春浅い黒木の山
− 大ダオから黒金山 −

【年月日】

2011年5月4日
【同行者】 単独
【タイム】

乾徳山登山口バス停(6:28)−乾徳山登山口(6:57)−林道終点(8:18)
大ダオ(9:54)−黒金山(10:52-11:01)−牛首のタル(11:29)
林道(12:30)−天科バス停(13:41)

【地形図】 金峰山 柳沢峠 川浦 ルート地図

 昨年に引き続き、また黒金山を歩いてきた。
 今回も、乾徳山登山口に自動車を止めたが、乾徳山経由でなく、大ダオ経由で登った。

ホオジロ叫ぶ
ガビチョウも叫ぶ

 徳和川は、堰堤が多くて、とても食指が動く川でないのだが、釣り人は非常に多かった。
 放流が多いのだろうか。

 登山口近くでは、ホオジロやガビチョウが賑やかにさえずり、人家の庭では、花木の花が盛んに咲いていた。

 ハイカーの姿をいくらか見かけたが、乾徳山の入口を過ぎると、釣り人以外に人影は見えなくなった。

 しばらく行くと、夢窓の滝という看板を見る。
 夢窓とは、夢窓国師のことだろうが、国師ヶ岳が近いからといって、昔の人が滝にそんな名前をつけるわけがない。
 命名が安易で、興が冷める。

 滝を見に沢身に下って行くが、登山靴で濡れた岩場を登るのは不安なので、途中まで登ってはみたが、全容を見るのはあきらめた。
 すぐ上の小沢には、長尾の滝という小滝もかかっていた。

 なおも林道を歩いていくと、林道が二叉に分かれる。左の道は橋を渡るが、ここはとりあえず、直進する。
 その先さらに、大きな堰堤をいくつも巻いた先が林道の終点で、ようやく登山道に入ることができた。
 ここまで歩き始めて約2時間迩くかかった。

源頭の春は浅い
バイケイソウ芽生え

 ここからは、丸太橋を何度も渡り返しながら、沢を詰めていく。
 雪代が入っていて、水量はまずまず多い。

 斜面では、落葉樹の中に、モミやコメツガらしき針葉樹が混じっている。
 木々の新芽はようやく吹き出したばかりで、新緑にはほど遠い。

 ルートは比較的明瞭で、迷うところはない。
 長いコースだが、水量は着実に減じてくる。

ヒガラ遊ぶ
バイカオウレン

 ダケカンバやコメツガの若木が多くなってくると、登山道は地形図のルートからはずれて、鞍部に向かう。
 稜線までしばらくのところが、最後の水場だった。

 ヒガラが遊び、足元の苔の中で、バイカオウレンが咲いていた。
 針葉樹の落ち葉が腐敗した、ぬかるみの匂いが好ましい。

 源頭は広々とした草原で、とても伸びやかな所だった。
 登りつめると、右に黒金山、左に御止木と記した道標が立っていた。
 御止木方面の踏みあとはかすかで、ここから国師ヶ岳まで行くのは、なかなか大変ではないかと思われた。

大ダオから乾徳山を望む
大ダオからの富士山(大きな写真)

 背後の乾徳山は、笠森山近くから見るほど鋭角的ではなくて、稜線上の岩峰という感じだった。
 富士山も見えてはいたが、春霞のためにさほど明瞭ではなかった。

 すぐに樹林帯に入ると、コメツガの森だ。
 森の中は暗いが、上を見上げると光が漏れてきて、心なしか、緑が鮮やかだ。

 踏み跡をたどっていくと、積雪が多くなってくる。
 作業ズボンで来てしまったし、スパッツも持ってないので、ちょっと困った。
 トレースはあるのだが、雪を踏み抜くと、膝くらいまで潜ってしまう上、硬い雪がすねに当たると、痛いのだった。

 なるべく踏み抜かないよう、慎重に登る。
 乾徳山からの道を合わせるまで、かなり登らなければならないが、見覚えのある分岐の道標を見ると、山頂は近い。
 深雪に辟易しながら、山頂へ。

コメツガの森(大きな写真)
金峰山

 樹木の生えていない山頂北側には、雪はまったくなく、大展望が広がっていた。
 ここからは、金峰山が見えるのだが、大日岩がやや異常な形に見えている。
 甲武信三山や国師ヶ岳は間近く立派だ。

 しばし休んだ後、西沢渓谷方面に下っていく。
 最初は雪が深いので、踏み抜くと向こう脛を強打する。
 なるべく踏み抜かないよう、注意して下っていく。

 牛首のタルまで下ると、雪はなくなり、穏やかな下りとなる。
 最初はシラビソ林、次いでカラマツ林となる。

食害の森1
食害の森2

 ここの樹木への、シカ食害はひどい。  シラビソもカラマツも、広葉樹もほとんどすべての樹種で樹皮が食われている。
 ここまま放置すると、数年後には悲惨な森になるだろう。

 大菩薩や雲取山が見える展望地を抜けると、水場。
 細いがしっかりした水流がある。

 その先しばしで、広い林道に出る。
 黒金山がナントカ百山に選定されてから、この林道に駐車して忙しくピストン登山する人が増えたそうだ。
 ごくろうさま。

大ミズナラ
大ブナ

 尾根がやや平坦になると、ブナ・ミズナラなどの林になる。
 巨木というほどの樹はないが、立派な天然林を歩くと、心がなごむ。

 今日のコースにはツツジ類は少なかったのだが、植林帯まで下ってくると、ミツバツツジが美しい。
 どういうわけか、大クリが数本、伐り残されていた。

ミツバツツジ(大きな写真)
大クリ

 青笹川の瀬音が聞こえてくると、小沢を渡って沢沿いの道になる。
 道標に従って下って行くと青笹の集落だが、登山道は、人家の裏の鹿柵に阻まれるので、柵を開けて集落に入る。

 天科のバス停まですぐだったが、バスが来るまで1時間ほど、ベンチで寝転んで、本を読んでいた。