一日目(稲子湯〜本沢温泉)
シャクナゲ尾根登山口には道標らしきものがなく、伐採時の遺物が散乱していたが、道は地図どおりについていた。
トリアシショウマ、センジュガンピ、シロバナイチヤクソウなどがカラマツの植林のなかにたくさん咲いていた。エンレイソウはすでに実になっており、サラシナショウマやカニコウモリはようやくつぼみをつけたところだった。
しばらく登ると白駒林道。地図ではそのまま林道を突っ切るようになっていたが、そこには道はなく、しばらく強引にヤブこぎ。
ここからはしっかりした尾根上の道。シャクナゲ尾根というだけあって、シラビソの樹林のなか、ハクサンシャクナゲがすこぶる多く、ちょうど三分咲きというところ。
台地状のところに登りつくと、平坦な道。オサバグサの小さな花が見えるようになると、白駒池方面とニュウ方面との分岐。
ニュウに着いたときには、雨はあがり、白駒池が見えるようになったが、強い風が吹いていて寒かった。
中山峠への道で、この日初めて登山者に会った。
ハイマツやシャクナゲの中を登りつめていくとミヤマダイコンソウの黄色い花が岩の間にたくさん咲いていて、高山らしい雰囲気。
一瞬ガスがとぎれ、西天狗も顔を見せた。東天狗の根石側への下りでは、イワベンケイ、ムカゴトラノオも咲いていた。根石との鞍部に着いたのは1時過ぎ。根石小屋のコマクサが咲いているのではと気になったが、今回、根石はあきらめ、白砂林道を下ることにした。
稜線直下は、傾斜草原になっており、カラマツソウやハクサンチドリ、キバナノコマノツメなどが咲いていた。ここのハクサンチドリはとても色が濃く、心にしみるむらさき色だった。メボソムシクイの陰気なさえずりやウグイスの鳴き声を聞きながら急下降し、本沢温泉に着いたのは2時。
テント場代400円と入浴代450円の、しめて950円を払い、テントを張って、さっそく野天風呂へ。一日の疲れが一気に吹き飛ぶひとときだ。
硫黄がかなり強そうなので出たり入ったりしていると、マウンテンバイクでここまで登ってきたという4人連れの若者が入ってきてにぎやかになった。それを潮時にテントにひきあげると眠くなったので、しばし昼寝をし、早い夕食を食べたあとまた寝てしまった。
テントを張ったときには曇っていたとはいえずいぶん明るく、昼寝のあいだに濡れた雨具が干せたくらいだったのだが、夜に入ってまた雨。
二日目(本沢温泉〜稲子湯)
翌朝は4時前に目がさめたが、外を見るとまずまずの天気。今日はミドリ池から稲子湯に下山するだけだ。
沢を2本渡り、しばらく車道を行くと、すぐにミドリ池への分岐。
水場を渡ると、平坦な湿地帯。
メボソムシクイの声が響くなか、中山峠からの道をあわせるとトロッコ道となり、しずかなミドリ池に着いた。
池の南にキショウブが咲いており、稲子岳の岩壁が池に倒影していた。トロッコ道で見つけたウスタケとヤマイグチを袋に入れてぶらさげながら歩いていたのだが、同じものが入った袋が池の横の丸太の腰掛けの上に置かれていた。ここのウスタケは里山で見るものとちがい、ずいぶん大きい。
またリスが出てくるかと思い、カメラを出して待ってみたが、出てこなかった。昨年オオツガタケらしきキノコを見つけたテント場にも行ってみたが、キノコはなし。
ミドリ池までくるともう下山したような気持ちになる。稲子湯に早く着きすぎても困るので、ことさらゆっくり歩いた。
水場からはごくゆるい下り。去年マスタケを見つけた切り株を探しながら行くが、結局見つからなかった。その代わり、巨大ウスタケがいっぱい出ていた。
このあたりからカラマツの植林となり、トリアシショウマ、センジュガンピ、シロバナイチヤクソウ、キバナノヤマオダマキ、クルマユリなどの下生えとなる。
シロバナノヘビイチゴの実も出てくるが、あまり数多くはない。それでも丹念に摘み下り、8時前に橋のところに着いた。
すぐに稲子湯に行ってみたが、外来の入浴は8時半からだといわれ、30分待ってひと風呂浴びて帰った。
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