不動寺からとや山、毛無、京塚
−荒船山群核心部縦走−

【年月日】

1996年12月8日
【同行者】 単独
【タイム】

線が滝(8:55)−黒滝(10:06)−不動寺
(10:40)−とや山(12:02)−毛無岩(13:06)
−経塚山(14:50)−星尾峠(15:11)−線が滝(16:20)

【地形図】 荒船山

小沢集落にて
 線が滝周辺には、立岩に行くハイカーの車が数台。
 ここで、山歩きの支度をととのえたのち、MTBにのって星尾集落から羽沢集落へと走る。
 急な下り坂を風を切って走っていくのは爽快だが、手袋が軍手なので、冷たくてしかたがなかった。

 下仁田町に入り、小沢橋を渡って、黒滝・高原方面へと右折。
 すぐ右手の高台に墓地があって、道ばたに「元禄時代の黒滝山不動寺への道標」と書かれた木柱と「義民今井市右衛門の墓」と書かれた案内が立っていた。

 山里を自転車で走っていると、道草が楽しくて困る。
 自転車をその場へとめ、墓地を散策。

 墓地入口には、双体道祖神もあった。
 元禄時代の不動寺への道標は、不動様の石仏で、台座に不動寺への里程などが彫り込まれたものだった。

 風化が進んでいるのと、光線の具合がよくなかったので、崩し字をはっきりと読みとることはできなかった。
 今井市右衛門の墓は、見つからなかった。

 塩沢、小塩沢の集落を過ぎたところで、こぎ登るのがきつくなったので、道ばたに自転車をデポし、歩くことにした。

 黒滝集落をはずれたところが、「奉納黒滝一脉達滄海」という幟がはためく不動寺の第一駐車場だが、いまはずっと上にもう一つの駐車場があるので、とめられた車は一台もなし。
 簡易舗装された道をひと登りで、鐘楼や売店のあるところに着く。

 筧から出ている清水を飲んでいると、飼われている子犬が人恋しいのか、わんわんほえていた。

 ここからようやく山道となった。

 まずはとや山に向かう。

 とや山は、南牧村と下仁田町との境界稜線上の岩峰。
 地形図にも山名がのっていないし、三角点もないので、マイナーなピークだ。

 六車への道標の立つ尾根に出ると、雑木林となり、明るくなる。
 九六六メートルピークの巻き道には一ヶ所、ガレたところがあって神経を使う。

 尾根に出ると、めざすとや山が前方高い。
 町村境稜線に出るとまもなくとや山への分岐。

 とや山まで、ほとんど休まず二時間近くも登ってきたので、少々バテた。

 先が長いので、ひと息入れたら、すぐに出発。
 分岐から荒船山へ。

 道は整備されているが、荒れもめだつ。
 樹間から浅間や艫岩を眺めながら、ブナ、コナラ、ミズナラの雑木林の中、だれにも会わない静かな山道。

 底瀬への分岐を過ぎると、毛無岩が近づく。
 露岩まじりの尾根を登り下りしながら高度をあげ、大展望の毛無岩へ。

 ここにも先客がひとり。

 しばらく休んで、ふたたび西へ向かう。
 急降下して、左に道場からの登山道を合わせる。

 円筒形の小ピークを巻いて西に向かい、急なところを登る。
 次の岩峰は南を巻く。

 この岩で、微量の水がしたたり落ちているのを見つけたので、しばし水くみ。
 なかなかおいしい水で、元気が出た。

 尾根に出てまた急登すると、立岩へのヤブ道分岐。
 この道は、威怒牟幾不動に下る近道だ。

 このあたりからは、ササが濃くなり、背丈をはるかに没するところも多くなった。

 首がササの上に出ないと、ケモノ道を歩いているのと同じ状態だ。
 場所によっては、腰をかがめて歩いた方が歩きやすいところもあった。
 腰をかがめてササの中を歩いていると、「自分はひょっとするとタヌキなのではないか?」という妄想が頭をよぎるので、精神的によくない。

 経塚山が近くなると、巻き道と尾根道との分岐。

 ここは当然、尾根道をとる。艫岩と経塚山とのあいだはあまりにも人気のあるコースだが、東から経塚に登る道は、か細い踏みあとだ。

 経塚山に着いたのは三時前。時間が時間だけに、だれもいない。
 ここからは下山するだけ。

 切り通しの星尾峠に来るのは久しぶりだ。前に来たときには、荒船不動からここに登ってきて、兜岩山や艫岩に行ったのだった。

 この日は、ここから星尾へ下る。

 なんの木だかわからない大木を二本見て過ぎると、鉄パイプでできた水場。
 わき水なので、とてもおいしい。

 さらにしばらくで、田口峠との分岐。
 ここは線が滝とある方をとる。すぐにいもりの滝というさえない滝を見ると、道は登り案配となり、立岩近くを巻きながら、下っていく。

 スギ林に入り、あずまやを見てどんどん下る。
 初冬とあって、四時を過ぎると太陽は山の端に隠れてしまった。

 立岩近道分岐から自動車をとめた線が滝までは、すぐだった。