大萱山から地蔵、氷室

【年月日】

1997年3月7日
【同行者】 単独
【タイム】

3号ダム(8:09)−大萱山(10:00)−地蔵岳(1:00)−
氷室神社(3:50)−山神社(5:00)

【地形図】 沢入、足尾

大萱山から男体山を望む

 今日はまず、大萱山をめざして、北から黒坂石川へ流れ込む支流を詰めようと思った。
 「無用の車両立入禁止。入ったものからは2万円とる」というようなことが書かれた看板のある林道にはいる。この林道、地形図にはのっていないが、ほぼ舗装された自動車道だ。

 あたりのスギ林はよく手入れされた美林だが、打った下枝を川に投げ込んであるので、川は無惨な姿。
 頭上を地図にのっていない送電線が通過。これはたぶん、氷室山北方の紅白鉄塔から来るやつだ。

 ひとしきり歩くと、谷が開けて出作り小屋と営林小屋のような建物が二棟。
 林道の支線があるが、あくまでも本流筋を歩いていく。
 やがて、左に新しいスギの植林地。ここではまだスギを植えているのだ。
 林道はゆるやかに東にカーブするので、林道と別れ、ここから植林のときの小径を拾いながら、真北に向かう細流に入った。

 オヤマボクチやナギナタコウジュのドライフラワーがちらほら。
 足元のスギ苗をよく見ると、白い粉がかけられている。
 植林地では農薬を撒いているということを聞いたことがあったが、本当らしい。
 植林地を過ぎて、小径が完全に消滅したところで水を補給。多少ゴミが混じっているが、やむなし。

 水流はすぐに消え、あとは急傾斜のクボをつめていく。ヤブはうすいから、まあ、らくな方だろう。
 ササと灌木のヤブは実働10分くらい。シカ道がしっかりしているので、すぐに稜線に立てた。

 思った通りの地点に登り着いたことに気をよくして、尾根を西へ。この尾根には比較的しっかりした踏みあとがついていた。
 足元のササに葉がついていないのがかなり気がかりだ。根はついているから、枯れたのではなく、何者かによって食害されたような感じ。もし、シカのしわざだとすれば、このあたりには、シカの食べ物が、もうほとんどない。

 大萱山の手前鞍部にアカマツの大木が一本。ウロの中にゴミをつめこんである。製造年月日からして、去年の晩秋のものらしい。
 こういうところにゴミをつっこんでおく神経が理解できない。顔の見えないその人に向かって、思いつく限りの悪態を心でつぶやき、ゴミをザックに入れた。

 大萱山は灌木がちの地味なピーク。少し下ったところに電波中継塔があって、ここから足尾の町並みや、皇海山から日光連山が一望できた。
 元気を取り戻して、来た道を戻るが、めざす地蔵岳ははるか遠い。

 ところどころ雪が吹きだまった尾根をひたすら東へ登降していく。左前方に見覚えのある石倉山が見えてくる。
 群馬県側は植林が多いが、栃木県側斜面はおおむねミズナラ林。ヒガラも栃木県側であそんでいた。

 大萱山から地蔵岳まで2時間と見ていたが、登り下りがけっこうあって、とてもそれでは不可能。石倉山分岐を過ぎたところで小休止した。
 このあたりのササには、葉がついていたが、はっきりした食痕がついていた。
 群馬県側からの林道が尾根に迫るところは、道路わき1メートルのところを意地でヤブこぎ。

 林道から離れ、かなりつらい急登で、ようやく地蔵岳南峰。昨年見た井上昌子作成の小さな山名プレートは撤去されていた。
 息があがっていたので、本峰をパスしようかとも思ったが、地蔵岳の神様に水くさいぞといわれそうな気がしたので、急降下して本峰へ登り返し、祠のわきで大休止にした。

 意外なことに、横根山から三枚石にかけて、西面にはほとんど雪がなかった。そういえば、大萱山からの男体山は、去年でいえば四月中旬くらいの顔をしていた。
 これだけ雪がないと今年の渓流は心配だ。

 地蔵岳南峰からの下りには道はなし。コンパスで方向を見定め、ガケ状のところを立木にぶら下がりながらおりていくと、ほぼ思ったところに下りついた。
 背丈を没するササヤブを突破するとまた林道。地蔵岳、横根山、勝雲山など、なつかしい山が見えるのはいいが、車道歩きは不愉快。すぐに登山道に戻る。

 細い踏みあとがブルで開削したような感じの道になると、また林道。
 黒坂石への尾根道分岐付近は舗装された広いところ。北から東側がよく見えるが、道路から見る展望に感動は少ない。

 今度は山道へのアクセスが見つからず、しばし車道を行く。
 紅白鉄塔を過ぎたあたりは、林道工事と林道建設のために崩壊した場所の修復工事などで、もうぐちゃぐちゃ。伐採されたミズナラやモミの木が散乱していた。

 粟野町と葛生町との境界付近でようやく登山道を発見し、のり面をずり登って山道に戻った。

 ここから氷室山までは、よく踏まれた快適な道。斜面南を巻いていくので、登り下りも少ない。ヒノキの植林地から見ると、尾出山や石裂山が近い。
 ゆるく登って椀名条への分岐。マツ林を過ぎると、本日の最終目的地の氷室神社。もう4時になろうとしていたが、氷室神社様へのご挨拶も欠かせない。

 拝礼して備え付けのノートに記帳。こういうところに備えつけてあるノートには「賞」というゴム印が押してあることが多い。ちなみに氷室神社もそう。

 三角点(宝生山)へは寄らず、去年見つけておいた黒坂石への下山路を下った。
 谷筋には雪が多く、踏みあとが不鮮明なところもあったが、危険なところは全くなし。椀名条林道終点までは30分たらずで下りることができた。