ヤブときどき展望
−大山・帳付−

【年月日】

1998年11月3日
【同行者】 単独
【タイム】

天丸橋(9:50)−大山(11:00)−馬道のコル(12:00)
−帳付(1:00)−馬道のコル(2:00)−天丸橋(4:20)

【地形図】 両神山

大山から帳付を望む

 ずいぶん以前に、途中で挫折した山に再挑戦。
 この前は、社壇乗越から馬道経由で行ったのだが、今回は、天丸橋から大山に寄っていくことにした。

 野栗沢の流れを見ながら、登山口までドライブ。
 この川の本流の、ヤマメのポイントは、この夏、毛針ですべて叩いてみた。
 「ここではずした」「あそこで逃げられた」という記憶が、よみがえる。

 好ましい山村の奥名郷から、ダートをしばしで、天丸橋。
 奥名郷沢の最源流に沿う杣道が、本日のコースだ。

 道は消えぎえ。桟道はすべて朽ち果てているが、水量がないので、歩きやすい。
 3段25メートルのナメ滝を左から巻くと、急な小尾根につけられた、しっかりした踏みあとがあらわれた。

 ジグザグに登っていくと、細い水流をまたぐ。
 ここが最後の水場だが、稜線に近いので、ありがたい。
 この先は踏みあとが不鮮明。

 水流の消えた源頭を少し登ると、左手に目印。
 これに導かれて急斜面をずり登ると、大山と1572ピークとの鞍部。
 ここは、まず大山へ。

 岩稜帯だが、岩はしっかりしており、ホールドも豊富。
 登りついた大山は、なかなかの大展望のピークだった。

 もやがかかっていたが、破不から雲取山までの奥秩父と、複雑で峻険な両神山をめぐる岩峰群、そして天丸山や帳付など、神流川奥の地味な山々が一望できた。

 小休止ののち、帳付に向かった。
 鞍部から県境に出ると、背丈を没するスズタケのヤブだが、細いながらもしっかりした踏みあとが、続いていた。
 天丸山の分岐を見送り、少し下ると、馬道のコル。
 前に来たときに、こんなしゃれたプレートはつけられていなかった。

 西へ向かってすぐに、前回くじけた深いササヤブ。
 気が入っていたので、難なく突破して、尾根の上に出られた。

 この尾根には、ヤブと岩稜まじりの、地形図に出てない登り下りが多く、現在地の把握もままならない。
 最初のポイントは、立ちはだかる岩場を右から巻くところ。
 踏みあとは、シャクナゲの密ヤブで消えるが、なるべく体力を使わずに尾根に登る。

 次は、帳付を目の前に見上げる岩場からの、ギャップの通過。
 ここは南側に残置ロープがあったので、それを利用して下った。

 これが下れれば、あとはひたすら登るだけだ。
 帳付の北側は、100メートルはあると思われる垂壁なだけに、ときおりゴージャスな展望が開けて、苦労が報われる。

 帳付最高点は樹林に囲まれて地味だが、西に数歩歩くと、下ヤツウチグラを目の前に見る、見晴らしのよい場所もあった。

 ここまで意外に時間がかかってしまったので、あまり休まず、下山にかかる。

 帰りは、来た道を戻ったが、大山への分岐を見過ごしたために、ずいぶんロスをした。
 ムラサキシメジとナラタケの入った袋をぶら下げて登山口に戻ったのは、もう4時過ぎだった。