日立中央インター近くで自転車をおり、神峰公園への車道を歩き出す。
ここは意外に、自動車の通りが激しかった。
駐車場の先に、神峰ハイキングコースの入口。
アカマツと照葉樹の二次林なので、ちょっと荒れた感じ。
どういうわけか、登山コースにコンクリート製の電柱が、ずっと建っていた。
登山道を少しはずれたところに、アンテナ類が林立する三角点。
ここが鞍掛山か。
何の風情もないところだが、白花のアセビが咲き、足元ではツリガネニンジンが芽吹いていた。
車道をわたって、階段状の道を登っていくと、右側(北側)に、金網のフェンス。
その向こうは、廃棄物処理場のようなところだ。
このあたり、自動車の通行音が、耳障りだった。
車の音が遠のいていくと、ごく普通の里山の風情。
今年の草花の開花は、例年よりやや遅れている感じだ。
足元に咲いていたのは、タチツボスミレとミミガタテンナンショウ。
そして、モミジイチゴがちらほらというところだった。
太平洋側の低山だけあって、二次林も、ヒサカキ、アセビ、アオキ、ヤツデなど。
なかでも、ヒサカキがたいへん多かった。
大木としては、ヤシャブシ。
枝ぶりもりっぱな木が、登山道のわきに並んでいた。
小沢をわたると、湿地帯で、ガマガエルが大騒ぎ。
声はともかく、水の中で、大量の卵がのたくっている光景は、あまり気持ちよくない。
蛇塚を過ぎると、スズタケの下生えに、リョウブの林。
幹が明るい色なので、華やかな感じがする。
小木津山への分岐を過ぎると、広い伐採地。
これは、植林のためではなく、送電線保安のための伐採のようだ。
切り刻まれたヤマザクラやコナラなどの幹が転がっていて、もったいなくてしかたがない。
つい最近伐ったものらしく、切り口から水を吹きだしている切り株もあった。
それを見ると、木の怨念を感じてしまって、背筋が寒い。
あれらの切り株は、はたして萌芽するのだろうか。
羽黒山から下って、沢平への分岐にかかる少し手前に、山神の石碑。
神峰山の山神
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日立あたりは、水田地帯とも見えないが、このあたりの里人と山とは、どのような関係にあったものなのだろうか。
神峰山頂には、神峰神社と気象観測所と、大煙突記念のレリーフ。
このように人工物が多くては、くつろげない。
ぐんぐん下ると、北側が開けた雑木林。
シジュウカラのさえずりや、キツツキのドラミングが聞こえて、ほっとする。
本山への下り口を見てちょっと迷ったが、陽もまだ高いので、直進して高鈴山に向かった。
廃道化した道路を越えると、未舗装の林道だが、すぐに山道になる。
神峰までは、ヒサカキがすこぶる多かったが、ここからはアオキやコナラの方が多くなった。
御岩神社へという分岐がいくつかあるなか、緩やかに登降を続けていく。
いくつかある小さな突起には、東側に巻き道がついていて、こちらはアセビのトンネルだった。
山頂直下で舗装路に出、林立する巨大アンテナと工事関係の自動車数台の待つ頂上までは、すぐだった。
茨城県が立てた看板には、高鈴山風景林を大事にしようという意味のことが書いてあったが、目の前の風景と引き比べると、ちょっと首をかしげざるを得なかった。
半日コースにしては長い距離を歩いたので、山頂でひといき入れ、舗装路を下山にかかった。
この道は、たぶん工事関係の車しか通らないので、のんびり歩けて、気分がよい。
ことにこの時期は、白アセビが満開で、たいへんみごとだった。
しばらく下ると、五叉路。
ここは、チェーンで閉ざされた本山自然の村への廃林道へ。
この道は、やがて山道に。
アブラチャンやキフジの地味な花が咲く道を下っていくと、キャンプ場。
道ばたのノビルやツクシが、なつかしい。
キャンプ場の橋から、小尾根を越えて、赤沢山荘の横に出ると、自動車をデポしておいた本山トンネルまでは、すぐだった。