一等三角点の山
−懸の森−

 【年月日】  2000年1月10日
 【パーティ】 単独
 【タイム】  羽倉登山口(10:25)−送電鉄塔(11:20)−懸の森山頂(11:55)−立石(12:05)
        −毘沙目木(12:15)−林道終点(12:25)−羽倉口分岐(13:05)−羽倉登山口(13:15)
 【地形図】 小高

岩上に生えたアカマツ
 懸の森の山名は、二万五千分の一の地形図にも出ていない。
 三角点のあるピークは、毘沙目木というが、この山名も、地図には出ていない。
 しかし、小高町観光協会によって、よく整備されたコースになっている。
 このコースのポイントは、太平洋の展望と、毘沙目木の一等三角点だろう。

 朝方の雨もやんで、青空がのぞいた。
 広い駐車場のある羽倉登山口から、広いあぜ道を行く。
 畑や田んぼと、そばを流れる用水路。
 懐かしい日本の田園風景だ。

 大根・白菜・シャクシ菜などが、陽当たりのよい畑に、よく育っていた。
 ネギは、俺のほうが上手かな。

 畑が終わると、手のよく入ったスギ林のなか。
 足元に、モリノカレバタケが一つ、出ていた。

 植林とアカマツの道は、ずいぶん長いが、鉄塔巡視路のため歩きやすい。
 ちなみに、地形図「小高」にある破線路と登山道は、途中まではまったく別である。

 小1時間歩いて、送電鉄塔。
 鉄塔は、東北電力のものだが、送電線は、東京電力の第一原発の方向から来ていた。
 送電線のうなる音が耳ざわりだが、展望はよい。

 「新吉井戸」「座頭ころばし」などという地点を過ぎてしばしで、大山祇神社。
 といっても、大きな社殿があるわけではなく、中くらいの祠だ。
 「胎内くぐり」という狭いすき間もあるが、くぐっても服が汚れるだけのように感じたので、見て過ぎた。

 懸の森の山頂は、アカマツとスズタケのヤブの中。
 展望皆無。休む場所もないので、先へ行く。

 やせた尾根を行くと、立石。
 ここはちょっとした露岩帯で、海側の展望が開ける。
 なかなか気持ちのよいところだった。

 毘沙目木三角点(522m)は、小広く伐開された中にあり、近所の一等三角点がどの方向にあるかを示す表示板が、つけられていた。
 それによると、浜通りの一等三角点は、丸森の手倉山、日隠石、屹兎屋山、大滝根山、二ツ石山と、ここ毘沙目木だそうだ。

 ひと息いれて先へ向かうと、すぐに大富林道終点。
 ここは、めちゃくちゃな皆伐をしたらしく、まるで樹木の地獄のようなありさまだった。

 この林道もひどいもので、沢の至るところに廃家電が投棄され、汚れきっていた。
 懸の森から先、後半部分については、これから本格的に整備するのかもしれないが、これはなんとかしないと、ハイカーも歩く気にならないだろう。

 長く感じる林道歩きが続いたあと、ようやく羽倉口の分岐。
 そこから、あぜ道まですぐだった。

 畑に出ると、2頭の猿が、そばの木にかけ登った。
 ここも猿か。
 猿と戦いながら、これだけのネギを作るのはたいへんだろうと、同情した。