春の武川岳

【年月日】

1990年4月18日
【同行者】 単独
【タイム】

タイムとらず

【地形図】 正丸峠 秩父

 朝起きてみると、武甲山から熊倉山にかけての峰々が白く冠雪していた。

 山伏峠の手前に林道ができており、武川岳に向かう道標がたっていた。
 自動車は以前の峠の所に置き、古い登山道を行くがすぐに新道とぶつかり、あとは植林の中を登っていく。

 植林の中、モミジイチゴのようなものしか生えていない中をしばらく行くが、「武川岳まで一・八キロメートル」の道標から右手が雑木に変わり、あたりが明るくなる。
 さまざまな木々の芽生えが心地よい。
 足元には、トリカブトの芽も伸びている。

 ちょっとしたコブを越え、前方に前武川岳を望む鞍部には、雑木の斜面にカタクリが群生していた。
 つぼみをようやくもたげたところで、あと一週間もすれば美しくなるだろうと思われた。

 クリかコナラの倒木には、キクラゲが生えていた。
 武奈ヶ岳のときのはタマキクラゲだったが、今度はほんとうのキクラゲだ。
 あたりをもっと探したいが、カタクリの群落のなかに入っていくにしのびず、道のわきのだけを採っていった。

 前武川岳あたりから登山道に雪が出てくるが、踏むとすぐに融けてしまう程度だ。

 武川岳の山頂に着くと天気は再び悪くなり、小雪が舞ってきた。
 普段着のまま出てきたのだが、雨具を着ると寒くはない。
 頂上のベンチの雪を落として食事にした。

 奥多摩方面に雲がかかっていて、見えるのは川苔山くらいだ。
 食事をすませ、名栗少年自然の家へ向かうルートを下る。

 おおむね雑木の尾根歩きだが、左側(西側)の斜面にはカタクリの群落が何か所かある。
 ここのカタクリも、もうすぐ咲きだしそうだ。

 「展望コース」との分岐は二万五千図にはのっていない。
 ノーマルルートらしいよく踏まれた方の道をとる。

 植林帯から、崩れやすいトラバース気味の下りを下っていくと、沢に出合う。
 沢沿いに下ると、すぐに大栗沢林道。
 ここには「みどりの日制定記念植林入口」の表示があった。

 林道の道ばたには、ミヤマキケマン、ムラサキケマン、イチリンソウ、ニリンソウなどが咲いていた。