−高旗山と妙見山−
源田温泉熊田屋旅館はこぎれいな新館の奥に、昔ながらの本館がある小さな温泉宿だった。
いつも不思議に思うのだが、新館と本館をつなぐ廊下というのはなぜどこも微妙に傾斜しているのだろう?
案内された部屋は湯治宿らしい小さな6畳間だった。
11時間の睡眠をとった翌日も、移動性高気圧の圏内ということで快晴模様だった。
熊田屋の前から林道に入り、美しく紅葉した山腹を自動車で登っていく。
登山口には案内板があり、本宮まで千六百メートルとある。
雑木におおわれた晩秋の里山にはほのぼのとした暖かみがあってよい。
落ち葉を踏みながらのんびり登っていくと、百メートルごとに本宮までの距離を記した札が立っていて、山頂がどんどん近くなる。
雑木の尾根を登りつめると、宇奈己呂和氣神社の鳥居をくぐって山頂。
知った山が多いわりには、この角度から見たことがないので、なかなか新鮮な展望。
昨日登った安達太良連峰はやはり立派。
そのすぐ左のほとんど雪のない低山は額取山。
その左はるか向こうの冠雪した連山は吾同行者連峰。
磐梯山や猫魔ヶ岳の山腹はスキーのゲレンデだがもうすべれそうなほどまっ白な帯となっている。
猪苗代湖の左は、ずいぶん大きな台形型の大戸岳。
南は二岐山と那須連峰が印象的。
昨年来登っている阿武隈の山は東側にあるのだが、雑木が繁っていてよく見えない。
眼下の安積平野は稲刈りが終わったあと。
山頂からは北へのあやしい踏みあとへ。
まだ11時前だったので、こんどはすぐ近くにある妙見山に向かった。
登山口がわからず、少し迷ったが、同行者が地元の人に尋ねたらコンクリートの鳥居のあるところにたどり着けた。
林道はまだ続いていたが、急に道がなくなったりしては困るので、鳥居のところに自動車をとめた。
太い注連縄を張った巨大なヤマナシのわきを過ぎると、小広い駐車場のようなところ。
飯豊和氣神社と書かれた額のある、木製の鳥居のところで小休止し、少し行ったところが最後の広場で「御大典記念」と彫られた石碑が倒伏していた。
ここからは広い道ながらジグザグの急な登りとなる。
スギを植えたところを過ぎ、山頂に近づくとブナやミズナラの自然林となる。
「御田神社」と墨書された赤い布がかかった石宮を過ぎると杉木立となり、石段を登った先に飯豊和氣神社の立派な社殿があり、その裏手に四等三角点があった。
葉を落とした雑木に囲まれた山頂からは、樹林越しに高旗山が望まれるほかに顕著な展望はないが、暖かな日だまりに腰を下ろして過ごす時間は何ものにも代えがたい。
ムキタケをたっぷり入れたラーメンを食べ、ゆっくりと下山にかかる。
落果したヤマナシの実を拾って集めては、今回の山行でも得るものがあったと二人喜びながら帰途についた。
郡山南インターに入ったのは3時と土日なら渋滞のピークに突入するところだが、さすがウィークデーだけあってすいすい走れた。
仕事を休んで遊びに行くことがごくあたりまえにできる世の中を早く作りたいものだ。
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