今回も、武州日野駅から日野鷺橋を渡って天宮尾根に入る。
　朝の気温は市内で氷点下6.3度だったが、武州日野駅周辺は、一段と寒かった。
　車道から山道に入るあたりはカシの木が多く、秩父の低地は照葉樹林だったことがうかがえる。

　小野原稲荷の境内を抜け、尾根にとりつくと、みるみるうちに市街地が低くなって、ほどなく最初の鉄塔に着く。
　まだ30分ほどしか歩いていないが、衣服や靴ひも調整のため、小休止。
　若御子山あたりからちょうど、太陽が登ってくる。

　ここから82号鉄塔しばらくは、鉄塔巡視路を行くので、難しいところはないが、あえて言えば、80号鉄塔への分岐がくせものだ。
　案の定、ここで80号鉄塔に向かう道に入り込んでしまった。

　そこからは特に問題なく、大天狗という小さな石塔のあるところで、2度目の小休止をとった。
　樹林越しではあるが、同じメンバーで先月歩いた、酉谷山や熊倉山がよく見えていた。

　この日は強い寒気が入っている上、南岸低気圧が接近するという予報があり、午後以降、降雪の可能性も報じられていたが、気温は低いものの、朝から風もほとんどなくよく晴れていた。
　降雪では山歩きがつまらないので、冬型気圧配置が強まる日曜日に延期しようかとも考えていたが、この日に決行してよかった。

　大天狗から少し高度をあげて、82号鉄塔へ。
　ここで先頭を交代して、北への踏み跡を行く。
　575メートルピークにある83号鉄塔の分岐までは巡視路を行く。
　柴原へ下ると思しき踏みあとはとても鮮明で、紛らわしい。

　83号鉄塔への道に入ると、今度は巡視路を見切って84号への道に入らなければならない。
　ここも、要注意だ。
　尾根に上がると、644メートルピーク手前にも、84号への巡視路と東に向かう踏みあとがあるが、今度はそのいずれをも見切って尾根を直進する。
　ここのルートは踏みあともしっかりしてきたし、目印もついているので、ずいぶん見つけやすくなった。

　この尾根を登れば、紛らわしい分岐は、もう出てこない。
　明るい雑木林を下ってまた登れば、ちっとした切り開きの品�рﾉ着いた。

　ここでまた、先頭を交代して、文殊峠へ向かう。
　品�чｺの工事現場はここ数年、止まったままだ。
　産業廃棄物の処分場でも作ろうとしていたのだろうか。

　工事現場を迂回するルートは、ヤブがかぶさって歩きにくくなった。
　鬼坂の分岐は明瞭だが、車道に下りるところの道もほとんど消えていた。

文殊峠から見た二子山・毘沙門山

32番観音堂

　いつものように、文殊峠天体観測所のあずまやをお借りして大休止。
　ここからは、両神山・二子山・毘沙門山・御荷鉾山などがよく見える。

　金精神社のわきから釜ノ沢五峰への道に入り、第五峰手前の565メートルピークからヤブに入る。
　ここは顧問がトップで行った。
　薄い踏みあとはあるのだが、要所要所できっちりコンパスを使わないと、下る尾根を間違える。
　かなり慎重に行ったのだが、最後の詰めで、尾根を一本間違えた。

　間違えて下った隣の尾根にも鉄塔があり、巡視路を使って戻れたので、ロスした時間は5〜10分程度ですんだのは、幸いだった。
　ここで再びトップを交代して、札所32番方面へ下る。

　途中の大日岩一帯は、巨大な岩塊で、風化と融解によって不思議な岩窟や尖塔が形成されており、岩場に石像などの宗教遺跡が作られていて、興味深い。
　大日岩で記念写真を撮り、32番へ。
　底冷えのする日だったせいか、参拝客はおらず、閑散としていた。

　ここまで来れば、ゴールの小鹿野町まで、あともう少しだ。
　諏訪神社方向に少し行って、人家のわき、石仏のあるところから山道に入ると、少しの登りで大日峠に着いた。
　ここで最後の小休止。

32番山門(大きな写真)

金精様

　ここには二体の石像と大正時代に作られた石の道標がある。
　大日峠に立っているのだから、石像は大日如来だと思われるが、一見すると神像のようにも見える。

　ここからはスゲの多い小沢に沿って下っていく。
　流れの弱い小沢は、表面が凍って白くなっていた。

　力強く「弁才天」と彫られた石柱を見るとまもなく、小判沢。
　祠の形をしてはいないが、金精の形をしたものが道わきに祀られていた。
　文殊峠の金精神社と関係のあるものだろう。

　バス通りに出たのはバスが来る予定時刻の少し前と、ちょうどよかった。
　天候が心配されたが、バスを待つ時間になってもなお、曇りがちながら青空ものぞいていた。