仲仙寺は、立派なお寺だ。
だが、歩き出しが遅いので、お参りはあとにして、登山道に入る。
しばらく水平道を行き、道標に従って広い道を登る。
小沢を渡るあたりから普通の登山道になる。
周囲は、アカマツ混じりの雑木林である。
チチタケの群生がさっそく目を引く。
とって行って、大休止の時に食べてもいいのだが、この先の登りを考えると、そんな余裕がない。
先行している方々がきのこに関心がありませんようにと念じて、写真だけ撮って先を急ぐ。
コースは、尾根をまっすぐ登るのでなく、しばらくトラバースを繰り返したのち、尾根にとりつく。
尾根に上がると、部分的に急登もあるが、概ね尾根の南側を行くので、地形図から想像するよりずいぶん歩きやすくできている。
とはいえ、この日も先日の二王子岳同様蒸し暑く、きつい登山になりそうだった。
汗を絞りながらかなり登ったところで、四合目。
ダムからの登山道がここで合流する。
音を上げたいところだが、まだ四合目だから、ここは休まず行く。
周囲は、ヒノキ林になるが、アカマツは相変わらず多い。
登山口の標高が約950メートル。
山頂が約2300メートルだから、標高差にして1350メートルになる。
スズタケの密生する林床だが、登山道沿いに花は多い。
ヤマジノホトトギス・オオバギボウシ・オトギリソウ・フシグロセンノウ・チダケサシなどが暑い中で咲いていた。
五合目の小広場で小休止。
ずいぶん疲れたが、ここまで飲まず食わずで登ってきたのだから、当然と言える。
その先は時おり、かなりの急登をまじえた尾根道である。
六合目には、おかしな形をしたブナの大木がある。
五合目から上部はカラマツの植林地になるのだが、ブナはみんな切られてしまったのか、大きなブナはこれだけだった。
七合目は三角点のある小ピーク。
少し下って、再び長い登りとなる。
センジュガンピ・ソバナ・ヤマサギソウがいくつか目についた。
八合目はコース中唯一の展望台で、お花畑になっている。
ヨツバヒヨドリ・ヤナギラン・クガイソウ・ヤマトリカブトなどが咲いており、たくさんの蝶も舞っていた。
振り返ると望める高山は西駒ヶ岳あたりか。
東側には伊那盆地を隔てて南アルプスが見えるのだが、この日は甲斐駒ヶ岳以外は、雲に覆われていた。
黒沢山に向かうと思しき明瞭な分岐を分けると九合目で、ここまで来ると多少の登り下りを交えつつ、ようやく山頂に着いた。
展望は全くなく、宗教的モニュメントがいくつか置かれている。
観音らしき石仏や、「経嶽天御中主神」と彫られた石柱などがあった。
ここでゆっくり休み、来た道を戻る。
五合目で少し休んだが、基本的にはどんどん下った。
ゴロ石帯や急降下がないので、いい感じで戻ることができた。
チチタケもそのまま残っていた。
下山後、仲仙寺を拝観。
ひなびた中にも立派な伽藍で、江戸時代に掲げられた額があまり色褪せずに残っていた。
馬を使った運送業に従事する人々の信仰が篤かったのか、馬の絵の描かれた絵馬も多かった。
思ったより早く下山できたので、グリーンファームでキャベツ苗を買うこともできた。
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