花ときのこの山
−日光太郎山−

【年月日】

1994年8月24日
【同行者】 2人
【タイム】

光徳沼入口 (7:50)−水場(8:48)−山王帽子山(10:05)
−太郎山(12:00)−志津林道分岐(14:03)

【地形図】 男体山

男体山から見た太郎山

 裏男体林道と志津林道の分岐にMTBをデポし、光徳沼バス停のところから出発。

 「太郎山登山道近道」という小さな道しるべにしたがって右のミズナラ林に入る。
 数人の人が腰篭などを下げて棒きれでササを払いながら歩いていた。

 たぶん、チチタケを探していたのだろう。

 でているのは、ほとんどツチカブリだった。
 句碑と登山者名簿のある登山口からは、重機で切り開いた平坦な道。  ホタルブクロ、センニンソウ、キオン、イナカギク、ソバナ、センニンソウなどを見る。

 小沢に水流があらわれると、ガレ場。
 今にも崩壊しそうな大きな岩がせりだしている。

 稜線が近づくとヤマハハコ、オヤマリンドウ、オンタデ、オトギリソウ、ホツツジ、コキンレイカと、花がふえてきた。

 鞍部をへだてて左に山王帽子山が見えてきた。
 稜線からは鞍部への急降下。

 ひと登りで山王帽子山着。
 山王林道による傷跡が印象的だが、さらに志津林道と結ぶルートを作っているらしく、林道工事の音が響いている。

 小休止して来た道を戻る。

 メボソムシクイが鳴いたので立ち止まって目を凝らすと、くすんだ黄緑色の鳥がくちばしをいっぱいに開いて自慢そうに鳴いていた。

 いよいよ太郎山の登り。

 メボソよりひと回り大きく黒と灰色とこげ茶の鳥がホヒーホヒーとウソに似た声で鳴いた。

 樹高が低くなると、小さなお花畑。
 コゴメグサ、ウメバチソウ、オヤマリンドウ、咲きおわったマルバダケブキ、アキノキリンソウ、ハクサンフウロ、まだ青い実をつけたコケモモ、シオガマギク、オトギリソウ、黄色く枯れたコバイケイソウ、ヒメシャジン、花がらとなったミヤマダイコンソウ、ミネウスユキソウ、エゾシオガマなどが目についた。

 登り着いたところは、アキアカネが乱舞する小太郎。
 ガスで展望のないのが残念だ。

 小太郎から太郎山へはやせた岩尾根。
 岩場にコケモモやコキンレイカ、ミヤマダイモンジソウ、小さなトリカブト、シラネアザミ、ミネウスユキソウ、ホソイワベンケイなどがあって目をなぐさめる。
 ミヤマダイモンジソウは細い花茎の先に白い大文字型の花をいくつもつけていて、とりわけ美しかった。

 右下に旧火口の草原を見るとすぐに太郎山。

 太郎山神社の石の祠がかたむいていた。

 旧火口はお花畑という立て札があったが、花らしいものはなにもなし。
 ふりかえると、山頂南面のシラビソが縞枯現象を起こしていた。

 火口のへりに出て見ると、男体山との鞍部まではすごい急降下。
 登りの比ではない急なガレ場で、頭上には大岩がひしめきあい、足元はザラザラの火山泥だ。
 何度かガレを横切ったあとは、ガレの左岸沿いに立木や岩につかまりながら両手両足を使って下る。

 チェーンソーの音が聞こえてくると、傾斜はややゆるやかになった。
 どこかでまた原生の森が伐られている音だ。

 オオウラベニイロガワリらしきキノコ、アカジコウ、オオモミタケなどが出ていた。

 オオモミタケは、味噌汁に入れて食べた。
 ほんの少し苦みがあったが歯切れがよくおいしかった。

 アカジコウは管孔をむきとり、煮物にして翌日食べた。
 煮ると赤い色が抜け、小さくなってしまうがこちらもなかなか味はよかった。

 もうひとつのイグチは、もしウラベニイロガワリだったら困るので食べなかった。