梅雨の合間を見て蓼科山から北横岳へ

【年月日】

1989年7月5日
【同行者】 単独
【タイム】

女ノ神茶屋(6:00)−蓼科山(8:25)−大河原峠(10:30)−双子池(11:38)
−大岳(1:00)−北横岳(2:00)−女ノ神茶屋(4:32)

【地形図】 蓼科、蓼科山

蓼科山

硫黄岳辺から
双子池

静寂
 天気予報は、梅雨前線の活動は不活発だが、北からの寒気が居座っており、大気の状態が不安定で、雷雨になりやすいということを言っていた。たしかに、ガスがうねっていたが 、雨になるようには見えなかった。

 女乃神茶屋の駐車場で腹ごしらえをし、6時10分に出発。
 まわりは、ササ原の中にレンゲツツジのオレンジ色の花できれい。

 登りにかかると、マイヅルソウやツマトリソウ、ゴゼンタチバナなど、明るい樹林帯のなかのおなじみの花と一年ぶりに再会。
 しばらくの急登で平坦で展望の開けた場所。道の左に大きな岩があって、そのうえから八ケ岳主峰、甲斐駒ケ岳、白根三山、御岳山、中央アルプスが見えた。

シロバナノヘビイチゴ

大河原峠
イワヒゲ

大岳
 急斜面に取りつくと、縞枯の樹林を通過するたびに明るくなったり暗くなったり。
 イワカガミの群落をそこここに見ながら登っていくと、前方が明るくなり、石の散乱する蓼科山の頂上石原の一画に出た。

 石ばかりで養分もなさそうなところだが、石の隙間にはイワカガミやツガザクラがびっしりと花をつけていた。

 頂上三角点の置かれた櫓に着いたのは8時半。すぐ下に、蓼科山頂ヒュッテ。
 南・中央アルプスはさっきと同じだが、北西側が広がり、槍・穂高連峰、表銀座から後立山の連山がのぞまれた。

 佐久側から雲がうねるようにおしよせ、浅間・富士・秩父などが全く見えなかったのは残念。

 山頂ヒュッテからは左への道をとった。ガレた道を下っていくと、騒々しい。
 将軍平には小学生の大群が群れていて、教師がたばこを吸いながら、「班長はあめを3こずつ配れ!」と奇妙な怒鳴り声をあげていた。

 大河原峠へは平坦な樹林帯歩き。
 ぬかった道が北八ツを感じさせる。ここの途中では、オサバグサの群落が多い。こういうところは、できるだけゆっくりと歩きたい。

 倒木や岩に緑の苔が厚く付着しており、鳥の鳴声以外何も聞こえない。オサバグサという草のかもしだす深山らしさを味わいながら歩いた。

 大河原峠はのびやかな草原で、むらさき色のハクサンチドリがそこここに咲いていた。
 双子山への登りは一面の草原、ササ原となっており、とても緩やかだ。ショウジョウバカマの咲きおわったのが、無数に突き出しており、ハクサンチドリもちらほら。

 道のわきには、シロバナノヘビイチゴの白い花や、咲き始めたばかりのコケモモの花が咲き乱れており、雲上のプロムナードといった雰囲気。緩やかに下っていくと双子池。静寂そのものだ。

 一休みして、大岳への登り。ここの登りは、岩がごろごろした、明るい樹林の急登。イワカガミが道連れだが、かなり疲れた頃に、天狗の露地という溶岩台地に飛び出した。

 ここで一息入れ、もうひとがんばりで、大岳と北横岳の分岐点。ザックをデポして山頂へ。
 大岳からは、雲のため八ケ岳主峰は見えなかったが、三ツ岳、縞枯山、縞枯山荘の三角屋根などが見えた。ここの岩場でイワヒゲを見た。

 デポ地点からさらに登り、大岩を右に回りこむと、北横岳。
 蓼科山はほぼ目の高さ。ここからは、道が三方に出ている。昨年通った南側の道、いま登ってきた東側の道、そしてこれから下りに使う北への道。

 ここからの下りも長かった。深くて暗い樹林帯に沈んでいく道だ。下りに飽きた頃、亀甲池のほとりにたどり着いた。

 天祥寺平への分岐点からは平坦な草原歩きとなる。時間に余裕があれば爽快極まりない場所だったのだが、空が暗くなって来、雷の音が聞こえてきたため、帰りを急いだ。