好天予報だったので、以前から行ってみたかった菅名岳に出かけた。
アプローチが長いので、自宅を午前1時に出て関越道を走った。
栄SAで仮眠をとり、一般道は道中不案内のため、磐越道安田インターまで走って一般道に下りた。
登山口の駐車場には、すでに10台ほどの自動車が止まっていた。
登山口までは10分ほどの林道歩き。
山側はよく手入れがされており、まるで教科書のように立派なスギ林だ。
登山口には大まかな地図看板が立てられている。
まずは林道をさらに歩いて、胴腹清水へ向かう。
道標らしきものがあまり見あたらないので、やや心配にもなるが、林道の終点まで行くと、どっぱら清水への道標があった。
沢沿いの登山道には山ヒルが生息しているらしいので、最初はかなり注意深く歩いたが、さすがにこの時期になるとヒルの姿も見えなかったので、安心してゆっくり歩くことができた。
ブナやトチの倒木がないのできのこは少なめだったが、ケヤキの枯れ木に新鮮なエノキタケが出ているのが見つかった。
登山者はみな、大蔵山から登っているのか、こちらのコースに人影はなく、のんびり登ることができてよかった。
しばらく行くと、サワグルミやカツラの森。
大きなサワグルミもあったが、この森の見どころは、なんといっても巨大なカツラが林立しているところだった。
樹木の性質上、株立ちの樹だから幹の太さは、さほどでない。
しかし、数本の幹を立てた大株になると、根回りの大きさは尋常でない。
一度主幹が枯れたのち、伸びたひこばえが巨大化したらしき株もあり、苔むした枯株から元気のよい幹を立てているのもあった。
沢沿いを歩けば、大きなカツラを見ることはしばしばあるのだが、相当範囲に巨カツラがそびえ並ぶところを見たのは初めてだった。
かなり歩いて胴腹清水。
この清水は、登山道から分岐する枝道を少し登ったところにあり、岩の割れ目から大量の水が噴き出しているのだった。
清水近くには大カツラや大トチがある。
胴腹清水よりやや上流側の斜面にあったトチ(下の巨トチ1)は、かなり大きなもので、あとで見た巨トチと比べても遜色のない巨木だった。
道が沢から離れるところに巨トチへの道標があり、しばらく登ると、枝ぶりも素晴らしい巨木(下の巨トチ2)に会うことができた。
巨木の谷の親分らしい風格のある、神々しい樹で、数百年を生きてきた生命と時間・空間を共にする意味を考えながら、しばしそこで立ちすくむ。
椿平へはブナ林の急登だが、あっという間だ。
丸山尾根に上がれば、林相が一変して、ヤブツバキの下生えにブナの大木ばかりとなる。
ここからの登りはほぼずっとブナ林。
ブナの根が覆う尾根を登っていくと、地面から出るきのこが目に入るが、両側はかなりの急斜面なので、倒木や立ち枯れは見あたらない。
思ったより時間がかかってようやく、菅名岳。
雲がやや多く、飯豊ははっきりしないが、東〜南側が切り開かれている。
いかにも地元の人らしいハイカーが数パーティ、敷物を広げた上で憩っていた。
ナナカマドの紅葉は今ひとつだったが、赤い実が青空に映えていた。
山頂から大蔵山に向かう尾根は、伐採あとかと思える灌木帯。
粟ヶ岳と白山以外は名前のわからない山並みが続き、好展望だが、重厚な樹林帯を歩いてきた目には物足りない。
灌木帯は、大蔵山まで続く。
尾根の木々の紅葉も今ひとつで、ミネカエデやヤマウルシがいくらか色づいていた程度だった。
大蔵山からは越後平野が日本海まで一望できる。
菅名岳の全容も見渡せるのだが、丸山尾根一帯のブナ原生林がみごとだ。
ヤマウルシ紅葉
| ミネカエデ黄葉
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大蔵山から下山路に入ると、しばらくして再びブナ林となる。
8合目あたりからは大木も多くなり、なかなか見応えがあった。
いつか伐採したあとなのか、太い倒木は見つからなかったが、苔むした立ち枯れに、ナメコが出ているのが見つかった。
その少し下では、ちょうどよいタイミングのナラタケが群生していた。
傾斜のひどくないところを丹念に探せば、きのこがもっと見つかりそうだったが、この日のうちに帰宅するつもりだったので、登山道の周辺だけを見て歩いた。
やがて階段コースと急坂・沢コースの分岐。
ここは、急坂・沢コースに入る。
さらに下ると急坂コースと沢コースの分岐。
赤土の道が滑りやすくて辟易していたので、ここは沢コース。
いくらか荒れたところもあったが、大木は見あたらないものの、トチやカツラが再び姿を見せる。
このあたり、登山道にはトチの実がびっしり落ちていた。
林道に出ると、ススキがたなびき、ノコンギクが乱れ咲く。
ナギナタコウジュ・カメバヒキオコシなどが道ばたを彩っていた。
めったに訪れる機会のない町なので、下山後、五泉市の大木を見学していった。
まずは、菅名岳登山口に近い切畑観音堂の乳銀杏。
樹の前に鳥居と小さな祠があったが、この樹が信仰の対象になっているらしかった。
過日、秋田で見た大銀杏に引けを取らない、巨大な銀杏に拝礼していった。
次に、巻潟東インターへの道中にあるらしい館ノ内の大杉に向かった。
この大杉は、五泉市森林公園入口近くの人家裏にあった。
砦のような地形のてっぺんに、神社と大杉があるのだった。
スギというと、枝をきれいに払われた建築材用のスギ植林地を思い浮かべるが、スギの古木はどれも、太い大枝をくねらせるようにそびえおり、まことに迫力がある。
この大杉もまた、そのような立派なスギだった。
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