北アルプスの展望台
− 富士嶽山 −

【年月日】

2011年3月5日
【同行者】 Uさん
【タイム】

駐車地(10:42)−大姥石像(11:05)−富士嶽神社奥社(11:17)
−富士嶽山(12:24-12:54)−登山口(13:30)−駐車地(13:49)

【地形図】 別所温泉 武石 ルート地図

 快晴予報だったので、展望の山に行こうと考えた。
 そろそろ早春の花の季節でもあるので、節分草か福寿草の咲くところで、大展望が得られて、日帰り温泉が近くにあるところということで、以前からの懸案でもあった富士嶽山に行った。

 上部に積雪があるので、できれば南面にあたる丸子町側から登りたかったが、それらしき登山口が見当たらなかったので、以前、下見をしておいた北面から登ることにした。

大姥石像(大きな写真)
弥勒仏塔

 大姥登山口への林道に、氷化した雪が残っていたので、無理せず途中の広くなったところに車を止め、車道をしばらく歩く。
 山側ののり面には、岩から染み出した微量の水が、氷柱となって垂れ下がっていた。

 登山口からまずは、大姥石像と弥勒仏塔を見学。
 いずれもたいへん古いものらしい。
 特に大姥石像は、当地で激しい戦乱が続いた戦国時代よりかなり前の時期に作られており、仏像でも、神像でも、それ以外の妖怪でもない形をしている。

 果たしてどういう意味のある石像なのだろうか。

 富士嶽山へは、とりつきから急登となる。
 少し登ったところに、富士嶽神社の奥社。
 小さな祠の中には、大姥に似た石に彫られた石像が鎮座していた。

 社に祀られているのだから、神像なはずだが、この石像は右手で印を結んでいる。
 髪型は神像っぽいが、雰囲気としては仏像だ。
 これもまた、謎の像なのだった。

 しばらく緩い登りだが、雪が出てきて傾斜がきつくなると、足元が滑って登りにくい。
 いったん楽になるが、最後の登りになるとやわらかい雪が薄く積もってますます滑りやすくなる。
 トラロープにすがって、四苦八苦しながらここを登りきると、立派な祠の建つ東峰に着いた。

 三角点は西峰にあるのだが、しいて言えば山頂はこちらだろうと解釈して、ザックを下ろす。
 展望は期待通り。

滑って歩きづらい
鹿島槍(大きな写真)

 南側は雑木が育って今ひとつだが、美ヶ原・独鈷山・槍ヶ岳・針ノ木岳あたりから北の北アルプスほぼ全山、妙高・黒姫山、四阿山・根子岳、湯ノ丸・烏帽子、浅間連山、浅間隠などが望まれた。

槍ヶ岳
独鈷山

 眼下には上田盆地一帯が一望できる。
 自分としては、山岳展望よりこの穀倉地帯を見ることができたことの方が、エキサイティングだった。
 武田信玄が、この地を執拗に侵略した理由の一つは、この地の経済的な豊かさにあったと実感された。

 広い水田地帯を囲む里山の山懐には、多くのため池が見えている。
 この地の民の、営々たる労苦の積み重ねが、この風景を作り出している。

穀倉地帯(大きな写真)
ミニ氷柱

 帰りは、来た道を戻った。

 まだ早かったので、武石の福寿草群生地を見に行ったが、開花しているのはごく一部だけだっただけでなく、株数が言われているよりずいぶん淋しい感じがした。

 「うつくしの湯」で汗を流し、さっぱりして帰途についた。