上野村を通ると見かける「まほーばの森」とはなんだか、知らなかった。
国道から南、高いところに見える橋がなんであるかも知らなかった。
金比羅山を歩くことで、それらが何であるかがわかった。
まほーばの森は、上野村営だと思われる、施設の整ったキャンプ場だった。
オートキャンプスペースやバンガローがあり、炊事場も清潔で、使いやすそうだ。
トイレ近くの駐車場に自動車をとめて、金比羅山遊歩道とある道標に従って歩き始めた。
遊歩道は桟道やあずまやが整備されているが、疲れがたまっているせいか、足がなかなか上がらなかった。
周囲はごく普通の雑木林で、紅葉にはまだ早い。
登っていくうちに調子が出てきて、一時間ほどで金比羅山に着いた。
雑木のため、展望は皆無。
この日はここから、社壇ノ頭をめざした。
道標も随所にあり、ピンクテープによるマーキングもされているのだが、踏みあとはごく薄いので、ピークに登りついたあと、どっちへ下るかは、考えどころだった。
何度かミスっては、GPSレシーバを見て修正した。
親子熊によるとみられるミズナラの食痕がたくさん落ちていたが、いずれも10日以上はたっており、問題になるとは思われなかった。
西上州らしいやせ尾根では、アブラツツジ・タカノツメ・ミズナラ・リョウブなどが紅黄葉しており、青空に映えていた。
ちょうど中間点あたりに岩峰があり、登ってみれば展望が開ける。
天丸山・大山・宗四郎山周辺の岩峰群が間近く見えて、なかなかの迫力だった。
尾根の登降しばしで左に車道が見えてくる。
踏みあとをトラバースしていくと社壇乗越に行きそうだったので、尾根に上がり、不二洞への道標のあるピーク(社壇ノ頭より南)で大休止にした。
帰りは不二洞への尾根道をたどった。
完全舗装の林道が尾根に沿って乙父側へと続いている。
この尾根で、のり面すれすれで伐り残された大ミズナラを見た。
根元は大きな樹洞になっており、熊の冬眠には好適そうだが、新しくできた道路から近すぎて,熊もおちおち眠っていられないだろうと思われた。
この尾根には馬道のコルへ至る道があったはずだが、ほぼ消滅していた。
尾根近くまで記載のある破線路に向かってずり下ってみると、スギ林の中に古い仕事道の痕跡は見つかるものの、しっかりした道はやはりなくなってしまったと思われた。
それでも、踏みあとを拾いながら滝ノ沢へ下って行くと、ほぼちょうど、林道終点近くに下り着くことができた。
この下りで、ムラサキシメジやハイイロシメジなど、晩秋のきのこをいくつか見た。
きのこの季節も、もう終わりだ。
林道を歩いて行くと、自動車やバイクのエンジン音が聞こえてきた。
そこは吊り橋の一方の端で、まほーばの森まで歩いてすぐのところだった。
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