雑木越しの展望
- 妹ヶ谷不動から温石峠 -

【年月日】

2024年2月29日
【同行者】 単独
【タイム】

妹ヶ谷不動尊入口(10:02)−温石峠(11:17)−南小柏峠(仮)(12:24-13:00)
−妹ヶ谷不動尊入口(13:35)

【地形図】 万場 上野吉井 ルート地図 (マウスホイールで拡大・縮小可)

 新井廣司氏の『秩父事件と西南上州』は、鮎川沿いの上日野村から三波川の谷へ越える峠は温石峠と小柏峠だと書いている。
 このうち温石峠は、近くにゴルフ場があったこともあって今は車道が通じているが、地形図に小柏峠も破線路の記載もない。

 上日野村小柏耕地から三波川に温石峠以外のルートを使って行くとすれば、808メートル三角点南の鞍部(実線の記載あり)を越える以外になさそうだから、ここが新井氏の言う小柏峠である可能性が高い。
 その点の踏査も兼ねて出かけた。

妹ヶ谷不動尊1
妹ヶ谷不動尊2

 まずは妹ヶ谷不動にお参り。
 ここに来たのは27年ぶりだ。

 重厚な社殿。
 彫刻も精巧で見ごたえがある。
 石垣も立派だ。

 いつかお祭りのときに、来てみたい。

 温石峠への車道は通行止めと表示されていた。
 行けるところまで行ってみようと思い、とりあえず進む。

 すぐに上妹ヶ谷の集落。
 石垣の上に人家が建つが、耕地は少ない。
 秩父で見慣れた風景だ。

妹ヶ谷不動尊3
妹ヶ谷不動尊4

 集落から離れるところに、数基の石造物あり。
 うち一つは庚申塔なのだが、「右ハ是より日野・妙儀・榛名道」と彫られており、道標の役割を果たしている。
 と同時に、、この峠道が三波川谷と日野谷の主要な交通路だったということもわかる。

 未舗装ではあるが、軽四駆なら走れそうな道なので、全行程が旧峠道かどうかはわからない。
 植林された杉が太くなっているが、道沿いに低い石垣が積んであり、お茶の木が残っているのを見ると、かつてここはお茶畑だっただろうと思われた。

妹ヶ谷不動尊5
道標庚申塔

 温石峠には、石祠が一基。鞍部よりやや手前にあるのだが、これが峠の神なのだろう。

 ここから尾根の上を西へ向かう。
 登山道はない。

 すぐにバンバガヤ。
 北側が雑木林で、樹林越しに脊梁山脈が見えている。
 曇っているのだが、低気圧が接近する直前ということで、天気は悪くない。

 「カヤ」という山名は、西上州特有かもしれない。
 袖ガヤとか金剛ガヤなどもこの近くだ。

温石峠の石祠
武尊山

 雑木の中の小(ショウ)Windowを探しながら緩やかに登下降する。
 武尊山・谷川岳・朝日岳などが見えていた。

 808メートル三角点まで行けば何か見えるかと思ったが、展望はなかった。

谷川岳
朝日岳

 ときおり作業道が見えるが、尾根をそのまま行く。
 小柏峠かと想定していた地点まで行ったが、峠道は痕跡もなく、林道が走っていただけだった。

 雪のためここまで、腰を下ろす場所もなかったので、ここで大休止。

 峠道が存在したとすれば沢にあったと思われるが、どうもそのような道らしきものはない。
 やむなく林道を歩いて不動尊まで戻った。

 この鞍部が小柏峠だったとは、ちょっと考えられない。