小川町の腰越城址へ。
登場人物
山田伊賀守直定:武蔵・腰越城主。上田朝直の家臣
上田朝直:武蔵・松山城主。領地を守るため、上杉朝定・北条氏康・長尾景虎などの家臣となり、主君を転々とする
(山田伊賀守直定) 皆の衆に頼みたい。裏の山を城にせよと上田さまの仰せじゃ。
(百姓A) いくさになりましょうか。
(直定) おそらくは。越後の上杉景虎さまが攻めてこよう。
(百姓B) なんと! 上田さまはつい先年、上杉を裏切ったばかりではありませんか。
(直定) そうよ。去る冬、上野(こうずけ)で景虎さまは、村々を襲って田畑を荒らしただけでなく、食べ物を奪い、衣服をはぎ取り、鍋や釜まで持ち去ったそうだ。
(百姓C) 恐ろしい!
(直定) 上田さまとしてはもはや、北条氏康さまにお味方するほかないのじゃ。なんでも秩父へは、甲斐の武田信玄が入り込んで火を放ち、女子どもまで連れ去ったそうだ。
(百姓D) 恐ろしい!
(直定) われらの村はわれらで守るほかないのよ。小さくとも、いざというときには年寄りも子どももみんなで避難できる、立派な城を作ろうではないか。
(百姓ABCD) 承知いたしました。
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