里山小劇場
−鋸山から多高山−

【年月日】

2002年1月19日
【同行者】 Nさん、Mさんと3人
【タイム】

小黒沢林道入口(9:15)−鋸山と思われるピーク
(10:50-11:15)−163号鉄塔(12:50-1:45)
−多高山(15:35-16:00)−坂本集落(16:50)

【地形図】 番場 概念図(ポップアップで開きます)

鋸山の石祠
 1年ぶりに安蘇前衛の里山を歩くことができた。
 目的の山は、田沼町の鋸山。

 地形図にも山名がないし、三角点もないし、ピークに山名板もないという、ちょっとあやふやな山だが、ふもとから見ると、鋸歯状の尾根が、なかなかかっこよい。

 この日は、この山に登って、多高山へと尾根伝いに歩くという計画だった。
 地元のエキスパートお二人が同行して下さるとのことで、大船に乗った気分で、歩き出すことができた。

 とりつきは、いくつか考えられたが、黒沢集落のはずれから小黒沢林道をつめるのが、もっともラクではないかと思われたので、そのルートを採ることに一決した。

 小黒沢林道は、現在はほとんど使われているようすがなく、かろうじて轍が残っているという状態だった。
 周囲は、成長したスギの植林で、見るべきものは何もなし。
 しかし、まだヤブ化していたわけではなかったので、まずまず歩きやすかった。

 わずかに水流のある二股で、道は消える。
 ここは、右。
 ここからは、踏みあともほとんどなかった。

 傾斜が強くなって、沢の高巻きほどの登りになったが、どうにか、尾根上に立つことができた。
 ここも、おおむね植林。

 鋸歯状部分のどこかに、山名板がないか、調べてみたが、何もなし。
 尾根を北に向かうと、それなりに踏みあとがあり、歩きやすかった。
 一帯の最高点(約650m)のピーク上に、文字の風化した祠があったので、おそらくこれが鋸山であろうということにした。

 ここは、疎林ごしに奈良部山や丸岩岳が望まれる、なかなか気分のいいところだったので、しばし小休止。

 この先は、166号鉄塔を見てすぐに南北に細長い小ピーク。
 ここは、野峰方面と多高山方面との分岐にあたる。
 所用があるというMさんは、166号鉄塔の巡視路から下山されるとのことで、ここからはNさんと2人パーティとなる。

 多高山方面へは、明確な尾根がなく、踏みあともないため、ややわかりにくいが、真西への尾根に乗りさえしなければ、大丈夫。

 やや長い下りが終わると、飛駒村村有林の表示のある峠。
 この峠道は、とてもしっかりしているので、いつか歩いてみたくなった。

 ここからは幅広くて、平坦な尾根。
 おおむね東側が植林で、西側が雑木林。
 雑木はミズナラが多かった。
 ヤブが全くないので、歩きやすくて、たいへん助かる。

 635m三角点のひとつ手前は、西側が伐採されたばかりで、展望がよい。
 ここからは野峰が、あまりどっしりしたピークに見えない。
 樹林の中の三角点の少し先が、163号鉄塔で、日だまりになっていたので、ここで大休止にした。

 その下の鞍部にも、東側に峠状の踏みあとがある。
 群馬県との県境に踏みあとはないが、群馬側が伐採されているので、ルートは明瞭。
 野峰、三境山、残馬山、鳴神山などの尾根がよく見えて、楽しいところだ。

 県境区間に入って、登降が激しくなるが、赤銅色に霜で焼けたイワウチワの群落がそこここにあって、心がなごむ。
 花の時期には、さぞ美しかろう。

 再び県境から離れるあたりは、ヤブこぎを覚悟したが、案に相違して、はっきりした踏みあとがあり、歩程がはかどった。
 見晴らしのよいところからは、今日歩いてきたルートが、ひととおり見渡せる。
 ゴルフ場は目障りだが、扇形の平坦地に点在する人家と、それを囲む里の裏山は、あたかも小劇場のようだった。
 鋸山は、ここから見ても形がよく、可愛い山だった。

 さすがに少々くたびれてきたので、多高山への最後の登りは、なかなかきつかった。
 8年ぶりの多高山は、以前とほとんど変わらない山頂だった。
 中継アンテナが1本あるが、雑木に囲まれた静かな日だまりは、里山らしくて、とても気持ちがよい。

 しばし休んで、あとはゆるゆると、足利CCへの道を下った。