深い樹林帯の中を歩く
−宿堂坊山から黒檜岳−

【年月日】

2000年8月26〜27日
【同行者】 Nさんと極楽蜻蛉
【タイム】

8/26 西ノ湖入口(8:20)−水場(11:10-12:10)−
  林道終点(12:50)−2077ピーク(14:20)−ネギト
  沢鞍部(16:00ごろ)
8/27 ネギト沢鞍部(6:00)−宿堂坊山(6:15)−三俣山
  (8:25-8-50)−シゲト山(10:35)−黒檜岳
  (12:10-12:30)−千手ヶ浜バス停(14:30)

【地形図】 丸沼、皇海山、男体山、中禅寺湖

宿堂坊山

地味なピークだ
 Nさんと、ひさびさに、奥日光の山歩き。
 今回は、以前歩いた二つのコースを、二日かけて、つなぐ計画を立てた。

 この夏は、重荷を背負った山行きを何度か、こなしたので、少し慣れてはいたが、やはり荷が重いと、なかなかつらい。
 西ノ湖入口からは、廃道とはいえ、林道歩きなので、らくなはずだが、前夜の睡眠不足もあって、かなりばてた。

 ここで見た印象的なものは、カラマツ林の中の、カリガネソウの大群落。
 むらさき色の不思議な花が、たくさん咲いているさまは、みごとだった。

 道ばたの古い倒木に、黄色いきのこ。
 遠くから見ると、古いマスタケのように見えたが、そばに行ってみると、新鮮なタモギタケだった。
 これは、お昼のうどんの実が手に入ったと、ほくほくしながら、摘んでいった。

 林道は、相変わらず荒れていたが、この2年間に、大きな崩壊はなかったようで、さほど危険な個所もなく、通過できた。
 最後の水場は、広い平坦地で、水流も豊富だ。
 ここで、タモギタケをたっぷり入れたつゆをつくって、ざるうどんのお昼にした。

 林道終点からは、踏みあとの登りとなるが、思ったよりつらくなかったので、助かった。
 シャクナゲの下生えにクロベ・コメツガの林立する樹林帯の中、登りついたところは、2077メートルピーク。
 ここは、森林限界を少し超えていて、なかなか展望がよい。

 すぐ北には、重厚な錫ヶ岳。
 シャクナゲのヤブの向こうには、奥白根も、顔を出していた。
 西側は、三林班沢源流の天然林が、すばらしい。
 南は、今回の山行のメインとなる宿堂坊山。小さくて、地味なピークだ。
 その先には、やはりNさんと登った三俣山。
 皇海山は、見えなかった。

 ヤブ尾根の中を、いくつかのピークを登下降して、ネギト沢源頭の鞍部についたのは、たぶん4時ごろだった。
 今宵の晩ご飯は、樹林帯の中で見つけたマスタケに、わたしの畑でとれたピーマンを使った、油炒め。
マスタケが出てた

今宵のごちそう

 マスタケがとても新鮮だったため、とてもよくできたと思う。

 テントに入って、酒を入れて歓談し始めたころ、雨がフライシートをたたいたが、さほどの降りにはならなかった。  ややガスのかかった翌朝は、ルリビタキやメボソムシクイのさえずりに目覚め、水場近くで入手した、これまた新鮮なマスタケを使って、炊き込みご飯を作った。

 宿堂坊山までは、軽くひと登り。
 地味な山なのに、山名板がにぎやかだった。
 この山というか、このコースを愛する人が、意外に多いのだな、と思った。

 ササに昨晩の雨がついていて、ズボンがずぶぬれになってしまったが、下山日だし、そのうち乾くだろうと、どんどん歩いた。
 次のポイントは、三俣山への登りにかかる前の鞍部。
 ここにも水場の表示があったが、ササが深いので、濡れを嫌って、見に行くのをやめた。
 この山塊は、要所に、稜線からさほど下らないところに水場があるのが、ありがたい。

 急登しばしで、お久しぶりの三俣山。
 南から登りついたのと、なんとなく印象が違うのが、おもしろい。
 この前は、初めてだったし、迷峰シゲト山の通過を前にして、緊張感もあったから、印象が違うのかも、しれない。

 三俣山からは、南岸尾根に入り、まずはシゲト山をめざす。
 わたしが先に立って歩き始めてすぐに、道をロスト。
 これは、右折地点を見過ごしたため。

 このあとしばらく、Nさんに先に行っていただいた。
 しばしで、シャクナゲの密生した小ピーク。
 ここから前回は、奥白根が見えたのだが、今回はガスで何も見えず。

 それを下った鞍部は、ルート中最高に展望のよい場所で、皇海山の勇姿が、正面に見えるはずなのだが、今回は、ぼんやりとしか、見えなかった。
 残念。

 シゲト山を慎重に通過すると、あとは黒檜岳の登りだけ。
 コメツガやシラベのヤブの中を、顔をひっかかれながら、すり抜けると、傾斜が弱まり、黒檜岳。
 あとはもう、下るだけなので、ここでゆっくりした。

 千手ヶ浜への下りにかかると、ハイカーがいて、たいへん騒々しく感じる。
 ここからは、Nさんに先行していただいて、ウコンハツ(?)、キサマツモドキ、ヤマイグチ、クロチチタケ、キイボカサタケ、シロイボカサタケ、オオウスムラサキフウセンタケなど、きのこの写真を撮りながら下った。

 千手ヶ浜のバス停に着いたのは、バスが来る10分前だった。