自然林と好展望の山
−野峰から根本山−

【年月日】

1996年1月16日
【同行者】 単独
【タイム】

石鴨(11:23)−野峰(12:34-12:52)−丸岩岳(13:38)
−熊鷹山(14:11-14:33)−根本山(15:08-15:20)−石
鴨(16:26)

【地形図】 沢入 概念図(ポップアップで開きます)

三境山から望む野峰
 石鴨の公衆便所前の駐車スペースを出発したのは11時半ごろ。

 橋を渡り、東に入る林道を行く。
 自動車の行き来がいくらかはあるらしく、わだちがついている。

 今日はここから野峰に登るのだが、山道の入口がうまく見つかるかどうか、ちょっと不安。

 いくつかのカーブの先で大規模な伐採のあとに出会った。
 一つの谷をほとんどすべて皆伐したという感じの、すさまじく荒れたところだった。
 たぶんここがかつての山道入口だと思ったので、破壊のあとのブル道に入った。

 ブル道は小沢を踏みつぶす形でずっと奥にまでつけられていたが、あまり歩きやすいとはいえず、伐採時の遺物をよけながら歩いていった。
 中ほどで比較的新しいワサビ田を見て過ぎ、その奥でやや荒れたワサビ田を見ると、伐採地が終わり、ようやく山道に入れた。

 ヒノキと雑木のなか、ジグザグにつけられた道をゆっくり登っていくと、やがて右手の支尾根の上。
 右前方にそびえている丸い山体が、今日の第一目標である野峰だった。

 尾根上の踏みあとはあまりはっきりしないが、なかなかしっかりと根を張ったヒノキや灌木をかき分けながら登っていくと、すぐに縦走路に出た。

 ここからはまず、野峰に向かう。
 鞍部にはけっこう雪が吹きだまっているが、おおむね無雪状態と同じだ。
 ほんの少しの急登であっさり野峰の山頂。

 東側は植林だが、西側は雑木なので樹林越しに袈裟丸・皇海・男体などが見えていた。
 展望はあまり期待していなかったのでもうけた気分。

 もと来た道を戻って、丸岩岳方面へ。
 あたりはおおむね雑木林だが、丈の低いクマザサにおおわれた、とてもきれいなところだ。
 踏みあとは見えてはかくれるといった程度だが、ササが低いのでどんどん歩いていける。

 もうすぐ丸岩岳だなあと思いながら登っていくと、前方にカーブミラー。
 道路は登山道を遮断する形で、田沼町方面から桐生市方面へと尾根を越えてつながっていた。

 丸岩岳は雑木の中の平凡なピークだが、山名プレートがいくつか下がっていたのでそれとわかった。

 このあたりは主にアカマツやミズナラの二次林で、ときおりカラマツの植林も混じる。
 たまに生えているシラカンバがとてもめだつ。
 さかんに行われている造林はヒノキが中心なので、数十年後にはこのあたりの風情もずいぶんかわってしまうだろう。

 やがて不死熊橋への分岐を左に見て過ぎ、倒れかけてつっかい棒のしてある鳥居をくぐると、右に石宮がでてきて熊鷹山のピーク。

 ここはなかなかすばらしいところで、三六○度の大展望が得られた。
 まわりの灌木が伐られているうえ、展望用のやぐらが組んであり、その上からは、西に赤城・袈裟丸・皇海・男体・女峰などを望むことができ、東には栃木県に属する数々の低山を見ることができた。

 移動性高気圧が去り、気圧の谷が接近しているという話だったが、日光白根は雪雲に隠れてか、見ることはできなかった。

 野峰からほとんど休まずにきたので、ここで小休止。
 大展望はいくら見ても見飽きない。

 熊鷹山から十二山へはほとんど平坦な道である。
 十二山で氷室山への分岐を見送り、西に向かうと、根本山神社あとの広場を抜け、しばらくの急登でこの日最後のピークである根本山。
 雑木に囲まれて展望はないが、しみじみと落ちつける感じのよいところだ。

 ここで3時。
 出発が遅かったので、少々忙しかったが、ここまで来ればもう大丈夫なので、ガスを出して最後のコーヒータイムとした。

 根本山からは、中尾根コース下山道。
 新しいヒノキの植林地からは、野峰から熊鷹山にかけての稜線が広がる。
 ここから見ると、熊鷹山と丸岩岳は尾根上の単なる突起に過ぎないが、野峰は根張りのあるどっしりしたいい山だった。
 熊鷹山が登って楽しい山なら、野峰は眺めてりっぱな山だといえよう。

 しばらく新しい植林地を下るが、やがて成長した植林の中の道になる。
 ヒノキの苗を植えた見晴らしのいいところも、数年後には背丈を没する植林地に成長するだろう。
 緩急の下りをどんどん行くと林道に出た。

 あとは車道を下るだけだったが、不死熊橋の先で探石に来た人の自動車に乗せてもらったので、4時半前に石鴨に着いた。