気象条件が厳しい山なので、出かける前には天気が気になる。
予想天気図から入山日は弱い冬型、行動日は弱い低気圧で、最終日は冬型とみた。
現地に到着してみると、雪はさかんに降っていたが風はさほどでもなく、まずまず思ったとおりだった。
昨年は寡雪気味だったのだが、周囲の雪はたっぷりで、雪洞掘りに問題はなさそうだった。
調子のよくなかったワカンのバンドを交換したのだが、今度のバンドは以前のより、装着・取り外しが速やかにできるように思う。
全体のペースが最初、たいへん速くて閉口したが、山にとりつくとまずまず、リーズナブルな速さになった。
いつものように三角点付近で、小休止。
ブナの疎林は、雪の中で静かに眠っているようだった。
鷲倉温泉を足下に見る草付きのガケに雪が積もっていたので、積雪量は十分と思ったが、現地に着いてみると案の定、軽い新雪がたっぷり積もっていた。
ゾンデ棒が完全に刺さるので、安心して、早速雪掘りを始めたが、しばらく掘り進んだところで、ブッシュにぶつかった。
今回もT字型雪洞にするほかないと左右に掘り進んだが、右側はやはりブッシュで進めないため荷物室にして、左側に3人分のスペースを作ることにした。
左側にはブッシュはなく、快調に掘り進むことができたので、かなり疲れた頃に、就寝スペースができた。
入り口付近の天井を上げて床を下げ、身動きしやすいように整備したが、物を置く場をあまり作らなかったので、眠ることはできたものの、居住空間としての快適さには、今ひとつ欠けた。
気象データによれば、この夜は氷点下12.5度まで冷え込んだようだが、寒くはあっても、眠れないほどではない程度にしのぐことができたようで、よかった。
山では夜中にいつも、トイレに起きるのだが、入り口が狭すぎて、外に出づらいので、結局、朝まで我慢した。
時間になったので、外に出てみると、相変わらずガスっており、新たな雪が30~40センチほども積もっていた。
トイレスペースにしていたブナの木まで行くにもラッセルがきついので、ワカンをはいて用を足した。
鬼面山へは、雪の中の出発となった。
土湯峠から鬼面山が見えており、風も穏やかなので、今回はラクかなと思ったが、登り始めると、雪庇のある道標のところあたりから上の森林限界上までくると、風が強くて、頬が痛むほどになった。
山頂の風も強かったが、今までほどではなく、早く戻りたいと思うほどではなかった。
土湯峠からの下りで急なところを下り始めたときに、見覚えのない下りだったし、見覚えのない赤テープがたくさんついていたので、??と感じたのだが、立ち止まってルートを確認する余裕がなかったし、このパーティは、わざと遠回りをしたりすることもあるので、黙っていたが、野地温泉へとどんどん下っていくようだった。
ミスはしない方がよいのだが、あまり疲れてもいなかったので、このルートミスはご愛敬だったのではないか。
相模屋の看板
 | 相模屋裏から鬼面山を望む(大きな写真)
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旅館へ下る前に雪洞を壊す。
見た目は、壊すのも大変そうだと思われたが、上の方の数十センチはふわふわの新雪だったので、さほど苦労することなく壊すことができた。
相模屋旅館でまったりしていると、強風で木々や電線が悲鳴をあげており、翌日の行動が案じられた。
しかし、熟睡した翌日、窓の外を見ると、願ってもないような快晴・微風だった。
あまり速くないので、気分よく尾根を越え、反射板で小休止。
風がまだいくらか残っているため、箕輪山上部には雲がかかっていたが、鬼面山・福島市街地・吾妻連峰はよく見えており、絶景を目にすることができた。
名残惜しいが、深雪を蹴散らしながら小尾根を下っていくと、横向まではあっという間だった。
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