ずいぶん雪の少なくなった飛竜山のピークが、間近く望まれた。

トチ大木(大きな写真)
雪の消えた飛竜山

 北天のタルからは、踏みあとが細くなり、崩落箇所も出てくるので、先頭を交代して進んだ。
 縦走路の雪は、多少少なくなってはいたが、へたに踏み抜くと膝くらいまで潜りそうなので、やや神経を使った。

 崩壊地の状況は不明だったが、下から観察すると、雪は十分残っており、もし凍結していたらかなりの危険が予想された。
 そこで、最初のピークをまいたところから尾根に上がり、三角点をめざすことにした。

 コメツガやシャクナゲのヤブではあるが、倒木も少なく、まぁまぁ歩きやすい方と言えたが、踏み抜くと厄介な雪質は相変わらずだったので、ここはかなり消耗した。
 しかし、危険のないルートで三角点まで登ることができた。

北天のタル手前から富士山(大きな写真)
禿岩から甲武信三山

 三角点まで来れば、長い登りは残っていない。
 次の大休止は禿岩の予定だが、一時間ほど前まで快晴だった空に、黒い雲が出始めているのが、気がかりだった。

 ここまで大展望には恵まれないコースを歩いてきたのだが、禿岩にたどり着いて、一気に報われた。
 真北以外の三方向に、さえぎるものは何もなく、奥多摩・丹沢・大菩薩・富士・南アルプス・奥秩父連山が一望できた。
 南アルプスに雲がかかり、富士山の一部で雪煙のような雲がかかっていたのはやや残念だったとはいえ、胸のすく景観に、一同から感嘆の声があがった。
 背後には、東仙波や和名倉山もよく見えており、今まで目にしたことのない秩父の山の景色が印象的だった。

禿岩から国師ヶ岳
禿岩から東仙波(大きな写真)

 禿岩から前飛竜、さらに前飛竜からの下りでは、急な下りについた雪が氷化しており、なかなか神経を使うところになっていたが、激しく転倒するような人がいなくて幸いだった。

 熊倉山手前でアイゼンを外し、竿裏峠まで下ってくると、12時を少し回ったところで、前回より少し早い。
 これなら順調に下れば、13時40分のバスに間に合うと考えて、竿裏峠で予定していた小休止を割愛して、丹波へ下る。

ブナの道
ミズナラの道

 最初の長いトラパースを終えて、ジグザグ下りになったあたりにも立派なミズナラがあり、急なばかりのこの下りにも、それなりに見どころはあった。
 丹波のバス停には、発車8分前とギリギリだったが、早い時間の奥多摩行きに乗ることができてよかった。

 今回、久しぶりに大パーティの山行になったが、途中のアクシデントもなく、全行程を歩ききれてよかった。