南会津は、関東以北では、もっともアプローチしにくい山域だと思う。
しかしここには、ミドルクラスではあるが、重厚な樹林帯と展望にすぐれた秀峰がいくつもあって、とても魅力的な山域だ。
大博多山も、以前から気になっていた山だが、ようやく訪れる機会を得た。
縦向沢に沿う林道走行が、けっこう長い。
道幅は一台通るのがギリギリで、対向車が来たらアウトである。
でも無事に登山口へ。
すぐわきの縦向沢にイワナがいそうな感じはしない。
それでも周囲は、トチやサワグルミの天然林で、感じがよい。
林相はよいのだが、支尾根はいきなり急登で、トラロープにぶら下がりながらの登りになる。
尾根上や斜面はほぼブナ林だが、ミズナラやヒメコマツもいくらか混じる。
もっとも苦しいのは最初の一時間だった。
主稜線に出れば、ときおり急なところがあるものの、基本的には穏やかな登降となる。
ところが問題は、熊の気配が濃すぎるところだった。
前日に、南会津町で熊が出たというニュースを見たのだが、熊が出た地点は大博多から離れた場所だったので良しとしたのだが、その後の続報で、また熊が出たと言う。
それが地図のどこなのか、調べるのはちょっと困難だった。
最初に見た熊糞は3ないし4日くらい前のものと思われたが、次に見たのはとても新しく、1ないし2日以内のものと思われた。
また、ヒメコマツに対する熊剥ぎは三か所に及んだ。
このあたりを熊がウロウロしているかと思うと、感じが悪い。
山頂は南会津らしく、好展望。
雲が多かったが、日光連山・那須連峰北部・飯豊かと思われる連山・御神楽岳あたりが望まれた。
ここで大休止。
帰りは来た道を戻った。
早く下山できたので、帰り道にある奥会津博物館に立ち寄った。
小粒ながら、民俗分野でとても充実した展示で、とても興味深かった。
南会津は、会津藩領ではなく天領だったとのこと。
植林がなかった時代には、広大な原生林が広がっていたと思われる。
伊南川沿いの平坦地は後背湿地で、広くはないが水田もあり、主穀の自給は可能だったかもしれないが、支流域に点在する谷底集落では、現金収入が必要とされただろう。
博物館で展示されていた木地製品・麻・苧などは、支流域の生業だったかと思われる。
本流域の大商人が、支流域で生産された各種産物を取り扱うことにより、豪商化するという経済構造になっていたのかと思われる。
帰りのドライブはやはり、長かった。
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