鳴虫山から火戸尻山
【年月日】 |
1998年4月29日 |
【同行者】 |
Nさんと極楽蜻蛉 |
【タイム】 |
林道(8:35)-鳴虫山(9:55)-火戸尻山(12:30)
-籠滝林道(1:40)
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【地形図】 |
日光南部
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火戸尻山の神

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日光南部に火戸尻(ホドシリ)山という山があるのは、何年か前に気づいていた。
そのネーミングのどぎつさに、度肝を抜かれつつ、永く気になる山だった。
秩父にも、宝登山(ほどさん)という低山がある。
公園化された蓑山あたりから見るとよくわかるのだが、この山は、荒川と赤平川がちょうどY字型に合流するところに位置する小丘陵だ。
「ホド」ないし「ホト」とは、ものかげ転じて女陰を意味する古語である。
『古事記』の用例を引くと、以下のようである。
次に火之夜藝速男(ヒノヤギハヤヲノ)神を生みき。(中略)亦の名は火之迦具土(ヒノカグツチノ)神と謂ふ。この子を生みしによりて、みほと灸(ヤ)かえて病み臥せり。(イザナギ・イザナミ神の国生み)
天宇受売(アメノウズメノ)命、(中略)、神懸かりして、胸乳(ムナヂ)をかき出で裳緒(モヒモ)を陰(ホト)に押し垂れき。ここに高天の原動(トヨ)みて、八百萬の神共に咲(ワラ)ひき。(天の岩戸開き)
Nさんに「こういうネーミングの山ですが、いっしょに登っていただけますか」とお願いしたら、快く話に乗っていただけた。
滝ヶ原の籠滝林道近くにNさんの車をデポして、滝ヶ原峠を越え、.740標高点から東にはいる林道を少し行ったところに駐車して、登高開始。
林道わきにタラノメも多いが、すべて二番芽なので、いただくのは遠慮。
終点からは道がないので、沢を少し行って右岸のヤブにとりつき、尾根へよじ登る。
キイチゴ混じりのヤブは快適でないが、ゲンジスミレの花がとても可愛かった。
ほぼ思った通りのところに登りついたので、ツツジの花を見ながら登山道をのんびり歩く。
アカヤシオはほとんど散ってしまい、ミツバツツジが満開。
ヤマツツジはつぼみが多かったが、さかんに咲いているのもあった。
ほどなく合峰。
ここから銭沢不動への道が下っていて、興味を引かれる。
尾根に出てから50分ほどで鳴虫山。
もやがかかってはいるものの、うららかによく晴れたハイキング日和。
人気の山とあって、さすがにハイカーが多い。
モリノカレバタケの束生が何株か出たところで腰を下ろして小休止。
ビールを飲みながら世間話をしているあいだにも、ハイカーが続々と到着する。
気持ちよくなったところで、火戸尻山へ出発。
植林が多いが、快適な雑木林もあちこちにある。
聞いた鳥は、センダイムシクイ、コマドリ、ヒガラ、ツツドリ、ジュウイチなど。
ワラビやゼンマイがあちこちにあるので、少しずつ摘んでいった。
西が開けると、霞の中の日光連山を背景に、薬師岳、三ノ宿山、六郎地山など。
三ノ宿から薬師にかけて林道が痛々しい。
東の開けたところからは、鶏鳴山、笹目倉山。
笹目倉山のスタイルがとてもよい。
登山道は明瞭とはいえないが、迷うことはない。
火戸尻山への最後の登りは長いが緩やか。
ここで初めて、シロヤシオにも出会えた。
三角点の周囲は植林で展望なし。
でも、小広い場所なので、ここで大休止にした。
道ばたにすわり込んで、Nさんと山名の由来を考えるが、ここまでの縦走路に思いあたる節はなかった。
火戸尻山の謎は、結局、お預け。
下山路は、踏みあとのある東南への尾根を少し行き、真南に下る尾根に入って、籠滝をめざした。
行ってみると、うまい具合に踏みあとがあり、途中には、山の神の石塔やふたつ並んだ石祠などもあった。
下りついた籠滝林道から車道に出たところに、山菜販売店があって、お茶を入れてくれたので、店番のオネエサンと山菜談義。
私はウリッパを三束買っていった。
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