− 真夏の白倉岳 −
湖西線の車窓からは、比良連峰の山腹に赤茶けたナラ枯れが湿疹のように広がっていくのがよく見えた。
安曇川駅からの江若バスの時刻が、ネットで調べたのとは全く違っており、8時2分に出るという心づもりだった細川行きバスは、11時半まで出ないのだった。
安曇川に沿う国道のまわりは、広大な水田地帯で、ちょうど出穂したところだった。
朽木学校前に着いてみると、出町柳行きのバスが9時35分に出るとあったので、それを待つことにした。 鮎釣りの人々が竿を振る安曇川を渡るが、道標が見当たらないので、地形図にあるとおり、お寺のわきから登ろうとしていると、お寺の人が、正式な登山道はもう少し上流側だけどここから登っても同じだというので、廃林道のような広い道を登ることにした。
登り始めてすぐに、道ばたにあった廃屋から大きな雄鹿が飛び出した。
周囲は大きく育ったスギ林だが、鹿よけのために荷造りテープが巻いてある。
ずいぶん登って、登山道と合流するところが松本地蔵で、戸閉になったお堂がある。
周囲はほぼずっとスギ林だったが、このあたりからアカマツ混じりの二次林となる。
カシナガによる枯れは、その年に枯れたものは、赤茶色の葉枯れが目立つのだが、前年以前に枯れた木は、葉がないので、近づかないかぎり、それとわからないのである。
大彦峠の分岐を分けるあたりから、スギの大木がちらほら見えるようになる。
烏帽子岳を巻き、烏帽子峠から登り返して、小ピークを登降していくと、白倉岳三角点。
ふたたび下って、登り返すと中岳で、このコース最大の巨杉に出会う。
中岳の次のピークは南岳だが、ここはブナ林で、100年くらいかと見えるブナの壮年木が林立していた。
南岳から栃生へは、ぐんぐん高度を下げていく。
すぐに植林地になり、標高650メートル付近で道型が不鮮明になるが、そのまま尾根を下っていけばよい。 栃生からの交通機関で適当なのがないので、やむなく朽木学校前まで歩いたが、山の中よりはるかに喉が乾いた。
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