天候は曇。
南下していた秋雨前線が北上し、南側は明るいのだが北側には雲がたれ込めており、いつ降りだしてもおかしくない状況だった。
少しゆるやかに登っていったん下り、ハンノキ沢にかかる橋を渡る。
山の空気はすっかり秋で、白や黄色のニガナ、ヤマハハコ、ツルリンドウなど地味な花が登山道を彩っている。
地蔵峠から静かに登っていくと、1802メートルの小ピーク。
木々の間からこれから登って行く堂岩山の、あまりぱっとしない山容が望まれる。
オオカメノキの実が真っ赤に熟しており、美しかった。
明るい木陰にはシラタマノキが白い実をつけていた。
木の間越しに野反湖が見渡せる小広いところで、立ち木に「水場」の表示がしてあるのを見る。
刈ったネマガリタケを敷いてあるのは、幕営のあとなのであろう。
ユキザサやゴゼンタチバナの実が多くなる。
一本の花茎に数個の実をびっしりとつけたゴゼンタチバナが群落をなしているさまは、なかなかみごとだった。
針葉樹が増えてくると前方が開け、堂岩山。
ここでようやく、白砂山が見えた。
写真でも撮ろうとカメラを出したが、先日の甲武信で故障したらしく、シャッターがおりない。
堂岩山から先は、明るいササ尾根歩きとなる。
登山道の上にネマガリタケがかぶっており、それが露をふくんでいるため足でそれをかき分けていくと足元が濡れてくる。
夏のお花畑のなごりが残っていて、オヤマリンドウ、コゴメグサ、ホツツジ、ハクサンフーロ、アキノキリンソウ、ウツボグサなどが咲いている。
オヤマリンドウの紫がかたまって咲いているのも、ミヤマコゴメグサの細かい花が岩の間にびっしりとついているのもいい感じ。
ハイマツやシャクナゲの樹下には、コケモモ、クロマメノキ、アカモノなどが実をつけているなか、堂岩山からいったん下り、中間ピークに登り返す。
ここの中間ピークは、稜線の中でもっとも花や実の多いところだった。
白砂山へは、何段かの急登があり、ササをかきわけながら登っていった。
山頂に着くと、急にガスがかかってきたために、全く何も見えなくなった。
じっとしていると寒くなってきたので、雨具の上下を着込んでガスの晴れるのを待っていると、ガスが速い速度で流れ、佐武流山が見えだし、その向こうに苗場山があらわれた。
その他の山は結局、見えなかった。
寒いので下山にかかり、途中水場で大休止。
途中、雨が降り始めたが、野反湖に着くころにはあがった。
せっかここまできたのだから、草津白根に行ってみることにした。
レストハウスに着いたのは2時前。
ロープウェーの駅から、鏡池へ向かい、長い階段を登って鏡池への縁に立つ。
鏡池からやや下り、また登って空池の縁に出る。
標高2100メートルを越えたあたりからハイマツ帯となり、コケモモの赤い実が目立ってくる。
「コマクサ自生地」の表示があらわれ、花数は多くないがなごりのコマクサを見る。
2145メートルの「展望所」で一息。
あと少しで最高点というところまでくると、道にロープが張ってあり、硫化水素発生のため通行禁止と書いてあった。
残念だがやむを得ず、登るのはそこまでとした。