残雪のブナ林
−刈羽黒姫山−

【年月日】

2005年5月8日
【同行者】 Uさん
【タイム】

清水谷登山口(9:00)−黒姫山(11:00-12:16)−清水谷登山口(14:15)

【地形図】 石黒 ルート地図
【関連ページ】 陽春の越後

エノキタケ
ショウジョウバカマ

 連休も明けるというのに、魚沼あたりの田んぼにはまだ、雪が部分的に残っていた。
 刈羽黒姫山へは、小千谷インターからのアプローチ。

 道路わきの谷津田では、どこでも田植えの準備の真っ最中だった。
 雪解け水は冷たいだろうが、それでも育つ稲なんだろう。
 秩父ではやっと籾を蒔きつけたばかりだ。

 低山なので雪もほとんどないだろうと思っていたが、麓から見上げる黒姫山はまだ大量の残雪をまとっていた。

 折居コースと清水谷コースを周回するつもりだったが、雪山に慣れないUさんが同行しているので、清水谷ピストンに変更。

 登山口への林道は、地震によると思われる崩壊によって途中で通行止め。
 たくさんの八重桜を植えた廃田あとに駐車して山に向かった。

 登山道に入ると、トキワイカリソウやショウジョウバカマ、スミレ類がさかんに咲いていて、春の到来を喜んでいた。

 トキワイカリソウは、秩父のイカリソウとちがって、純白でたいへん清楚な花だ。
 足下に咲いていたスミレは、アカネスミレ、ナガハシスミレ、スミレサイシン、オオバキスミレ、ツボスミレ、タチツボスミレ。

カタクリ
オオイワカガミ

 ナガハシスミレとスミレサイシンは、初めて見る花。
 ナガハシスミレはキョが長く、たいへん奇妙な形に見える。
 スミレサイシンは、秩父でよく見るナガバノスミレサイシンに似た、大輪の美しいスミレだ。

 しばらく行った谷津で、早くもコゴミの群生に出会う。
 雪解け水が小さな水音で流れる周囲にはカタクリも咲いていて、とても気持ちのいいところ。
 ヤマブキショウマ、トリアシショウマなども出ていた。

 ここで残雪のためルートを見失い、しばしヤブこぎ。
 斜めに生えたユキツバキのヤブはうっとうしいが、新鮮なエノキタケが見つかったのはラッキーだったし、ヤブから出たところは、ワラビやシオデが群生していた。

 カタクリを愛でながら登っていくと、登山道わきにはオオイワカガミが多くなる。
 ほぼ満開という状態だったが、花の数が多いため、たいへんみごとだった。
 道ばたのムラサキヤシオはまだつぼみだったが、陽当たりの良いガケで咲いているのもあった。

 太いブナが見えてくると、黒姫峠。

 タムシバとオオカメノキ、ヤマザクラ、マンサクの花は至るところに咲いており、ハウチワカエデもなかなか可愛らしかった。
 食べ頃のコシアブラも見つかった。

ブナの尾根
頂稜の残雪

 ブナの尾根をしばし登り、山頂が近づくと、積雪が多くなってくる。
 神社あたりから眺める頂稜は、1メートル近い積雪の中に、新緑のブナが林立するすてきな場所。
 たいへん美しい日本の新緑だ。

 山頂小屋の回りだけ雪がなかったので、ここで大休止。
 南側が伐採されていて、展望もよい。
 魚沼の山や苗場山かと思われる山あたりまでよく見えていた。

 ヤマガラがのんびりさえずっており、キツツキのドラミングがあちこちで鳴り響いていた。

 途中で摘んできたシオデ、コシアブラ、エノキタケに、ホタテの稚貝と鶏肉の入ったスープを作り、生ラーメンを合わせる。
 今日のお昼は、とてもゴージャスだった。

 酒も入っていい気持ちになったが、帰りも長いので、ゆるゆると下山。
 登りではまだ閉じていたカタクリやキクザキイチゲが開花していて、これまたすばらしかった。