三雲駅に自転車を止め、踏切を渡って、烏ヶ嶽へ向かう。
「この先行き止まり」という看板のある林道をつめて、破線路に至るつもりだが、手持ちの地形図「三雲」は、昭和57年修正測量とあるから、この破線路が生きている可能性が少ないことは、承知の上だ。
案の定、二本目の送電線下の破線路は、まったく見あたらなかった。
地形図には出ていない水口方面への県道を立体交差でくぐり、さらに行くと、新しいヒノキの造林地。
下刈り・枝打ちがていねいに施された、見本林のような場所だった。
北からの破線路は、すべて消滅してしまったらしい。
ここから支尾根にとりつく。
地点としては、「水口」の地形図にやや入ったあたりか。
灌木のなか、多少の踏みあとはついていたので、さほど苦ではなかったが、ときおりサルトリイバラのヤブがあった。
細長い小ピークで小休止し、やや下って、さらに踏みあとをたどって登る。
「生森」「三雲」「カラス」などと書かれた、赤と黒のプラ杭が尾根通し打たれていた。
下生えは、サカキ、ヒイラギ、椿など。
ところどころ、薄く雪が残っていた。
踏みあとの薄いところも多いが、さほどたいへんではなく、登りつめた細長いピークの一角が、烏ヶ岳の三角点だった。
小さな山名札が下がっていなければ、ここを見つけるのは、ちょっとむずかしかっただろう。
北側がやや開けていて、三上山の特徴ある山容が望まれた。
この日のうちに帰秩しなくてはならないので、山頂では、祝杯をあげるにとどめ、早々に下山。
南西に下る破線路は、しっかり生きていたので、帰りはらくだった。
20分ほどで林道の終点。
広場に大量のゴミが散乱していて、足の踏み場もない。
ナンバープレートをはずした自動車や、廃屋のような建物を過ぎるとゴルフ場の敷地。
あの廃屋は、ゴルフ場内に設けられた、なにかの施設だったのだろう。
道ばたで、小さなノコンギクが、名残の花を、懸命に咲かせていた。