関東平野の展望台
−三毳山−

【年月日】

1999年2月28日
【同行者】 2人
【タイム】

かたくりの里(10:05)−龍ヶ岳(10:34)
−三毳神社里宮(11:50)

【地形図】 下野藤岡

田んぼと三毳山
 カタクリはまだ芽生えてもいないので、「かたくりの里」も閑散としていた。
 道標に従って、木の階段の多い登山道に入る。

 コナラ、アカマツ、サカキの多い里山だ。
 足元では、コナラの実が、赤い双葉を持ち上げはじめていた。
 三毳山最高点(龍ヶ岳)には、共聴アンテナのような無粋な建造物が建っている が、西側が伐開されていて展望がよい。
 富士山、奥秩父、両神山、八ヶ岳、浅間山、妙義山、赤城山、男体山、女峰山 と、関東の主たる名峰が見渡せた。(奥白根と足尾の山は雪雲の中)
 もちろん、桐生や足利の山、唐沢山、絹ヶ岳、大平山など、阿蘇前衛の懐かし い山々はとても近い。

 ここからは、登下降しながら高度を下げていく。
 三毳山では、観光用の自動車道を建設しているらしく、都合4ヶ所で尾根を越 える車道工事現場を通った。
 かわいい山なのに、むごいことだ。
 これもまた、一種の景気対策なのだろうか。

 三角点峰(中岳)あたりから見ると、筑波山は強風による飛砂のために、隠れて しまっていた。
 このあたりにもカタクリが咲くのだろうか、工事の槌音が響く中、「植物保護 のため林内立入禁止」の看板が目を引いた。

 三毳神社の奥宮はコンクリート製で、ありがたみがちっともない。
 奥宮の境内の一角を、国際電信電話会社の電波塔に提供した見返りに、作って もらったようだ。

 かなり急傾斜の表参道を下っていくと、はるか彼方に東京の高層ビルが浮かん でいるのが見えた。
 作っては壊し、作っては壊して、人が生きている。
 そうしないと生きられないなら、未来はないということだ。

 見るもむなしい楼閣の手前に、谷中貯水池。
 谷中村のことは、忘れない。  いずれは滅びるだろうものと、滅びてもなお、永遠に語り続けるものとが、遠 近同じ視野に望まれる。
 ずいぶん、ぼろぼろの山だった。

 われわれは、どこへ歩いていくのだろう。
 Where do we go,from here?